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22日に札幌競馬場で行われる、第57回札幌記念(GII、芝2000m)。夏競馬で唯一のGIIということもあり、例年一流馬が揃い、GI並みの盛り上がりを見せるレースだが、今年もラヴズオンリーユーなど、GIホース4頭がエントリー。トーラスジェミニ、ウインキートスといった、重賞連勝を目論む馬など、多士済々のメンバーが揃った。
そんな中、白毛の怪物ソダシ(牝3、栗東・須貝厩舎)が、この真夏の決戦に挑戦してきた。無傷の5連勝で桜花賞を制したものの、オークスでは8着に完敗し、ここは仕切り直しのレース。歴戦の古馬相手に、果たして3歳牝馬はどこまで通用するのか、検証していきたい。
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■オークス完敗は危険信号
過去20年、札幌記念の3歳馬の成績を見てみると、【4-1-2-16】で、勝率17.4%、連対率21.7%、複勝率30.4%は、世代別でいずれもトップ。牡馬が54キロ、牝馬が52キロと、斤量の恩恵もあってか、歴戦の古馬が相手とはいえ、実は3歳馬にとって分が良いレースといえる。
そんな中、牝馬の参戦はかなり珍しく、過去20年でわずか3頭しかいない。09年2着のブエナビスタ、12年4着のハナズゴール、そして14年1着のハープスターだ。いずれも好走しており、ソダシにとっては好都合のように思えるが、若干不安材料も垣間見える。
連対を果たした2頭は、ブエナビスタが、桜花賞、オークスと2冠を達成、ハープスターが桜花賞を制し、オークスはクビ差の2着からの参戦と、いずれもクラシックディスタンスで勝ち負けできる実力を持ち合わせていた馬だった。
一方、4着に敗れたハナズゴールはオークスで7着に完敗後の参戦。ソダシはすでにGI2勝の実力馬だが、ハナズゴールと同じように、オークスでは8着に完敗しており、クラシックディスタンスで勝ち負けを演じられないような、距離適性に疑問符がつくような馬は、札幌記念での勝ち負けは難しい可能性が高いと言える。
■古馬混合の中距離戦では実績が必須
次に、今年の先週までの3歳牝馬による、古馬混合戦の芝2000m以上(牝馬限定戦を除く)の成績を見てみると、1勝クラスが【6-3-1-26】で勝率16.7% 連対率25.0% 複勝率27.8%、2勝クラスが【1-1-0-1】で勝率33.3%、連対率66.7%、複勝率66.7%と、いずれも世代別ではトップ(3勝クラス以上のレースでの3歳牝馬の出走は無し)。古馬混合での3歳牝馬は、今年も例年と同様に強さを発揮している。
しかし、中身をよく見ると、3着以内に入った12頭中、10頭までが、それまでに2000m以上のレースで1着になった経験を持っており、2勝クラスで連対した2頭は、いずれも2000mでの勝利を経験。一方、唯一馬券圏内を外した藻岩山特別のエイシンヒテン(2番人気4着)は、これまで1600mまでしか勝ち鞍がなく、上のクラスに行けば行くほど、中距離でのレースは、それまでの実績が大きくモノを言う傾向にあるのではないか。
■クロフネ産駒は札幌芝中距離戦で10年近く勝っていない
最後に、クロフネ産駒の札幌芝2000m以上のレースにおける成績は、【2-0-2-28】で、11年のゴールデンハインド(札幌日経オープン、芝2600m)以来勝利がない。札幌記念では、14年ホエールキャプチャの3着があるのみで、血統面からも、決して札幌の中距離戦が適しているというわけでもない。
果たして、白毛馬による初のクラシック制覇という、前代未聞の偉業を成し遂げたソダシが、距離適性の壁を乗り越え、再びその常識を破る走りを札幌の地でも見せることができるのか、注目したいところだ。
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文・SPREAD編集部