【HEROs AWARD 2022】受賞は川崎フロンターレ、鈴木武蔵、堀由美恵、益子直美 「夢や希望、自信を持たせてくれる」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【HEROs AWARD 2022】受賞は川崎フロンターレ、鈴木武蔵、堀由美恵、益子直美 「夢や希望、自信を持たせてくれる」

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【HEROs AWARD 2022】受賞は川崎フロンターレ、鈴木武蔵、堀由美恵、益子直美 「夢や希望、自信を持たせてくれる」
【HEROs AWARD 2022】受賞は川崎フロンターレ、鈴木武蔵、堀由美恵、益子直美 「夢や希望、自信を持たせてくれる」 全 1 枚 拡大写真

社会貢献活動に取り組むアスリート・チームを表彰する国内最大の式典「HEROs AWARD 2022 表彰式」(主催:日本財団)が20日、The Okura Tokyoで行われた。アスリートが行う社会貢献活動を促進する取り組みの一つであり、より一層、アスリートの社会貢献活動を推進し、多くの人の関心や行動を生み出すことを目的とし、毎年12月にロールモデルとなる社会貢献活動に取り組むアスリートを表彰、今年で6回目を迎えた。

◆「HEROs AWARD 2021」に千葉ジェッツ、村田兆治さん、寺田明日香さん 「社会貢献の輪を広げていく」

■「アスリートの力がどれくらい影響を与えているか」

これまでには、サッカーを通じた共生社会作りが評価された日本障がい者サッカー連盟や、選手を中心に地域貢献活動を取り組むプロバスケットボールクラブ、千葉ジェッツふなばし、地元・熊本での震災復興支援活動が評価された元サッカー日本代表の巻誠一郎さんなどが受賞している。

式典のはじめ、日本財団の笹川陽平会長からは「もともと(元サッカー日本代表)中田英寿さんの考えから始まったもの。アスリートの力がどれくらい影響を与えているのか。みなさんの力は、皆さんが思う以上に夢や希望、自信を持たせてくれている」と出席したアスリートに激励の言葉を贈った。

今年の表彰式では、アスリート部門でサッカー選手の鈴木武蔵、元プロボディボーダーの堀由美恵、元バレーボール日本代表の益子直美が受賞。団体部門では川崎フロンターレ、アーティスト賞は森山直太朗が受賞。

■「現役のアスリートは確実に影響を与える」と鈴木武蔵

Jリーグ村井満・元チェアマンから表彰を受ける鈴木武蔵(右)

アスリート部門を受賞した鈴木は、ジャマイカ人の父と日本人の母の間に生まれ幼少期にいじめや差別を受けた経験から、同じく境遇にいる子供たちの力になりたいと「Hokkaido Dream」を創設。サッカー大会「MUSASHI CUP」の開催や、農業支援サイト「レスキューヒーロー」やコロナ禍におけるフードロス問題の解消を行うなど多岐にわたる活動が評価された。

「周りの子供たちや人々を幸せにするため活動してきた。現役のアスリートは引退後より確実に影響を与えられる。他のアスリートとも協力し社会貢献活動を続けていきたい」と、今後の取り組みへも意欲を見せた。

同じくアスリート部門を受賞した堀は、両耳の聴力がない自分とボディボードとの出会いから、海は障がいの有無に関係無く平等な世界があると気が付いた経験から、引退後に障がい者が活躍できる社会の実現を目指し一般社団法人「陽けたら海」を立ち上げ、子供たちにボディボードやヨガを教えている。「私は小さい頃、人の後ろに隠れて過ごしていた。今こうして人前で話せるのは、スポーツと海の力があるから」と、受賞後に喜びを語った。

■「他の競技へも活動を広げたい」と益子直美

元バレーボール日本代表 益子直美

また益子は、幼少期から怒られる指導を受けてきたため、自信を持てずスポーツを楽しむことができなかった経験から、一般社団法人監督が怒ってはいけない大会を立ち上げた。スポーツが子供の成長に重要な役割を果たすこと、現場の変化や教育の観点から社会にポジティブな影響を与える意義のある活動と評価を受けた。

「来年1月で9年目を迎える活動。本当にこの活動は正しいのかと悩みながら続けてきた。益子が甘い活動をするから日本は弱くなるという声も届いた。子供たちが楽しそうに、もっと練習したいという声をかけてくれるので細々と活動を続けてこられた」と明かした。さらに今後、「他の競技へも活動を広げるために続けていきたい」と意欲を見せていた。

プレゼンターを務めた日本バレーボール協会・川合俊一会長は、「体罰がまだバレー界には蔓延していると思う。指導者のせいで子供に夢を諦めさせてはいけない。スポーツは楽しいものと先頭に立って伝えて欲しい」と益子へエールを送った。

■フロンターレは川崎の誇り

団体部門で受賞した川崎フロンターレは、25年前のクラブ創設期から、クラブが地域へ根付くため自分たちが地域へ関わることをはじめた。クラブと地域は一体となり発展してきた歴史、築き上げられた文化があり、選手たちが主体的に社会貢献活動に取り組む姿勢が評価を受けた。「当時は社会貢献活動という言葉はなかった。創設期から続けてきた取り組みが、結果的にSDGsだった」という中村憲剛のコメントも会場では紹介された。

スピーチする川崎フロンターレ吉田明宏社長(左)と中西哲生

地域貢献度第1位を10年連続で獲得し、川崎のブランドイメージを変えるほどの継続的な活動はプロスポーツチームのロールモデルと評された。プレゼンターとして登場した後援会長を務める福田紀彦川崎市長は、「本当におめでとうございます。地域で地道に続けてきた活動。フロンターレが強いから好きなだけでなく、生活の中にフロンターレがある。活動は数えきれず、このようなクラブが、日本に我が街にあることを誇りに思う」と、受賞をともに喜んだ。

川崎フロンターレの吉田明宏社長は「東京と横浜に挟まれ、なかなかスポーツが根付かない街だった。川崎市民からはまたどこかへ出て行ってしまうのだろうという冷ややかな反応を受けた」ことを明かした。地域に貢献することで、根付き愛されるクラブになり、現所属選手たちも受け継ぎ活動している。「現役世代やこれからの子供たちにも励みになるだろう」とコメントした。

中西哲生は、「川崎の方々を笑顔にする活動を続けた結果、フロンターレというチーム名を覚えてもらうことができた。一人で始めたブルーサンタ活動(クリスマスに家に帰ることができない子供たちに笑顔を届ける取り組み)を今も選手たちが続けてくれている。より強く大きく活動していく」と力強く今後へ向けても語った。

アーティストの森山は、「教員の方から届いた一通の手紙からはじまった」企画で、コロナ禍で当たり前の学生生活を送ることができない子供たちへ名曲「さくら」を届ける取り組みが評価されての受賞となった。「当事者や最前線で頑張る人々をどう励ますか、企画を通して学ぶことができた」と受賞後にコメントした。

■日本のアスリートは「至れり尽くせり」と井本直歩子

左から司会を務めたハリー杉山、井本直歩子、鳥海連士

また式典では、元競泳選手でアトランタ五輪にも出場した井本直歩子と、車いすバスケットボールの鳥海連士によるトークセッションも行われた。中学2年生から日本代表として戦い続けた井本は、「国際大会で、発展途上国の選手と出会い、私は至れり尽くせりの環境で親やコーチの支えを受け恵まれていると知った。引退後は、国連で働きたいと思うようになった」といい、現在は、紛争や自然災害の影響で教育を受けられない子供たちのために、緊急状態の中で教育システムをいかに早く立ち上げるかをユニセフの一員として取り組む一方、一般社団法人 SDGs in Sportsを立ち上げ社会貢献活動に取り組んでいる。

また、「東京パラリンピックに出場し、知っていただき声をかけていただくことが増えた」という鳥海は、義足での日常において「階段や坂を下るなど普段の少し難しいことは、競技を通しては表現できない」という気づきから、母校での講義を通して「障がいがあってもなくても、隣の友達の手を借りて問題を解決することは変わらない。苦しいことがある時は友達が手を差し伸べればいい」と伝えている。

また、車いすバスケットボールの3×3の大会を主催。試合の横で子供達が車いすの体験をした。これが共生社会で助け合う社会の体現だと感じ嬉しかった」と明かしていた。今後の活動についても、「街中で親しみのある車いすバスケットボールの大会を目指し、色々な人がともにその地域で生活していることを表現していきたい」と意欲を見せた。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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