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【スポーツビジネスを読む】公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二チェアマン 後編 Bリーグの将来構想とは何か

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【スポーツビジネスを読む】公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二チェアマン 後編 Bリーグの将来構想とは何か
【スポーツビジネスを読む】公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ島田慎二チェアマン 後編 Bリーグの将来構想とは何か 全 1 枚 拡大写真

公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグBリーグ島田慎二チェアマンと言えば、現在推し進めつつある「Bリーグ将来構想」に触れないわけにはいかない。逆に「Bリーグ将来構想」を牽引しているのが、島田チェアマンだとしても過言ない。そう思い込んでいたため、水を向けると次々と意外な言葉が返ってきた。

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■「クラブの成長なくして、リーグの発展なし、リーグの発展なくして、バスケ界の繁栄なし」

「もともとは大河さん(前任者の大河正明・現びわこ成蹊スポーツ大学学長)が進めていたBリーグ構造改革がはじまりです」と開口一番。

2019年10月に2019-20シーズンは開幕。しかし20年の年始から新型コロナウイルス騒ぎが始まり、3月にリーグはシーズン途中で残りの全試合が中止に。その後大河さんは退任し、後を受けて同7月1日に島田さんがチェアマンに就任した。その就任時、島田さん自身は将来構想にあまり触れていない。

Bリーグの将来構想について語る島田慎二チェアマン(撮影:SPREAD編集部)

具体的なところを検討していったのは就任してからですよ。各クラブの社長に将来構想についての考えを訊ねてまわりました」。

そもそも「Bリーグの将来構想とは何なのか」、コロナ禍で事務方とオンライン会議を重ね、煮詰める作業が必要だった。何のためなのか。なぜなのか。どこを目指すのか。島田さんは「クラブの成長に資するのであればやる。資さないのであればやらない。クラブの成長なくして、リーグの発展なし、リーグの発展なくして、バスケ界の繁栄なし」と自身の指針を打ち立てたという。

「クラブの成長とはなんぞや。クラブの売上、集客、地域社会へのポジティブな影響をもたらすために、アリーナは必要だよね。ソフトであるクラブとハードであるアリーナで地域を盛り上げていく。その大義があれば、エッセンスは成り立つ。そこでB1、B2B3の役割を定義しなおし、作り上げていきました。その上で各クラブに問うて、そして、進めていくことになった。」とBリーグ改革の現状について明かしてくれた。

「Bリーグ将来構想について少しだけ解説しておく。イメージとしては、現在のB1の上に「新しいB1」を作り、2026年から単年競技成績のみによる昇降格のないリーグへと移行する。各クラブには、その新B1への参入条件として以下を課している。

新B1アリーナ基準を充足するアリーナ 1試合平均4,000人以上の入場者数年間12億円以上の売上高

アリーナについては、サイズよりも「観るためのアリーナ」というテーマを重視。スイートルームの設置やトイレや車椅子席の数など、こうした条件によっては5,000人以上のサイズでもクリアとなるという。

■「社会的意義のため、Bリーグは貢献して行きたい」

単年競技成績のみによる昇降格制度を廃止すると言っても閉鎖的なリーグではない。2024年から審査を開始し、26年に新B1がスタート。その後もクラブライセンス基準により事業性でクラブを審査し、条件を満たしたクラブはより上位のディビジョンへの参入が可能である。

「こうした改革は、より関係する全員が当事者意識をもってやっていきたいですよね。リーグがイニシアティブを握る時もありますが、クラブの意向を基に、総意で推進しないといけません」。クラブとの合意形成を形にしたのは現チェアマンの力量かもしれない。組織のトップなので「スピーカー」にも徹する。しかし、実行するのはやはりリーグであり、クラブなのだ。

Bリーグの話をする島田慎二さん(撮影:SPREAD編集部)

島田さんは、この改革についても、地方創生につながっていると、もちろん認識している。「まだ世の中的に小さい組織ですが、でもバスケやスポーツは地方創生のコンテンツとして、ひとつのモデルになりうると思っています。そして、その結果を他のジャンルにも波及できるかもしれない。バスケ界がすべてではありませんし、現状のバスケ界の中だけで盛り上がったとしてもビジネスの市場も大きくならない。Bリーグの盛り上げをもって地域社会に活力を与え、社会的意義が実現されないと、(Bリーグの)存在意義がありません。その社会的意義のため、コンテンツとしてのスポーツ、Bリーグは貢献して行きたい。私の中ではこれが一丁目一番地です」と断言する。

スポーツは売上の規模以上に世の中に対する存在感を発揮しやすい。その上で、島田さんはこう話す。「アリーナは手段、集客も売上も手段。あくまでも地域社会へポジティブに貢献するための基準、ファンダメンタルを定義しているに過ぎません。ゴールはアリーナではありません。アリーナを通して何を実現するのか。地方創生、地域社会への貢献には、どのリーグよりも強い思いを持っているつもりです。地方創生と社会的意義、それを具現化するにはどうすべきか、逆算しての改革です」。

「己の命を世代世代に燃焼して行くべし」と信条を披露(撮影:SPREAD編集部)

Bリーグは、ファンタシースポーツNFTなど先端技術を用いた新しいビジネスにも、すでに乗り出している。また、2022年から、前シーズンのB1上位クラブは、東アジアスーパーリーグ(EASL)という東アジアの新リーグにも出場することになる。

島田さんは最後にこう締めくくった。「ひょんなことから関わった世界ですけど、己の命を世代世代に燃焼して行くべしと思って生きていますから」。世界旅行は先延ばしとなってしまったものの、日本のバスケ界における島田チェアマンの旅路はまだまだ続きそうだ。Bリーグは、彼の手腕によりまだまだ大きく成長して行くことだけは間違いない。

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著者プロフィール

松永裕司●Stats Perform Vice President

NTTドコモ ビジネス戦略担当部長/ 電通スポーツ 企画開発部長/ 東京マラソン事務局広報ディレクター/ Microsoft毎日新聞の協業ニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」プロデューサー/ CNN Chief Directorなどを歴任。出版社、ラジオ、テレビ、新聞、デジタルメディア、広告代理店、通信会社での勤務経験を持つ。1990年代をニューヨークで2000年代初頭をアトランタで過ごし帰国。Forbes Official Columnist

《SPREAD》

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