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女子パークは開心那(写真中央)、藤井雪凛(写真右)が表彰台に立った 写真:小嶋勝美
X Games Chiba2023は12日から3日間に渡り、ZOZOマリンスタジアムで行われた。
12日は予選のみ無観客での開催となり、13日は雨天の為中止。そのため女子パークは予選の結果が最終結果となった。
バートベストトリックは日本勢から芝田モトが参戦し、見事銀メダルを獲得。昨年の大会に続いてのメダル獲得となった。
◆自分に勝ち続けるスケーター小野寺吟雲が史上最年少優勝!トニー・ホークも絶賛の別次元トリック
ここ数年、女子パーク種目は日本勢が世界の最前線を走っている。
昨年のX games Chiba女子パークは日本勢が表彰台独占したが、今大会は昨年のチャンピオンでもあり東京オリピックの金メダリストでもある四十住さくらが怪我で不在。そんな中、見事に優勝を決めたのはノーズグラインドマスター(コースの縁をトラックと呼ばれる金属の前方の軸だけで滑る技)の異名を持つ、開心那(15歳)だった。
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特徴的なセクション富士山で見せたフロントサイドノーズグラインド テールグラブ/開心那 撮影:小嶋勝美
開はバックサイドノーズグラインドとフロントサイドノーズグラインド テールグラブといった2種類のノーズグラインドをメイクし、さらに女子では誰も攻めることのなかったレールで50-50グラインド(レールの上をトラックと呼ばれる軸の部分で滑る技)を成功させ、格の違いを見せた。
ちなみに今回、銀メダルを獲得したアメリカのルビー・リリー(16歳)もバックサイドノーズグラインドをメイクしており、海外勢も着実にレベルが上がってきているのがうかがえた。
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今大会のベストトリックにも選ばれたバックサイド360/藤井雪凛 写真:小嶋勝美
そして今大会、銅メダルを獲得した藤井雪凛(17歳)。エアの高さを武器に世界で活躍する、今注目のスケーターだ。彼女の魅力はエアの高さだけではなく、何と言っても楽しそうに滑る点。
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笑顔溢れる滑りで魅了した藤井雪凛 写真:小嶋勝美
決勝に残しておいたトリックもある中、雨による中止で残念ながら決勝でのランは見ることが出来なかったが、笑顔が溢れるカッコいい滑りをX Gamesの大舞台で見せてくれた。
■X Gamesが日本のスケートの未来につながる/トニー・ホーク
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ほぼ移動中飛行機の中で5月12日の誕生日を過ごしたトニー・ホーク 撮影:小嶋勝美
最終日となった14日の注目の種目の一つが、バートベストトリックに出場したスケートボード界のスーパーレジェンドと言われるトニー・ホークの参戦だ。
X Games開催期間中に55歳の誕生日を迎えたレジェンドは、昨年3月9日にインスタグラムで大腿骨骨折を公表(3月8日に受傷)。
同年11月21日の投稿ではスケートボードに復帰するのが早すぎたため、修復した骨がずれてしまい、再度手術をすることを報告している。
そして今年の3月8日にインスタグラムにて、怪我から1年経ち復帰を報告する投稿。800件を超えるお祝いのコメントが寄せられた。
スケート人生を左右しかねない大怪我から、いかにX Games参戦に至ったのか。5月13日に行われたインタビューでは次のように話している。
「前回東京に来たのは2021年の東京オリンピックの時でした。本当は去年のX Games Chibaにも参加予定だったけど、残念ながら怪我のために参加することが出来なかったんです」。
それから長いリハビリを経て、いよいよ大会に出場できる状況になったとのこと。
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長いリハビリを経て大会に出場できる状況になったというトニー・ホーク 撮影:小嶋勝美
「大腿骨を骨折して8か月間のリハビリの後、骨がくっつかなかったので5か月前に2回目の手術をしています。この大会に出ることを目標に、ここまでリハビリと練習に励んできました。実際のところまだ100パーセントの状態とは言えないかもしれないが、今回に向けて新しいトリックも準備してきました」。
「怪我の復帰後、初めての大会となるX Games Chibaに招待されたことを非常に光栄に思っています。80年代から日本のスケートを見てきました。当時日本でも人気はあったがまだプロのレベルではなかった、しかし今は状況が変わっている。X Gamesが日本のスケーターたちに見てもらえることが素晴らしいと思うし、日本のスケートの未来につながると考えています」と話した。
■スケートこそが人生のパッション
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マドンナからのスイッチクルックドグラインド/トニー・ホーク 撮影:小嶋勝美
インタビュー取材も終了に差し掛かった頃、どうしても聞きたかったことを聞いてみた。
「大きな怪我を経て、55歳の誕生日を迎えた今もスケートのモチベーションを保つ秘訣は?」
この質問にこう答えてくれた。
「スケートボードこそが人生のパッション。私は10歳からスケートをやっていますが、歳を重ねるそれぞれのタイミングで、体力と身体能力に合わせてスケートを続けてきました」。
バートベストトリックではこの言葉通り、複雑なトリックを見事に成功させファンを喜ばせてくれた。怪我からの復帰、そして恐怖も年齢をも乗り越えて見せた“自分越え”。
これこそがまさにスケートボードが持つ魅力であり、スケートボードのカッコよさを見せてくれた素晴らしいトニー・ホークのランだった。
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■著者プロフィール
小嶋勝美●スケートボードライター
放送作家で元芸人のスケーター。スケートボード歴は一応25年弱。