
ロサンゼルス・エンゼルスのアルテ・モレノ・オーナーが11日(日本時間12日)、米老舗スポーツ誌『スポーツイラストレイテッド』のインタビューに応じ、球団売却中止騒動や今シーズン終了後にフリーエージェント(FA)となる大谷翔平について語った。また、米複数メディアがこの発言を受け、今後の展開を予想している。
■トレードは、メジャーリーガー3人必要
昨夏にモレノ・オーナーが表明した球団売却構想。しかし今年1月、交渉中止を突如発表し、引き続きエンゼルスを保有すると宣言した。この一連の動きについて、同オーナーは「希望の売却価格に達したオファーもあった」と振り返りつつ、買い手候補の1人から「本当は売りたくないのでは?」と問われ、再考に至ったと明かした。交渉の席では2020年にスティーブ・コーエン氏がニューヨーク・メッツを買収した時の24億2000万ドル(当時のレートで約2600億円)を超える金額も3者から提示されたが、断りを入れたと説明した。

侍ジャパンの大谷翔平(C) Getty Images
そして、売却中止に関する発言以上に注目を集めたのが大谷翔平を巡るコメント。まず、昨季について「トレードを求めるオファーが5件あった」と打ち明け、応じなかった理由として「彼は最高の打者であり、最高の投手であり、そして1番人気がある選手。(トレードで獲得しようとすれば)彼に見合うようなメジャーリーガー3人を交換に差し出すか、あるいはファームシステムを空っぽにするしかない。しかし、そういうことをするチームはないでしょう」と語った。
■低迷すればトレード認める可能性
では、今季はどういう対応を取るのか。モレノ・オーナーは「チームがプレーオフ進出を争っている状況であれば、(昨季と同じように)トレードに出さない」と話した。ただ、「ではポストシーズン争いから脱落したらどうか」という問いかけには、「今季の編成はプレーオフを考えて計画したもの。この先何が起こるか考えたりしない。ボクサーは負けた時のことを考えてリングに上がらないだろう。我々も同じだ」と明言を避けた。
この発言に多くの米メディアが反応。トレードに応じないのは「あくまで上位を争っている場合であり、低迷すればトレードに応じる」と解釈された。その結果、「アルテ・モレノ氏、エンゼルスがショウヘイ・オオタニをトレードしないと主張。プレーオフ圏内を争っている間は…」(MSN News)や「ヤンキースとメッツ。オオタニの獲得に有利なのはどっち。エンゼルスのオーナー、貴重なインタビューでヒントを提供」(NJ.com)などの見出しが躍った。
大谷は今季終了後にFAとなる。もしシーズン中に再契約で合意できなければ、エンゼルスは何の見返りもなく、オフにはただ黙ってスーパースターを送り出すことになる。現地も「さすがにそれは避けるだろう」との見方が強く、夏のトレード移籍を有力視する声も多い。もちろんシーズン中に快進撃を見せれば、「勝てるチームでプレーしたい」と語ってきた大谷も残留に傾く可能性はある。

ロサンゼルス・エンゼルス 大谷翔平 (C) Getty Images
■大型契約を提示できる球団は少数
しかし、大谷の次期契約は総額5億ドル(約672億円)を超え、6億ドル(約806億円)も視野に入るとされている。そのため、多くのメディアが「オオタニはヤンキースやメッツといったビッグマーケットとリンクしている」と記し、そもそも超大型契約を提示できる球団は限られていると指摘。そのため、緊縮財政の目立つエンゼルスが争奪戦を降り、FA市場に出ていかれる前にトレードを選択する可能性は十分ある。
モレノ・オーナーの発言は、トレード話に現実味を与えたようだ。
◆大谷翔平と“たっちゃん”も大爆笑 牧秀悟の試合前円陣が話題「あとから行く人たち、もう準備できてます」
◆佐々木朗希の162キロ死球を受けたエスカラは韓国戦出場 彼のあだ名は「岩石」とチェコ・サイトが紹介
◆え? 大谷翔平が牧秀悟へ特別に“デスターシャ” 披露 初回3ラン後にパフォーマンス
文●SPREAD編集部