【ラ・リーガ】データが示す久保建英の進化、“オフ”でも違いを作るアタッカーが迎えるバスクダービー | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ラ・リーガ】データが示す久保建英の進化、“オフ”でも違いを作るアタッカーが迎えるバスクダービー

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【ラ・リーガ】データが示す久保建英の進化、“オフ”でも違いを作るアタッカーが迎えるバスクダービー
【ラ・リーガ】データが示す久保建英の進化、“オフ”でも違いを作るアタッカーが迎えるバスクダービー 全 1 枚 拡大写真

FIFAワールドカップ2022カタール大会を経て、日本代表MF久保建英の進撃が著しい。

日本時間4月9日に開催されたラ・リーガ第28節、久保が所属するレアル・ソシエダはホームでヘタフェと対戦。久保は不遇を味わった古巣を相手に2-0となる追加点を挙げて勝利に貢献した。

左クロスに難なく合わせた一撃は、今季リーガ自身6ゴール目。2017-18シーズンに元日本代表MF乾貴士(当時エイバル)が記録した5ゴールを抜き、ラ・リーガにおけるシーズン日本人最多得点記録を更新した。

また、このゴールで6得点3アシストとなり、久保自身がマジョルカでプレーした2019-2020シーズンに記録した4得点5アシストの得点関与日本人最多記録の9ポイントにも並んだ。

◆【実際の映像】久保建英、乾貴士超えの日本人最多6点目 メリーノのクロスに合わせる

■データが示す久保建英の進化

今季からレアル・ソシエダに完全移籍した久保は、カディスとの開幕戦で決勝点を挙げる幸先の良いデビューを飾った。第20節からは3試合連続のゲームMVPにも選出される活躍で、チームが来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場圏内となる4位以上のキープに大きく貢献。特徴的なのはFW陣に怪我人が続出していたこともあり、主に[4-3-1-2]システムにおける2トップの一角を担ってきたことだ。

久保の本来のポジションは攻撃的MFやウイングだ。足下でボールを受け、得意のドリブル突破を仕掛けるプレーがスペインでも高く評価されてきた。データサイト『Opta』によると、久保がマジョルカでプレーした2019-20シーズンには年間を通してリーガ全体5位となる125回のドリブル突破を仕掛けていたほどだ(トップは、当時バルセロナのリオネル・メッシによる263回)。久保のドリブルは怪我による長期離脱もあった昨季ですら40回を記録したが、FW起用がメインの今季は未だ23回と極端に減っている。

一方、2019-20シーズンの久保が年間を通して放ったシュートが38本だったのに対して、今季は10試合を残した現在でも53本に急増。また、オフサイドにかかった回数が昨季の5回から今季は18回とこちらも激増するなど、データからは大きな変化が見られる。

ソシエダのMF陣には元スペイン代表のレジェンドであるダビド・シルバを筆頭に、ミケル・メリーノやブライス・メンデス、マルティン・スビメンディら、スペイン代表クラスが勢揃いしている。パスワークに長けた彼らがチャンスを作ることで、久保はボールを持った状態である「オン」だけでなく、味方からのパスを引き出す「オフ・ザ・ボール」の動きに磨きをかけ、ボールを持たなくても違いを作れるアタッカーへと進化を遂げてきた。

■主将とのポジション争いを経て、“共存”

久保はラ・リーガ第28節終了現在、25試合に出場。22試合に先発起用されており、与えられたプレータイムは1814分間。この数字はチーム内で5番目に多く、攻撃陣ではトップ。ソシエダを率いるイマノル・アルグアシル監督からの信頼の厚さが垣間見える。

そんな久保にも先発落ちの危機があった。チームの主将であり、エースナンバー「10」を背負うスペイン代表FWミケル・オヤルサバルが長期離脱から復帰した年明け直後だ。チームは彼の長期離脱後に現在のメインシステム[4-3-1-2]に変更していたのだが、アルグアシル監督も彼の復帰が間近に迫った頃から従来の[4-3-3]に戻し始めていたのだ。

久保はこの時期を境に自らゴールへ迫る回数が急激に増え、シュート数が激増。今季出場11試合目までに放ったシュートは13本だったが、その後の14試合では40本を記録している。2月以降、チーム全体に怪我人が続出し始めて停滞期に入った期間にも3試合連続のMVPに選出されるなど孤軍奮闘した。

そして、日本人シーズン最多得点記録となる6ゴール目を挙げた前節のヘタフェ戦、試行錯誤が続いていたチームは久保とオヤルサバルが2トップを組み、共にゴールを挙げて2-0の完勝。ポジション争いを経た2人は最高のパートナーとなり、明確な結果を残した。

■バスクダービーの重要性

久保の進撃が始まったのは1月14日のラ・リーガ第17節、アスレティック・ビルバオ戦だった。ホーム開催の「バスクダービー」で、久保は1ゴールを挙げたのち、PKを獲得して相手DFを退場に追い込む大活躍。このPKを沈めたのも、復帰したばかりのオヤルサバルだった。

1898年の創設以来、バスク人のみの選手でチームを構成する伝統を守ってきたビルバオに対して、ソシエダはバスク州の中でも地元ギプスコア県の選手に限定してチームを作ってきた。ただ、有力選手を軒並み引き抜かれたことで、ソシエダは外国人選手に門戸を開け、日本人の久保が躍動する現在に至っている。それでもトップチームにアカデミー出身選手が常に15人以上在籍するバスクの両雄は、「バスク人」、「ギプスコア人」、それぞれの「純血主義」を重んじている。

進撃が始まった前回から3カ月、久保にとってもビッグマッチとなる伝統のバスクダービー再戦が始まる。

◆ラ・レアルで輝く“日本の至宝”久保建英 2022-23シーズンゴール集

◆久保建英、乾貴士を抜く日本人最多の6点目 レアル・ソシエダの2-0完勝に貢献

◆鎌田大地、フランクフルト退団に久保建英らが反応 アトレティコ、バルセロナら争奪戦に発展か

文●新垣博之(しんがき・ひろゆき)

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