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昨季の楽天はMLBから8年ぶりに田中将大が復帰し、涌井秀章、則本昂大、岸孝之の先発4本柱で優勝候補に挙げられながらも、2ケタ勝利は則本とプロ2年目の瀧中暸太のみで3位に終わった。
戦力的には上位2球団に見劣りすることない布陣で、2年目を迎える石井一久GM兼任監督の手腕が問われるシーズンとなる。
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■新加入・西川に期待される走塁改革
【投手力】
★★★★☆
先発四本柱は今年も健在。復帰1年目の田中将は自身初の負け越しとなる4勝9敗とまさかの成績に終わったが、チームトップの投球回数(155回2/3)でQS率は73.9%と内容的に衰えは感じられず、打線と噛み合えばまだまだエース級の働きは期待できる。とは言え、岸が37歳、涌井も35歳と高齢化は否めず、かつてのような数字を計算するのは酷と言うべきか。
若手は瀧中とルーキーイヤーから9勝をマークした早川隆久の左右の両輪がいるが、ローテ当落線上の弓削隼人や石橋良太のブレイクや、ケガからの復帰が期待される塩見貴洋や辛島航の復活などが欲しいところだ。
リリーフは絶対的クローザーの松井裕樹に、昨季63試合登板の宋家豪、ともに50試合以上登板の安樂智大、酒居知史が勝利の方程式を形成。他にも森原康平や西口直人、福山博之など新旧右腕は豊富なだけに、渡邊佑樹など、連投の効くリリーフ左腕の台頭が求められる。
【打力】
★★★☆☆
昨季、全試合出場の浅村栄斗と鈴木大地、初タイトルとなる打点王に輝いた島内宏明を中心に、茂木栄五郎、辰巳涼介、岡島豪郎、小深田大翔と、レギュラーがほぼ固定されている状態だが、浅村以外は全て左打者とバランスが悪い。4番打者候補としてギッテンス、マルモレホスの外国人2人を獲得したが、右打者のギッテンスが機能すれば打線の印象は変わる。
その他、レギュラー争いに割り込んできそうなのが、日本ハムをノーテンダーとなり移籍した西川遥輝で、外野争いは激化しそうだ。内野手ではプロ5年目の山﨑剛が昨季後半から遊撃の定位置を確保する勢い、打撃センスには定評のある小郷裕哉やコンディション不良から復活をかける銀次もいるが、とにかく左打者が多い。スイッチヒッターの田中和基やそろそろ後がないオコエ瑠偉、移籍組の横尾俊建、和田恋など右打者の台頭が期待される。
【機動力】
★★☆☆☆
昨季のチーム盗塁数はリーグ最低の45、4年連続リーグワーストと機動力が弱点のチームで、期待されるのが日本ハムから移籍した西川だ。盗塁王4度の実績を持つ韋駄天が、春季キャンプでは他の選手に走塁指導を行い、チームの意識改革が期待されている。
ともに昨季6盗塁の茂木、辰巳や5盗塁の小深田など、もともと走れる選手は少なくない。代走での起用が多い村林一輝やオコエなど、機動力に定評のある選手が定位置争いに参戦すれば、機動力アップが期待できそうだ。
【守備力】
★★★☆☆
昨季のチーム失策数はリーグ3位の64。遊撃手の小深田がリーグワースト3位の12失策で、二塁手の浅村と一塁での出場が多い鈴木がともに8失策と、内野は決して堅いとは言えない。外野も、辰巳は強肩と守備に定評があるが、岡島、島内など打撃優先の印象が強い。キャッチャーは正捕手の太田光がリーグ3位の盗塁阻止率.379を誇り、インサイドワークも含めた総合的な守備力の高い炭谷銀仁朗が第2捕手と、レベルが高い。
【采配】
★★★☆☆
田中将の古巣復帰や効果的なトレードなど、GMとして評価の高い石井兼任監督だが、グラウンドでは奇をてらうような作戦は少なく、采配はいたってオーソドックス。投手陣の継投は3連投を極力避けるなど、リリーフ陣に負担をかけない起用法が成功したが、豪華先発陣を擁してリーグ優勝を逃したと見るか、1年目から確実にCS圏内を確保したと見るか、評価が分かれるところだ。
現役時代には野村ID野球を叩き込まれた全権監督が、2年目でどんな采配を見せるか注目される。
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記事提供:ベースボール・タイムズデータ提供:野球DB