
世界ラリーレイド選手権(W2RC)開幕戦ダカール・ラリー2023は11日、12日目を迎えステージ10が行われた。いよいよサウジアラビア特有の“空白地帯”に突入。総走行距離541キロのうち90%が完全な大砂漠。114キロのスペシャル・ステージは今大会中、もっとも短く、スプリントとも言えるスピードを争いとなった。
◆10日目 ローブ、ペテランセル、サインツと大クラッシュの大波乱が続く2023年 後半の空白地帯で待ち受けるドラマは…
■絶対王者ローブのスピード
スピード勝負となれば世界ラリー選手権(WRC)9連覇の王者セバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム)が黙っていない。このショート・ステージを1時間48分32秒で走破し、ステージ9から3連勝。ミスター・ダカールステファン・ペテランセル、大ベテランカルロス・サインツ Sr.(ともにアウディ)が脱落した今大会で、ひと際その存在感を発揮。総合2位トヨタのルーカス・モラエスにわずか16分9秒まで迫り、昨年同様準優勝が狙える位置まで追い上げて来た。

人知及ばぬ広大な空白地帯がラリーの舞台 (C) A.S.O./E.Vargiolu/DPPI
総合1位を死守したいTOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤは得意の砂漠ながらステージ4位。ローブとの差は1時間37分あるだけに、トラブルなく安全走行に徹したところだろう。
ローブは「ミスもなく、トラブルもなく、良いステージだったよ。先頭でのスタートだったけど、(常に先行してスタートする)バイクの走行跡があったし問題なかったよ」とステージ3連勝中だけに上機嫌。
追われる立場のアル-アティアは「SSは短いけどタフだった。ついに空白地帯だ。我々は何が必要かわかっているし明日に向けちょうどいいテストにもなった。クルマの調子もいいし、ミスもなかったしね。今日はリスクをおかし、あまりプッシュしたくなかった。なにしろマラソン・ステージは明日だからね」と安全走行は明日のステージに向けたテストだと明かした。
果たしてWRC王者の逆襲はさらに続くのか。表彰台独占が期待されたトヨタ勢は、このまま引き下がるのか、砂漠の戦いは残り4ステージだ。
ステージ10(12日目)結果
1.SEBASTIEN LOEB(BAHRAIN RAID XTREME) 01H 48′ 32”2.MATTIAS EKSTROM(TEAM AUDI SPORT)+ 03′ 04”3.LUCAS MORAES(OVERDRIVE RACING)+ 05′ 22”4.NASSER AL-ATTIYAH(TOYOTA GAZOO RACING)+ 05′ 45”5.YAZEED AL RAJHI(OVERDRIVE RACING)+ 06′ 01”
総合順位
1.NASSER AL-ATTIYAH(TOYOTA GAZOO RACING)36H 13′ 37”2.LUCAS MORAES(OVERDRIVE RACING)+ 01H 21′ 34”3.SEBASTIEN LOEB(BAHRAIN RAID XTREME)+ 01H 37′ 23”4.HENK LATEGAN(TOYOTA GAZOO RACING)+ 01H 48′ 37”5.GINIEL DE VILLIERS(TOYOTA GAZOO RACING)+ 02H 10′ 56”
◆【ダカール・ラリー2023】特集 トヨタが狙う三菱以来となる日本勢連覇 最新ニュース一覧
◆7日目 ペテランセル、サインツのアウディ勢がクラッシュで全滅、トヨタのアル-アティヤが3度目のステージ制覇
◆レジェンド、ケン・ブロック事故死に世界から哀悼の声 「多大な貢献をした才能」とジェンソン・バトン
文●SPREAD編集部