【北京五輪】羽生結弦、14日記者会見詳細、4回転アクセルに「手を差し伸べてくれたのは9歳の自分」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【北京五輪】羽生結弦、14日記者会見詳細、4回転アクセルに「手を差し伸べてくれたのは9歳の自分」

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【北京五輪】羽生結弦、14日記者会見詳細、4回転アクセルに「手を差し伸べてくれたのは9歳の自分」
【北京五輪】羽生結弦、14日記者会見詳細、4回転アクセルに「手を差し伸べてくれたのは9歳の自分」 全 1 枚 拡大写真

日本オリンピック委員会(JOC)は13日、北京五輪のフィギュアスケートで3連覇を逃した羽生結弦が14日に現地で記者会見を行うと発表。この会見内容についての説明がなかったことから、引退など今後の去就を明らかにするとの憶測が一時飛び交った。

羽生は14日日本時間の18時30分過ぎ、メイン・メディアセンターに姿を現し、冒頭で「このような形の中で、正直ここまで来るとは思ってなかった。ありがとうございます。新型コロナウイルスの陽性者出る中で、取材で多人数が集まってしまい、このような機会を設けました」と明かし、記者からの質問に回答するという形式で会見を行った。

◆歴史的な残像を焼きつけたクワッドアクセルと羽生結弦の闘い

■競技10分前の痛み止めで出場を決意

金メダルを獲得したネイサン・チェンを称えるとともに、大会を支える関係者、また演技を行ったリンクについての感謝を口にした後、競技が終わった後の気持ちについて聞かれ「いろんなこと考えました。4回転半に挑んだこと、成功できなかったこと、今まで頑張ってきたこと、道のりの価値などについて考えました。やはり足首が痛いということがあり、練習は許容量以上に痛み止めを飲んで、やはりここで滑りたいと思った。この3日間、オリンピックのこと、本当にいろんな人に支えられているんだなっと……。足首もたくさんケアしてくださった。歩くのでもちょっと痛いがサポートしてくれた。栄養の面でも本当にいろんな人に支えてもらっているんだなと、もっと感謝したいなっと思わせた3日間でした」と振り返った。

さらに、競技終了直後、いつもよりも深々と会場で挨拶、リンクに触った仕草の意図について訊ねられると「あそこに足を運んでくださった関係者も含め、自分の演技が結果としてベストなものではなかった。(それでも)残念だったという雰囲気いに包まれず、大きな拍手に包まれ、それに感謝したいなっと思い……。またカメラ越しの多くの方々、地元の方々、被災地の方々、世界中の人に見られているので、感謝したいなっと思いました。ちょっと苦しかった部分もあったのですが、この氷が好きだなっと(リンクにも)感謝しました」と明かした。

今大会にメインテーマでもある4回転アクセルへの挑戦について話が及ぶと「まだ自分の中でまとまってないです。今いえることとして……。言い訳臭くなっていろいろと言われるのがやだなっと思ったので実際、平昌の時と同じでいろいろと言われて嫌われるのが嫌なんですが」と前置きした上で「先日の練習で足を痛めて、4回転半を片足で着地し捻挫でした。普通の試合だった棄権していた。ドクターからも、もう10日は安静にしていてと言われて。当日の公式練習でも、あまりにも痛かったんでどうしようかと思ったんですが……(痛み止めの)注射を6分間練習の前に打ってもらって(競技の)10分ぐらい前かな、打ってもらって出ることに決めました。注射であったり、ケガであったり、ショートの悔しさも(色々と)あって、(そのおかげで)最高の4回転アクセルができたと思っています。ジャンプにはいろんな技術があり、4Aを成功させるにあたっていろいろと研究し……やっぱり自分のジャンプは負けたくないというか、あのジャンプだから綺麗だっって言ってもらえるし、ボクはあのジャンプしかできないし、絶対に思い切り飛んで追求しました。その最高点にボクの中ではたどり着けた。回転の判定もありますけど、ボクの中では納得していますし、満足している4回転アクセルでした」と語った。

競技終了以来、初めてこの日リンクを滑った感情については「正直、滑っちゃいけない期間だったんですけど、どうしても滑りたいなぁっと思って、滑らしてもらいました。これからちょっと練習すると思います。フィギュアスケートってなんだろう? ボク自身が目指しているのがフィギュアなのか?っと思うことも。これまで習ってきたこととかちっちゃい頃にやっていたこととかをやってみて、『うまくなったな』と思って、それを見てもらうのが嬉しかったり、ボクはボクのフィギュアスケートが好きと思った練習でした。またいろんな感情が生まれて来るかなっと。靴から来る(氷の)感触を大切にしながら滑りたいと思っていました」と、ドクターストップにも関わらず、自身の感触を大事にリンクに立った状況を明らかにした。

日本の記者から東日本大震災の被災者からの応援について水を向けられると「いろんな方々から声をもらった。おめでとうにはならなかったかもしれないが、よかったという声をもらえてある意味幸せです。みなさんのために滑っているということと、自分のために滑っていることもあります。東日本大震災のときも感じましたが、あるきっかけで、みんながひとつになることすごく大事なころ。つらい犠牲のなかですが、ボクのスケートでみんなの心がひとつになるきっかけになれば幸せだなと思う。何か犠牲にすることのない、幸せのきっっかけなれば嬉しいな。こんなに応援してもらって光栄だなって思います。みなさんも自分を応援してくれることで幸せになってくれたらうれしいなと思います」と応えた。

■「これが最後の五輪か」に「へへへへ」と

記者団からあらたまって羽生結弦にとっての挑戦とは何かを訊ねられ「きっとボクだけが特別とは思っていなくて、王者だからでもなくて、みな生活のなかで何かしら挑戦してると思う。大きかったり、目に見えたり、報道されたり、それだけの違いはあっても、それが生きることだと思う。守ることも挑戦。守るって大変なんですよ。家族を守ることも大変で、何かしらの犠牲を払っている。何ひとつ挑戦じゃないことなんてないんじゃないかぁ。それがボクにとって4回転アクセルだったりオリンピックだったりにつながっている。ボクは挑戦を大事にしてきたけど、自分のことを認められるきっかけになったらうれしい」とその感覚を総括した。

今後にモチべーションについて訊ねられ「正直、いままで4回転アクセルを飛びたいと言っていたのは、ボクの心の中に9歳の自分がいて、あいつがずっと『飛べ』と言っていた。「お前、下手くそだな」と(時折)言っていたけども、今回のアクセルは9歳のときの自分と一緒に飛んだんです。見てみると実は9歳の時と同じフォームなんですね。技術的にたどりついたのが、あの時のアクセルだった。いろんな人に助けられ、壁を登っていたんですけども、最後に壁の上から手を差し伸べていたのは9歳のオレだったんです。羽生結弦のアクセルはこれだったんだと、納得できている。ただ、モチベーションとしては、4日しか経っていないんで、これからどうなるかわからないです。でもあれがアンダーでも転倒でも、見返した時に羽生のジャンプって軸が細くてジャンプが高くて、誇れるアクセルだったと思えるかと……」と、小さい時の自分こそがモチベーションの一端であったという見方を披露した。

中国人記者から「これが最後の五輪でしょうか」と単刀直入の質問が飛ぶと「これが最後か、ちょっとわからないです、へへへへ」とおどけて見せつつ「やっぱり、オリンピックって特別だなっと思いましたし、ケガしてでも立ち上がって挑戦すべき舞台って、他にはないので、すごく幸せな気持ちになっていたので、また滑りたいなっと思います。ボランティアさんも歓迎してくださって、中国のファンのかたがたも歓迎してくれたのを感じた。その中で演技するのって本当に幸せだなっと思って滑りました」と中国のファンに向けて感謝を口にした。

■今後のゴールについて「正直混乱している」

さらに英語で、羽生結弦の今後のゴールについて質問されると冒頭、英語で日本語で応える旨を説明した後「4回転アクセルを降りたいなって、それともに自分のプログラムを完成させたいなっと思っていた。でも、自分のアクセルは完成しちゃったんじゃないかと思ってもいて…これから先、やって行くとして、どういう演技をしていくか、いろんなことを考えてます。次の五輪をやるのか、どこでやるのか把握できてない自分がいて……正直混乱している。ただ、これからも羽生結弦として、羽生結弦の大好きなスケートを極めて行きたいなと思ってます」とまだまとまっていない考えを素直に吐露した。

最後に王者としての重圧についても、解放されたのかについて「これ最後に泣かせに来るやつですかね(笑)。とても重かったし、とても重かったからこそ、自分が目指しているフィギュアスケートや4回転アクセルを探求できたかなと思う。ソチで優勝してなかったら報道は少なかっただろう、(勝ったからこそ羽生結弦というスケーターがいると)注目してもらえるきっかけになっし、平昌でも『SEIMEI』やって応援したいと思ってくれる人がたくさんいて、だからこそ今の自分があると思っている。今回の3連覇ということは消えてしまったし、その重圧からは解放されたが、ソチ大会が終わったときに言ったことと同じで、ボクはオリンピック王者だし、2連覇した人間だし、2連覇した人間として誇りを持って胸を張って、明日の自分がきょうを見たときに胸を張っていられるようにこれからも過ごしていきたいと思う」と結んだ。

◆海外メディアも羽生結弦を速報 「時代を築いた」「影響力と勢いは比類ない」

◆羽生結弦、今後は明言せず「ちょっと考えたいです」「僕なりの4回転半できた」【一問一答】

◆フィギュア世界王者のチェンが羽生結弦を語る「ライバル関係とは言えない」

文・SPREAD編集部

《SPREAD》

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