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シカゴ・カブスの鈴木誠也外野手は4日(日本時間5日)、シカゴ・ホワイトソックスとのオープン戦に「6番・右翼」で出場し、3打数2安打1打点、1四球だった。オープン戦初適時打と初マルチ安打を記録。開幕へ向けて調子を上げてきた。試合はカブスが15-9で打ち勝った。
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■ 地元メディアは批判の声に反論
1打席目は四球を選んだ鈴木。4回の第2打席は1死一、二塁から中前適時打を放った。さらに、5回の第3打席も95マイル(約153キロ)の直球を中前打し、初のマルチ安打を記録。第4打席は三振に倒れたものの、直近2試合では5打数3安打となり、開幕へ向けて調子を上げてきた。
この日の活躍を受けて、シカゴのスポーツ専門メディア「Bleacher Nation」は、「セイヤ・スズキはホームラン以外にヒットも打てる。この日はシングルも2本打って、今春のOPSは.938まで上昇した(これはどうでもいいことだが、彼が悪い春を送っていると心配していた人たちに対抗するためだ)」と記し、鈴木獲得を批判する一部の声を封じた。
もちろん、課題を指摘する向きもある。MLB公式サイトは「スズキはメジャーの投手に素早く適応できることを示す必要がある」と記し、制球、球速、投球動作などに慣れる必要性を説いた。実際、本人も試行錯誤を繰り返しており、この日は左足を上げて適時打を放ったが、ノーステップで本塁打をかっ飛ばした打席もあった。
3日(日本時間4日)には、シンシナティ・レッズの秋山翔吾が開幕ロースターから外れたが、これもメジャーの投手に適応できなかったことが原因の一つ。かつては、イチローもメジャー移籍後、振り子の幅を日本時代より小さくしたし、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平もノーステップ打法にし、さらにスイングをアッパー気味に変化させて爆発した。松井秀喜は意識を変え、後ろ足に重心を残して逆方向に強くボールを叩けるようにしたという。これまで右足を上げてタイミングを取ってきた秋山も今キャンプではノーステップに挑戦したが、打率.182と結果が伴わなかった。
MLB公式サイトは「この春、スズキのポテンシャルを垣間見ることができたが、日本人スラッガーは成長曲線を描く必要があることも明らかである」とし、今後さらに調子を上げていくことを期待した。これまでもメジャーの投球、特に速球に苦しめられた日本人野手は多い。鈴木がその壁を越えることができるのか。鈴木は日本時代にもノーステップで打つケースがあり、タイミングの取り方で苦しむ可能性は低いと予想されるが、早急に適応することが求められていることは確かだ。
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文・SPREAD編集部