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昨季の西武は、1979年の球団創設時以来42年ぶりの最下位に沈んだ。コロナ禍や故障など、主力に離脱者が続出し、なかなかベストメンバーが揃わない状態が続いた。就任以来、4年間Aクラスをキープしていた辻発彦監督だが、このままチームが低迷期に入るのか、それとも再浮上できるのか、勝負の6年目となる。
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■山賊打線の復活に期待
【投手力】
★★★☆☆
4年連続リーグ最下位のチーム防御率をいかに改善するか。先発陣は2年連続開幕投手が確定している髙橋光成、昨季、自身初の2ケタ勝利をマークした松本航、初の2ケタ勝利を狙う今井達也が三本柱を形成。3人は右腕だけに、ドラフトで4球団が競合した隅田知一郎と2位の佐藤隼輔の2人のサウスポーが加われば厚みが増す。
新外国人のエンスも左腕で、昨季アスレチックスで31登板のスミスとともにローテ入りが期待される。19年に6勝を挙げている本田圭佑や浜屋将太、渡邉勇太朗らの若手も先発枠を争う。
リリーフは昨季ブレイクした平良海馬が抑えだが、19年から2年連続30セーブ以上の増田達至が復調すれば取って変わる可能性もある。中継ぎは十亀剣、平井克典、武隈祥太、公文克彦など経験豊富な選手が揃うが、宮川哲や水上由伸など、昨年の平良のような若手のブレイクが期待される。
【打力】
★★★★☆
山賊打線と呼ばれた強力打線も昨季は主力に故障者が続出し、チーム打率、同本塁打ともリーグ4位と低迷した。復調のキーマンになるのが18年から2年連続40本塁打以上をマークして連続本塁打王となった山川穂高。昨季は左太ももの故障で出遅れ、復帰後も調子は上がらず得点圏打率.172と不振を極めた。
さらに昨年、プロ1年目から44試合で20盗塁を記録しながら、左ひざの故障で戦線離脱した若林楽人の復調も期待される。4番打者とリードオフマンが復活すれば、もともと森友哉、中村剛也、源田壮亮、栗山巧、外崎修汰など、実績のある顔ぶれが揃っており、新外国人のオグレディとジャンセンの働き次第では、リーグ最強打線の復活も期待できる。
昨季100試合前後に出場した岸潤一郎や愛斗、山田遥楓に加えて、ルーキーイヤーから3本塁打を記録したブランドンと二軍で本塁打王と打点王の二冠に輝いた渡部健人の2年目選手の飛躍も期待されている。
【機動力】
★★★★☆
昨季のチーム盗塁数は84でリーグ3位。盗塁数では源田の24が最多だが、出場試合数のおよそ2試合に1つは盗塁を決めている若林が完全復活すれば、盗塁数はまだまだ増える。
他にも盗塁王2回の実績を持つ金子侑司や2020年まで4年連続20盗塁以上の外崎など走れる選手が多く、打撃のイメージが強い森も昨季は5盗塁をマークするなど、機動力はリーグトップクラスの力がある。
【守備力】
★★★★☆
昨季のチーム失策数はリーグで2番目に少ない65で、奪った併殺数がダントツの144と内野の守備力は高い。源田が8失策を記録しているが、守備範囲の広さや打球判断の的確さなど、遊撃守備は球界でもトップクラスの評価で、二塁の山田や外崎も玄人好みの守備を見せる。
その他の野手も内外野含めて5つ以上の失策数を記録している選手はいない。捕手はレギュラーの森が盗塁阻止率.274だが、控えの柘植世那と岡田雅利はともに同4割台とレベルが高い。
【采配】
★★★★☆
昨季は42年ぶりの最下位となったが、辻監督は3年連続Bクラスだったチームを就任1年目から2位に引き上げ、その後は2年連続のリーグ優勝、20年も3位と常勝軍団復活を思わせる実績を残している。
主力に故障者が続出した昨季は、1軍実績の少ない若手を積極的に起用。プロ2年目で9本塁打を放った岸など、5人の選手がプロ初本塁打を記録した。投手も育成出身の水上やサブマリンの與座海人に経験を積ませるなど、厳しい状況をプラスに変えられそうな采配で、巻き返しも十分期待できそうだ。
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記事提供:ベースボール・タイムズデータ提供:野球DB