【ボクシング】3度目の「フューリーvs.ワイルダー」 ヘビー級の今後を占う大一番、勝負のポイントは体重差 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ボクシング】3度目の「フューリーvs.ワイルダー」 ヘビー級の今後を占う大一番、勝負のポイントは体重差

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【ボクシング】3度目の「フューリーvs.ワイルダー」 ヘビー級の今後を占う大一番、勝負のポイントは体重差
【ボクシング】3度目の「フューリーvs.ワイルダー」 ヘビー級の今後を占う大一番、勝負のポイントは体重差 全 1 枚 拡大写真

タイソン・フューリー(英国)とデオンテイ・ワイルダー(米国)によるWBC世界ヘビー級タイトルマッチが9日(日本時間10日)、ラスベガスのT-モバイルアリーナで開催される。

過去に2度対戦している両者だが、第1戦、第2戦を振り返りながら、因縁の大一番を展望したい。

◆【試合結果】フューリーがワイルダーに11回KO勝ち 5度のダウンを奪い合う激戦に

■ジプシー・キング対ブロンズの爆撃機

チャンピオン・フューリーの型破りな人生はよく知られている。家を持たずに暮らすジプシーに生まれ、父親が行っていた非合法のベアナックル・ボクシングでファイトを仕込まれた。試合後にリング上で歌を熱唱する彼のニックネームは、ジプシー・キングだ。

2015年、安定王者のウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を3-0の判定で破って、WBA、IBF、WBOのタイトルをまとめて奪取。クリチコにとってIBFタイトルは実に19度目の防衛戦だった。

しかし、その後がいけなかった。ドラッグや酒に溺れ、記者会見をすっぽかすなどの不祥事を重ね、次々とタイトルを剥奪され、戦わずして無冠になってしまった。

挑戦者のワイルダーもチャンピオンになったのは、フューリーと同じ2015年。こちらは対照的に7連続KO防衛と快進撃を続ける。特に鋭くステップインして放つ右のスイングパンチに磨きがかかり、迫力満点の倒しっぷりで戦績を40戦全勝(39KO)に伸ばした。フルラウンド戦ったのは、タイトルを獲得したバーメイン・スタイバーン戦だけだった。ニックネームはブロンズ・ボンバーだ。

■フューリーのテクニックとワイルダーの強打が激突

半引退状態だったフューリーが復活したのは、2018年6月。セフェル・セフェリを4R終了TKOで下して実力を誇示すると、同年12月に王者ワイルダーへの挑戦が決まった。下馬評はもちろん、圧倒的にチャンピオン有利だった。

ところが、試合が始まるとフューリーのアウトボクシングが主導権を握る意外な展開。小刻みな上体の動きとタイミングのいいダッキングで、ワイルダーにビッグパンチを打たせない。逆に216センチのリーチを生かして速いジャブをブロックの間に打ち込み、チャンピオンの左目にダメージを与えた。フューリーが序盤、中盤を明白に支配してポイントをリードする。

後半になるとワイルダーが意地を見せる。9回と最終回に自慢の強打でダウンを奪ったのだ。特に2度目のダウンは、あわや大逆転KOかと思わせるほどダメージが深かった。しかし、フューリーは立ち上がり、結局、試合終了のゴングを聞いた。結果は三者三様のドローで、ワイルダーが8度目の防衛成功となった。

■体重差が勝負のポイントとなるか

第2戦は2020年2月。初戦でディフェンシブな戦いをしたフューリーが、1ラウンドからワンツーで積極的に攻める。先制攻撃に成功した挑戦者が3ラウンドにダウンを奪うと、試合は一方的な展開に。そして、6ラウンドにチャンピオンが2度目のダウンを喫し、次の回にグロッキーになるとセコンドからタオルを投げ入れられた。これがワイルダーのキャリアで初の黒星となり、戦績は42勝(41KO)1敗1分となった。フューリーは30勝(21KO)1分。

そして、迎える第3戦。イギリスの大手ブックメーカーのオッズはフューリー1.33、ワイルダー3.40と、第2戦で圧勝したチャンピオンの評価が高い。ワイルダーには強烈な右があるが、これを当てるためのコンビネーションがない。当たればフューリーでも倒れることは初戦で証明したが、第2戦ではほとんど当たらなかった。

もうひとつのポイントは体格差。ワイルダーも身長201センチ、体重104.7キロ(第2戦)の大男だが、フューリーは206センチ、123.7キロ(同)とそれに勝る。体重は、実に20キロ近い差がある。他のランカーを次々と失神させてきたワイルダーのパンチから、フューリーは2度も立ち上がった。パンチに耐える巨体が生きたと言えるだろう。3戦目に向けて、フューリーは300ポンド(約135キロ)でリングに上がることを目指すとも語っていた。体重差がさらに広がれば、ワイルダーのKO勝ちはますます難しくなる。

■今後のヘビー級戦線を占う一戦

フューリーが第2戦に勝った後、もうひとりのヒーロー、アンソニー・ジョシュアとの英国人対決が熱望された。当時のジョシュアはWBA、IBF、WBOのベルトを保持しており、対戦が実現していれば4団体統一という超ビッグマッチになるはずだった。

しかし、この一戦は結局実現には至らず。今回のラバーマッチは、こうしたなかで急遽、決定した一戦。状況を考えると、モチベーションが高いのはワイルダーと言えるだろう。記者会見のフェイスオフにヘッドフォンをして登場したワイルダーは、挑発を繰り返すフューリーに対して沈黙を守り通した。その表情には燃える闘志が漲っていた。

もう一方の主役、ジョシュアは9月25日に無敗の挑戦者、オレクサンドル・ウシクと対戦。地元ロンドンに約7万人の観客を集めて行われた試合だったが、判定負けを喫し、ファンの期待を裏切った。

お互いに前哨戦を勝って、いよいよフューリーvs.ジョシュア実現! というシナリオはまたも崩れてしまった。今後のヘビー級戦線がどう動くのか。フューリーvs.ワイルダー第3戦がそのカギを握る。

◆「フューリーvs.ワイルダー」10月10日 両者の戦績、試合結果、中継情報一覧

◆井上尚弥が語る“4団体統一”へのシナリオ 「年内にドネア、来春に『カシメロvs.リゴンドー』の勝者とやりたい」

◆初防衛成功の中谷潤人、“衝撃の左ストレート”が米国でも高評価「アコスタの鼻から鮮血が…」

著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

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