【Bリーグ】B1ファースト・シーズンの群馬クレインサンダーズ、川崎戦連勝を起爆剤に上位浮上なるか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Bリーグ】B1ファースト・シーズンの群馬クレインサンダーズ、川崎戦連勝を起爆剤に上位浮上なるか

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【Bリーグ】B1ファースト・シーズンの群馬クレインサンダーズ、川崎戦連勝を起爆剤に上位浮上なるか
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神奈川県川崎市とどろきアリーナでは12、13日と、川崎ブレイブサンダース群馬クレインサンダーズが開催された。本来1月の21、22日に予定されていたが、群馬の選手数名が新型コロナウイルス感染症の陽性判定、濃厚接触判定を受けたことにより延期されていたカードだった。

 今シーズンからB1リーグで戦っている群馬は開幕前、長きに渡り日本バスケットボール界を牽引する五十嵐圭新潟アルビレックスBBから獲得、ヘッドコーチには栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)を初代Bリーグ王者に導いたトーマス・ウィスマンを招聘したことなどで話題を集めた。

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■B2圧勝で昇格しB1ファースト・シーズンへ

 昨シーズン、B2ではレギュラーシーズン52勝5敗という圧倒的な成績を残し東地区優勝。プレーオフでは、クォーターファイナルで山形ワイヴァンズを、セミファイナルでは越谷アルファーズを下し、ファイナルに進んだ茨城ロボッツとともにB1昇格を決めた。ファイナルでは茨城を2勝1敗で破りB2優勝。B2シーズンMVPに選出されたトレイ・ジョーンズや、昨シーズン千葉ジェッツから移籍をしたベテランの帰化選手マイケル・パーカーを中心にB2リーグを席巻。満を持してB1の舞台へ進んだ。  今シーズン、ジョーンズやパーカーに加え、前述の五十嵐など個々の能力も高い選手が集まり期待された群馬だったが、レギュラーシーズン前半戦はなかなか波に乗ることができずにいた。13勝18敗、東地区7位という順位で東地区首位に立っていた川崎と対戦した。

 川崎は水曜日に天皇杯準決勝を敵地で戦い、宇都宮を破り決勝進出を決めたばかり。明らかにコンディションの差が目立った。そんな川崎を相手に群馬はGAME1、ジョーンズが26得点、パーカーが25得点と爆発しチームを牽引、101-95というハイスコアで川崎を退けた。この試合で群馬はB1でのチーム最多得点数を記録した。

 試合後、ウィスマン・ヘッドコーチは「バランス良く点を取れたことに一番満足している」と語った。タレントぞろいと言われる川崎はベンチから登場した選手たちの総得点が16点だったのに対し、群馬は32点だった。その中には五十嵐の得点も含まれている。五十嵐は第3クォーターに3本連続でスリーポイントシュートを成功させ突き放しにかかるなど、ベテランの味が光るプレーを見せ健在ぶりをアピールした。

 またパーカーにいたっては、25得点のみならず17リバウンド6アシスト6スティールという素晴らしいスタッツを残し勝利に貢献していた。昨年12月5日、誕生日を迎え40歳に。五十嵐とともに40代コンビが躍動している。パーカーについて指揮官も「状態は非常に良く、とても40とは思えない運動量だ。彼がいることでどこが相手でも勝てるチームになる」と絶賛している。この試合でも38分55秒とほぼフル出場を果たしていた。波があるチームだからこそ「自分が一番エナジーを出さなければいけないと試合に臨んだことが、個人の結果にも繋がった」と静かに喜んだ。長く活躍する秘訣は「自分でも正直わからないんだ」と笑う。ただ年々、「自分の身体に問いかけることが重要だ」と感じている。「人には絶対に教えられないのだけど、絶対に欠かさないルーティーンがあり、それがとても大事。身体の健康さを保つこと」をより強く意識するようになった。衰えを知らずますます進化する姿には驚かされるばかりである。

 勝因のひとつにはリバウンドも挙げられる。群馬が記録した40本は、川崎の32本を上回った。パーカーだけでなく今シーズンから加入したオンドレイ・バルヴィンの存在も大きい。チェコ代表として東京オリンピックにも出場していたバルヴィンの身長は217センチ。コートの中でもその高さは際立っていた。オフェンス面もディフェンス面も武器になる存在だ。

 

■「個で戦っているイメージ」と苦言を呈す五十嵐圭

これだけの選手たちをそろえながら、なぜ群馬は前半戦波に乗ることができなかったのだろうか。ウィスマン・ヘッドコーチはディフェンスの課題を挙げた。GAME1、「試合序盤のディフェンスは良かったが、気が付けば95失点している。修正が必要だ」と語った。これまでの試合を振り返ると、最終4クォーターで逆転され敗れる試合が多々あった。そんな中、今回勝ち切れたことは大きい。追い上げられても「経験から焦らずチーム内で声を掛け合えた」と振り返った。ただ、ディフェンス面の修正は急務だ。

 GAME2も81-73と川崎を退け見事連勝した群馬。しかし、試合後ファンに挨拶をする五十嵐の表情に笑顔は無く、会見に臨む表情にも硬さが目立った。「シュートが入れば勝ち、入らなければ負ける」という波がある点を五十嵐も重く受け止めて、オフェンスディフェンス両面に同じ問題があると感じていた。「外国籍選手、帰化選手含めて能力の高い選手がそろっていて個で得点を取ることができるがチームとしての得点」に大きな課題がある。「アシストの数は多いが、チームとして自分たちが作ったフォーメーションの中から得点を取るといったシチュエーションが少ない」と苦言を呈す。

ディフェンス面においても「失点が多い。自分たちのシュート確率が高く、失点が多くても得点が上回っていれば勝てる。しかしクロスゲームやオフェンスで上手くいかない時は、平均得点が低いチームにも100点以上取られてしまっている」とこれまでを振り返った。30試合以上を戦った中で、「個で戦っているイメージ。個で守り、チームで守ることもできていない」こと「僕自身が群馬のバスケットボールを理解できていない」ということにとても焦りを感じていた。何度も「チームとしての連動性」を強調していた。

 ただそれだけではないようにも思う。五十嵐は後輩たちに「何かを伝えたい。チームを引っ張っていきたい」と強い思いも持ち移籍してきた。しかし残念ながら、現状では練習中も試合中も「何かを伝えるということにまで至っていない」という。「このチームになぜ来たのか、何をしたいのか」自身の考えや思いと「ヘッドコーチが求めていることに開きがある」と複雑そうに語った。さらに「群馬がどういうチームなのか理解できていない。迷いがある」といい、チームにフィットすることが「難しい」と厳しい表情を見せた。加入後、ヘッドコーチから五十嵐に対して「求めることの話は特になかった」のだという。

 今後については「伝えるよりも前にチームスタイルというものを確立していきながら、できることを伝えてプレーで見せていきたい」と語る。後輩たちへプレーで見せたいがそれが叶わないもどかしさを感じているようだった。五十嵐やパーカーのような経験豊富な選手たちの存在はチームにとても価値がある。「伝える以前の問題」を解決していくためには、コーチ、チームと選手とのコミュニケーションがより求められる。

 群馬は16日にホーム太田市運動公園市民体育館滋賀レイクスターズを迎え撃つ。その後日本代表戦のためにバイウィークとなり、次の試合は3月5日だ。バイウィーク前最後の試合で、連勝を伸ばし気持ちよく終えることができるか。連戦の体を休め、課題に取り組むだけの十分な時間はある。チームとして「どういう方向性に進みたいのか」、選手も「何を求められているのか」ということを「一人一人が確認していかないと勝利数は伸びていかない」と五十嵐も危機感を持っていた。チームとしての歯車を噛み合わせる大きな役割を果たせるか、五十嵐の挑戦は続く

後半戦、チームの連動性を高め戦う群馬の姿に期待したい。

◆五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため

◆悲願の制覇を胸に誓う川崎ブレイブサンダース、新シーズンも4強時代が続くか

◆Bリーグ最年長、元日本代表・五十嵐圭に聞く日本代表の現在地 「日本は世界レベルに」

■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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