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ロサンゼルス・エンゼルスは23日(日本時間24日)、昨夏より進めていた球団売却交渉の中止を発表。現在のアルテ・モレノ・オーナーが2023年以降も保有することが決まった。球団買収に手を挙げた候補者が来月にも入札額を提示すると言われていた中での急展開。衝撃は一夜明けた24日(同25日)も収まらず、米メディアは今回の決定が大谷翔平の去就に及ぼす影響を中心に論じている。
◆「大谷翔平がエンゼルスを去る日」 モレノ・オーナー突然の売却中止に米メディアもファンも嘆き節
■落ち込む入場者数に危機感
米地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』は、「モレノ・オーナーはファンを取り戻すために取り組まなければならない長いリストを抱えている」との見出しを掲げ、記事を公開した。
同記事は、昨季のエンゼル・スタジアムの入場者数が250万人を下回り、20年ぶりに300万人に届かなった(コロナ禍のシーズンを除く)ことを指摘。人気回復のために同オーナーが特にやるべきことを9つ列挙し、そのひとつに「大谷との再契約」を挙げた。
「モレノが最高の選手を引き留められないのなら、彼は何のためにこのビジネスをしているのか。オオタニの次の契約は総額5億ドル(約648億円)以上になる可能性があるが、モレノはそれ以上の投資をする意思を持たなければならない」と資金面での覚悟を求めた。
■贅沢税を恐れぬ補強促す
メジャーではチームの年俸総額が一定基準を超えると「贅沢税」が科せられるが、モレノ氏はかねてよりこの基準額を超える投資には否定的。つまり、オオタニやマイク・トラウト、アンソニー・レンドンらスター選手に一点集中で予算を費やすと、「贅沢税」を回避するためには残りのロースターを安価に抑えなければならなくなる。
しかし、レギュラーシーズンで上位に行くためには、間違いなく大谷らスター選手の脇を固める選手たちがポイントとなり、彼らにお金をかけることが重要。記事は「モレノは不満を漏らすかもしれないが、これは球団運営に必要なコストだ」と断じ、スター選手に続く実力者を確保するためには贅沢税の課税基準を超える投資が必要になると訴えた。
「オオタニとの再契約の前に立ちはだかる障害はお金だけではないが、まずはオオタニを納得させる必要がある」とし、大谷の望む「勝てるチーム」にするために緊縮財政からの脱却を促した。
■ニューヨークにとっては悪いニュース
一方、米ニュースサイト『NJ.com』は今オフのエンゼルスの補強状況について好意的な評価を与え、「モレノがアナハイムで勝者を作ることに専念している今、エンゼルスがオオタニと再契約する可能性は間違いなく高まっている」と分析。「オオタニに5億ドルを投じることを夢見たニューヨーク・ヤンキースやニューヨーク・メッツのような大市場のチームにとっては、(オーナーの続投は)悪いニュースだ」と記した。
いずれにせよ、トラウトが23日(日本時間24日)、『MLBネットワーク』の番組内で「ショウヘイと数年間一緒にプレーして分かったのは、ショウヘイは勝利よりも手にしたいことは何もない」と語ったように、大谷がエンゼルスを去るか否かは年俸などお金より、今季のチーム成績が重要な判断基準となることは間違いないだろう。
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文●SPREAD編集部