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2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「ラリー・ジャパン」は10日から13日まで、豊田市豊田スタジアムにサービスパークを置き、愛知県・岐阜県にわたって12年ぶりに開催される。
すでにドライバーズ・タイトル、マニュファクチャラーズ・タイトルを獲得しているTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamにとっては、初の凱旋レース。12年ぶりに日本で開催されるWRCイベントで、今シーズン8回目の優勝と、ホームラリー制覇を目指す。
◆【スポーツ回顧録】ラリー・ジャパン日本初開催、日常に轟き降りた非日常の衝撃的走り
■勝田貴元の走りにも期待
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この熱気がいよいよ日本にもやって来る (C) TGR
第11戦ラリー・ニュージーランドではカッレ・ロバンペラがシーズン6勝目を挙げ22歳というWRC史上最年少記録でドライバーズタイトルを、ヨンネ・ハルットゥネンがコ・ドライバーズタイトルを獲得。そして、約3週間後の第12戦ラリー・スペインでは、昨年の王者セバスチャン・オジエがシーズン5回目の出場で今季初優勝を飾り、チームは二年連続となるマニュファクチャラーズ・タイトルを決定。昨年に続き、今シーズンも三冠を獲得している。
ラリー・ジャパンはかつて、2004年から10年にかけて北海道で6回行われ、今回は12年ぶりの開催。戦いの舞台は北海道から愛知県および岐阜県へと移り、ステージの路面はグラベル(未舗装路)からターマック(舗装路)に変わるなど、完全に新規のラリーとして行われる。本来2020年に開催が予定されていたものの、新型コロナウィルスの影響により2年連続で開催取りやめとなっていた。愛知県豊田市はトヨタにとってホームタウンで、チームの本拠地で開催されるラリー・フィンランドと同様にホームラリーとなる。
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第1回 ラリージャパンを制したペター・ソルベルグ(右)とコ・ドライバーのフィル・ミルズ(左) (C)Getty Images
ラリーの中心となるサービスパークは、「豊田スタジアム」に置かれ、ステージは愛知県豊田市、岡崎市、新城市、そして岐阜県の中津川市、恵那市に設定されている。ラリージャパンのステージは、岡崎市の河川敷の一部区間を除けば全てターマックであり、山岳地帯の一般道が大部分を占める。山岳地帯の道は全体的に道幅が狭く、ツイスティなコーナーの連続で、かなりテクニカルなステージ。一方で、道幅が広く、緩やかな中高速コーナーが続くセクションもあり、ドライバーは速度とリズムの変化に、上手く対応しなければならない。また、木々に囲まれている山岳地帯の道は、秋季は落ち葉や落ち枝が多くあり、それが路面のグリップ変化の要因となると予想される。さらに、11月の山間部は特に早朝気温が非常に低くなるため、路面温度が上がらず、タイヤのグリップを得るのが難しい。
トヨタのオジエはラリー・ジャパンへの出場経験が過去1度あり、北海道開催最後の2010年大会で優勝。WRCキャリア2勝目を飾った。また、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationから、GR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦する勝田貴元は2019年の「セントラルラリー愛知・岐阜」で総合優勝を飾っており、地元での表彰台が期待される。
■ターマックでのラリー、その展開は……
ラリーは10日午前に豊田市の鞍ケ池公園でシェイクダウンが行われ、その後夕方からデイ1として競技がスタート。シェイクダウンのステージのほぼ逆走となるSS1「クラガイケ・パーク」が、ナイトステージとして開催される。山岳地帯での本格的なステージは11日のデイ2から始まり、愛知県の豊田市および設楽町で「イセガミズ・トンネル」、「イナブ・ダム」、「シタラ・タウン R」という3本のSSを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のSSの合計距離は130.22kmに達し、全SSの走行距離の半分近い距離を一日で走り切る。
12日のデイ3は、愛知県の豊田市、岡崎市、新城市で「ヌカタ・フォレスト」「レイク・ミカワコ」「シンシロ・シティ」「オカザキ・シティ SSS」という4ステージ、全7SSを走行。そのうちSS10シンシロ・シティのみ、1本だけの走行。また、一日の最後に岡崎市中心部の河川敷で行われるSS13/14オカザキ・シティ SSSは距離が1.40kmと短く、2本連続での走行に。ステージの一部区間はグラベルとなる。
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凱旋王者ロバンペラ この走りが日本でいよいよ (C) TGR
ラリー最終日となる13日のデイ4は愛知県と岐阜県が舞台となり、SS15/19「アサヒ・コウゲン」、SS16/18「エナ・シティ」、SS17「ネノウエ・プラトー」という5本、合計69.82kmのステージを走行。そのうち、最終ステージのSS19はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。ステージは全部で19本、その合計距離は283.27km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は965.25kmとなる。
なお、今回のラリー・ジャパンでは2台のコンセプトカー、GR YARIS Rally2 ConceptとGR YARIS H2が、ギャラリーステージとなる「オカザキ・シティ SSS」の直前にデモ走行を行う予定。初公開となるGR YARIS Rally2 Conceptは、レースだけでなくラリーにおいてもカスタマーモータースポーツに本格的に取り組んでいくことを目指し、多くのチームが参戦するWRC2カテゴリーなどで使用されるRally2車両規定で開発しているコンセプトカー。またイープル・ラリー・ベルギーで走行した水素を燃料とする実験的なコンセプトカーであるGR YARIS H2も、日本のファンの前でその走りを披露する。ステアリングを握るのは、それぞれ4度のWRC王者であるユハ・カンクネンとトミ・マキネン。二人のレジェンドがデイ3、SS13「オカザキ・シティ SSS」の競技開始前のステージを走行する。
今シーズンの王者ロバンペラはここに向け「ラリー・ジャパンにようやく出場できることになって、とても嬉しいです。特に、今シーズンはチームと共に良い成績を収め、既にチャンピオンも獲得しているので、チームはよりリラックスしてホームラリーを楽しむことができます。ですので、思いきりプッシュして、最後に良い結果を残したいと思っています。3年前にステージを何本か下見しましたが、かなりトリッキーなラリーになりそうです。道幅が広くてスムーズな路面の道もあれば、非常に狭い森の中のセクションもあり、そこでは路面がかなりダーティになる可能性があります。慣れない道を走りペースノートを新たに書き起こすなど、ラリー前のレッキはとても大変そうです」と意欲を見せている。
また、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは「ラリー・ジャパンのWRC復帰は、私たちが長い間待ち望んでいたことですし、TOYOTA GAZOO Racingのホームラリーに参戦できるのは、非常にエキサイティングなことです。このような素晴らしいシーズンを送った後、それほど大きなプレッシャーを感じることなく日本に行くことができるのは嬉しいですし、ラリーを楽しみたいと思います。また、GR YARIS Rally1 HYBRIDの走りをファンの皆さんに見ていただき、最高の結果を出したいとも思っています。ツイスティな山道は道幅が非常に狭いところもあり、秋の落ち葉もあって路面のグリップレベルが頻繁に変わる、ドライバーにとってトリッキーなラリーになりそうなので、しっかりと準備をして臨まなければなりません」とコメントを寄せている。
日本中のラリー・ファンが待ちに待ったラリー・ジャパン、いよいよ10日開幕だ。
それにしても、かつてWRCで一世を風靡したスバル、三菱の姿が見えないのはさみしい限りだ。
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文●SPREAD編集部