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19日は中京競馬場で秋華賞のトライアル重賞・ローズS(GII、芝2000m)が、20日は中山競馬場で菊花賞のトライアル重賞・セントライト記念(GII、芝2200m)が行われます。
セントライト記念は1980年以降、基本的に中山芝2200mで行われてきた重賞で今年も施行条件に変化はありません。
一方、ローズSは京都競馬場の改修に伴う開催日割り変更のため、今年も中京競馬場で行われます。こちらは過去データを参考程度に留め、コース改修後となる2012年以降の中京芝2000m重賞データ(※主な対象レースは金鯱賞と中日新聞杯)を基に気になる騎手データを見ていきましょう。
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■中京芝2000m重賞ではグランプリ男・池添謙一騎手に注目
まずはローズSに関連した騎手データをご紹介。今年のローズSに乗り鞍があり、2012年以降の中京芝2000m重賞で騎乗経験があるのは次の17騎手です。
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[2012年以降]中京芝2000m重賞の騎手別成績
騎手データから一目瞭然ですが、福永祐一騎手、川田将雅騎手、武豊騎手、C.ルメール騎手ら重賞で人気になりやすい騎手が苦戦していることが分かりますね。
一方、中京芝2000m重賞で着順と人気のバランスに優れ、上々の連対率も記録できているのが、池添謙一騎手です。池添謙一騎手は今年6月の鳴尾記念で9番人気のショウナンバルディを2着に導いており、他にも2013年金鯱賞のカレンミロティック(3番人気)、2016年金鯱賞のヤマカツエース(4番人気)、2017年金鯱賞のヤマカツエース(1番人気)とこの舞台で3度の重賞勝利経験があります。
同騎手は今年のローズSで前日14時時点14番人気のメイショウオニユリ(牝3、栗東・池添兼)に騎乗予定。人気はありませんが、騎手データを重視する場合は押さえるべきでしょう。
そして松山弘平騎手も優秀な数値を残す騎手のひとりです。2012年中日新聞杯のスマートギア(6番人気1着)、2016年金鯱賞のパドルウィール(9番人気2着)のように伏兵級を馬券圏内に導いた経験がありますね。
同騎手は今年のローズSで前日14時時点1番人気のアールドヴィーヴル(牝3、栗東・今野)に騎乗予定。ほぼ人気通りの走りが見込める騎手ですから、この組み合わせを割り引いて考える必要はなさそうです。
■福永祐一騎手は要注意 川田将雅騎手、C.ルメール騎手も過信禁物
ここからは人気馬に跨ることが多い福永祐一騎手、川田将雅騎手、C.ルメール騎手について見ていきましょう。
3騎手とも人気と比べると着順の落ち込みが目立ちますね。川田将雅騎手、C.ルメール騎手は着順を落とす中で悪くない連対率をキープできていますが、連対率10%未満とかなり苦戦しているのが中京の鬼・福永祐一騎手です。今年は愛知杯のランブリングアレー(6番人気2着)こそ好走させることができましたが、金鯱賞のブラヴァスは4番人気で10着、鳴尾記念のヒンドゥタイムズは2番人気で11着とやはり弾け切れていません。中京では頼もしい成績を残し続ける福永祐一騎手ですが、どうも中京芝2000m重賞は苦手としている様子。
今年のローズSで前日14時時点4番人気のアンドヴァラナウト(牝3、栗東・池添学)に騎乗予定ですが、騎手データを重視した場合、ばっさり切ってしまうのが正解かもしれません。
■セントライト記念は戸崎圭太騎手が買い
ここからはセントライト記念に関連した騎手データをご紹介。今年のセントライト記念に乗り鞍があり、2000年以降のセントライト記念(2002年、2014年の新潟開催を除く)で騎乗経験があるのは次の12騎手です。
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[2000年以降]セントライト記念の騎手別成績(2002年、2014年の新潟開催を除く)
集計期間内で4勝を挙げる蛯名正義元騎手(現調教師)が既に引退、同4勝を挙げる北村宏司騎手が今年は不在。そのため『飛車角落ち』のようなデータになってしまいました。
そんな中キラリと光るデータを残せているのが、美浦のエース・戸崎圭太騎手です。人気と比べると着順は僅かに落ち込みますが、背負う人気を思えば高い連対率をここまで記録できていますね。2013年アドマイヤスピカ(6番人気3着)、2016年ゼーヴィント(2番人気2着)、2020年サトノフラッグ(1番人気2着)と3度の馬券絡みがあり、好走回数の多さがここでは強みになります。
同騎手は今年のセントライト記念では連勝中のソーヴァリアント(牡3、美浦・大竹)に騎乗予定。この騎手が跨る以上、重賞で食い込みがあっても驚けませんね。
■C.ルメール騎手は極端な成績 岩田康誠騎手は大不振
一方、この重賞ではデータ的に強く推せないのが、C.ルメール騎手と岩田康誠騎手です。C.ルメール騎手は集計期間内で5度の騎乗で2度の2着がありますが、ともに1番人気でのもの。ほか3頭では15着、4着、9着と極端な成績に終わっています。
そしてC.ルメール騎手以上に乗れていないのが、人気馬に乗る機会が多い中連対率0%の栗東の大ベテラン・岩田康誠騎手です。2006年のフサイチジャンク(1番人気6着)、2012年のニューダイナスティ(2番人気9着)、2015年のサトノラーゼン(1番人気7着)と、セントライト記念では人気を裏切ってしまうケースが目立ちますね。
今年のセントライト記念ではC.ルメール騎手がオーソクレース(牡3、美浦・久保田)、岩田康誠騎手はノースブリッジ(牡3、美浦・奥村武)に騎乗予定。あくまで軸よりは相手として考えた方がいいかもしれません。
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著者プロフィール
伊藤大輔(いとうだいすけ)●「UMAJIN.net」編集部秋田県生まれ。スポーツ関連書籍出版社、競馬専門紙の勤務を経て、現在はUMAJIN .netでライティング、競馬データ解析等を担当。『SPREAD』では主観的要素の強い「馬体解析」と客観的なデータの蓄積である「騎手データ」から、注目すべき馬と騎手を取り上げていく。