【スーパーフォーミュラ】野尻智紀「今日のレースは弱かった」王者の風格 第6戦タイトル獲得の2日間 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーフォーミュラ】野尻智紀「今日のレースは弱かった」王者の風格 第6戦タイトル獲得の2日間

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【スーパーフォーミュラ】野尻智紀「今日のレースは弱かった」王者の風格 第6戦タイトル獲得の2日間
【スーパーフォーミュラ】野尻智紀「今日のレースは弱かった」王者の風格 第6戦タイトル獲得の2日間 全 1 枚 拡大写真

10月16日、17日、ツインリンクもてぎでスーパーフォーミュラ第6戦が行われた。コロナ禍で外国人選手や海外レースに出場した日本人選手の欠場が相次いだ今シーズンだが、セミファイナルになってようやく予定選手がほぼ揃うことになった。

だが今回の主役は、戦列に復帰した小林可夢偉(KCMG)や、中嶋一貴(トムス)ではない。一番の注目はやはり、今季3勝を挙げドライバーズタイトルに王手をかけている野尻智紀(MUGEN)だ。最終戦を待たずしてタイトルを決める可能性が高かったからだ。

◆【インタビュー動画】「いや、弱かったですよ。今日のレースは弱かった。」と答えるドライバーズチャンピオンの野尻智紀選手

■雨という前戦と異なる要因

今季は有効ポイント制が採用されていて少々計算が複雑だが、整理すると野尻は今回12ポイントを獲得すれば自力でタイトルを決めることができる。12ポイントは「決勝で2位以上」「予選3番手以上、決勝で3位以上」。

逆転タイトルの権利を残す大湯都史樹(ナカジマ)、関口雄飛(インパル)、福住仁嶺(ダンディライアン)の3人は、今回優勝が必須となる。野尻は今季3勝を挙げているだけでなく、前戦同じもてぎで圧倒的な速さを見せている。私には、それが再現され鮮やかにタイトルを決める野尻の姿が浮かんでいた。

だがそうすんなりとは決まらず、2日間は予想外にハラハラ、ドキドキの展開となった。その要因のひとつが、前回のもてぎになかった雨だ。予選では開始直前に雨が降り始め、Q2では途中からレインタイヤの方が有利に。逆にQ3では雨がやみ、終盤のわずか1~2分でスリックタイヤが有利になった。

それぞれ、わずか7分間の中で状況は目まぐるしく変わったのだ。その結果、Q3で最初からスリックで賭けに出た大津弘樹(MUGEN)がポールを獲得。タイトル争いの流れは、Q3でレインを選びながらも野尻が3番手。大湯、関口、福住は決勝を野尻の前からスタートすることができず。今回優勝に加え予選ポイント獲得も必要だった平川はここで、タイトル戦線から脱落した。

■関口の逆転優勝の可能性が

雨は決勝でも展開を左右した。オープニングラップは抜きにくいもてぎで順位を上げる大きなチャンス。雨で足元が不安定なマシンで全車が果敢に攻めた結果、大きく順位は変動した。野尻は7位に後退。

タイトルの可能性を残す3人の中、6番手スタートの関口が野尻の前に出た。大湯はバトルで接触しタイヤがバーストしてしまったため、緊急ピットイン。タイトル戦線からは事実上脱落した。14番手スタートの福住もポジションを上げることができず、優勝は極めて難しい状況となった。

野尻は7位に後退したものの、3人の中で唯一前に出た関口も6位と優勝には遠かったことから、タイトル決定は色濃くなっていた。だがその関口にレース中盤、優勝の可能性が見えてくる。10周目にセーフティカーが入り、ここでピットインしスリックに替える作戦を多くが採った。

これは成功でトップを走っていた山本尚貴(ナカジマ)がステイを選んだため、2位以下の順位は繰り上がり、ピット前に1台抜いていた関口は4位へ。さらにその後2度のセーフティカーが入りトップに接近したため、その後のペースで前の3台を上回れば逆転優勝は充分可能に。

その3台は大津、阪口晴南(セルモインギング)、牧野任祐(ダンディライアン)と優勝経験のない若手だったことで、関口ならばありえると思えた。

■チャンピオンの風格を備えた言葉

だがここで若手3人が奮闘、関口は結局順位を上げられなかった。そして野尻は着実に5位まで順位を戻しチェッカー。

多くが雨に翻弄された中でチャンピオンに相応しい落ち着いたレースぶりを見せた。結果だけを見ると圧倒的有利だった野尻が安全策でタイトルを決めようにも見えるが、実は非常に濃い内容の2日間だったのだ。

(C)JRP

私は個人的に以前から野尻のコメントが好きで、今回も心に残る言葉があった。レース後、マシンを降りた野尻にオフィシャルTVのレポーターが「強かったですね」と話しかけた。

野尻は即座にこう答えた。「いや、弱かったですよ。今日のレースは弱かった。まだまだです」。文字を並べただけではおそらく伝わらないだろうが、チャンピオンの風格が備わった後のこの言葉には、いつか聞いた大横綱の優勝コメントのような重みを感じた。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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