
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平について、米地元紙「ロサンゼルス・タイムズ」は20日(日本時間21日)、「ショウヘイ・オオタニは将来の二刀流選手のハードルを上げすぎたのか?」というタイトルで記事を掲載。大谷が投打で残したハイレベルな成績が、「二刀流」に取り組む上での目安になると、あまりにも高い壁となり、今後「二刀流」にチャレンジしようとする選手が現れない可能性があると指摘した。
なお、大谷は翌21日(同22日)のカンザスシティ・ロイヤルズとのオープン戦登板を控え、ブルペンで投球練習を行い、変化球を交えて16球ほど投じ感触を確かめた。
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■「自分の願望の愚かさを知った」
「ロサンゼルス・タイムズ」の記事は大谷のチームメートであり、同じく「二刀流」を志していたジャレッド・ウォルシュ内野手に話を聞くことから始まる。ウォルシュはメジャー入り後も投手と一塁手の両方をこなすことに自信を持っていたが、大谷のプレーを見て「自分の願望の愚かさを知った」という。
かつて「二刀流になれるか」と問われれば、「問題ない」と答えていたウォルシュだが、大谷の姿を目の当たりして、「あんなにやることは無理だ」と悟ったという。ウェイトルーム、バッティングケージ、ブルペンで行う大谷の練習を見たウォルシュは、自分が二刀流に必要な肉体的な厳しさに耐えられるか疑い、「投げるより、(打者に専念して)600回打つほうがいい」と思い、二刀流を断念したという。
ア・リーグMVPに満場一致で選ばれた昨季の大谷の活躍が、二刀流を目指す若い選手を増やす動機になる、というのが野球界に広がるコンセンサスだったが、一方で大谷があまりに高いハードル(成績)を設定したために、メジャーまで二刀流を貫こうとしていた子供たちの意欲をそいでしまったのではないか、と考える向きもある。
ただ、大谷と同じ成績を残さなければ二刀流として成功したことにならないのかと言えば、それは別の話。今季、“新たな二刀流”としてエンゼルスに加わったマイケル・ローレンゼン投手も「マックス・シャーザーでない限り、先発投手として成功したということにならないのか? そんなの意味がない」と話し、二刀流選手もそれぞれ違い、すべて大谷に倣う必要はないと力説した。
■GMは「二刀流の波が到来」と予感
また、記事ではエンゼルスのペリー・ミナシアンGMのコメントも紹介されており、「期待値が現実的であれば、二刀流を追求することは何の問題もない」とした上で、「オオタニのようにやろうとする必要はない。オオタニほどのレベルでなくても、二刀流として成績を上げることは可能だ」と述べた。そして、「来年や2年後には見られないかもしれないが、5、10年後にはショウヘイが昨季成し遂げたことに影響を受けた、過去に見られなかったような二刀流選手の波がやってくると思う」と話した。
大谷の足跡が、メジャーを目指す子供たちに大きな影響を与えていることは確か。そして、大谷ほどの成績を残せないとしても、二刀流は選手の持つユーティリティ性の一つとして認められ、チーム編成に柔軟性をもたらすものとして活用される時代が来るかもしれない。
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文・SPREAD編集部