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機構と選手会の交渉が行き詰まり、開幕が延期となったメジャーリーグ。6日(日本時間7日)も交渉が行われたが、金銭面での隔たりは依然大きく、目立った進展はなかった。そんな中、プレーに関する新ルール導入に関しては、いくつか合意を見た。米メディアは新ルールの一つ、「シフト規制」が大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)にとって追い風になるとした。
◆【図解】これがMLB2021シーズンまでの「大谷シフト」 相手チームは一、二塁間を3人で守る極端な守備位置
■米メディア「最も恩恵を受ける」
5日ぶりの対面交渉となったが、事態は好転しなかった。特にぜいたく税の課税基準となる年俸総額、年俸調停権獲得前の選手に支給するボーナスプールの総額に関して、両者の隔たりは大きく、話し合いは平行線を辿った。ただ、プレーに関する新ルールに関しては合意。「1.シフト規制」「2.ベースのサイズ拡大」「3.ピッチロック(投球間隔の時間制限)」の来季導入で一致を見た。
エンゼルスの情報を発信する米メディア「halo hangout」は、新ルールの中でも特にシフト規制に注目。「MLBがシフトを禁止することで最も恩恵を受けるエンゼルスの3人」と題した記事を掲載し、1番手は大谷翔平(2番手はマイク・トラウト、3番手はジャレッド・ウォルシュ)とした。
シフト規制が導入された場合、内野手4人が守る位置は、二塁ベースを挟んで2人ずつに制限される。例えば、大谷が打席に入った場合、相手チームは一、二塁間を3人で守るシフトは敷いてきたが、来季からはこれが禁止となる。
昨季の大谷は全打球の約半分(46.6%)が右翼方向だったように、強く引っ張る打撃が目立った。そのため一、二塁間を襲った当たりのいくつかは、分厚いシフトにより捕球されていたが、来季からは手薄になった内野手の間を抜けていく安打がより多く期待できる。
「halo hangout」は新ルール導入後の大谷ついて、「シフト禁止になったらどれだけ支配的になるか、想像できますか? オオタニと対峙するのは、もはやフェアではない。シフトの裏をかき、バント安打を狙うシーンはもう見られなくなるが、それ以上のものを見ることができるだろう」とし、極端なシフトが認められた昨季でさえ、メジャー史に残る成績を残した大谷が、シフト禁止になった場合、どれだけの安打を放つのか想像もできないとした。
新ルールは来季からの導入が濃厚だが、採用されれば大谷の安打数増加は間違いなさそうで、本塁打(昨季46本、ア・リーグ3位)、打点(同100打点、13位)とともに、打率(同.257、45位)でも上位に食い込んでくる可能性が出てきた。
■合意を見た新ルール
「1.シフト規制」=昨季マイナーリーグで試験的に導入されてきたもので、内野陣は二塁ベースを挟んで左右2人ずつの配置となるよう制限される。
「2.ベースのサイズ拡大」=これまでのベースサイズは15インチ(約38センチ)四方だったが、これが18インチ(約46センチ)四方になる。ベースが大きくなる分、わずかながら塁間も短くなり、盗塁成功の確率も高まることが予想される。
「3.ピッチロック」=投球間隔の時間制限のことで、無走者の場合、14秒。走者がいる場合は19秒となる。テンポよく進めるための手段で、試験導入されたマイナーリーグでは試合時間の短縮につながったとされる。
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文・SPREAD編集部
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(C)SPREAD編集部