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「ピッチクロック」はマイナーリーグでの試験運用を経て、今季からMLBで正式採用されたルール。投手にとっては、走者なしの場合15秒以内、ありの場合は20秒以内に投球しなければならない規定。試合時間が冗長になりがちなベースボールの人気回復策のひとつとして導入された。
開幕からまもなく1ヵ月。ピッチクロックは、マイナーリーグ同様にMLBでも大きな成果をもたらしている。
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■WBC次回大会での正式採用も
「Baseball Reference」によると、24日(日本時間25日)今季ここまで、MLBの平均試合時間は2時間38分。昨季の平均3時間6分に比べ、28分もの短縮が実現した。目立ったトラブルも少なく、ここまでは概ね順調と言っていいだろう。
日本の社会人野球でも導入が始まっており、プロ野球も他人事ではない。今季の平均試合時間が3時間5分、MLBのスピードに慣れたファンからは展開の遅さを指摘される場面もしばしば。将来的にWBCのルールにも適用される可能性が高く、世界のスタンダードになれば避けては通れないだろう。
一方で、投手と打者の”駆け引き”が希薄になり、淡泊な試合展開が増えるデメリットも見えてきた。大谷翔平のように豊富な球種を持つ投手は、自ら「ピッチコム(投手捕手間のサイン伝達用機器)」を使用することでサイン交換のタイムロスを減らすなど、選手側が負担を強いられている点も見逃してはならない。ぜひを問うには時期尚早ではあるが、ベースボール本来の魅力を削ぐことがないよう、今後の柔軟な運用に期待したい。
■今季MLB日本人投手の投球間隔
ピッチクロックの制限ランナーなし15秒/ランナー有り20秒
・千賀滉大 8.3秒/11.8秒・大谷翔平 9.3秒/11.5秒・菊池雄星 9.4秒/13.8秒・藤浪晋太郎 10.1秒/14.2秒・ダルビッシュ有 10.3秒/11.8秒・前田健太 10.8秒/12.8秒
「Baseball Savant」より引用、日本時間4月25日現在
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文●有賀博之(SPREAD編集部)