【スーパーGT】第3戦 大クラッシュ赤旗終了も不可解な裁定 ファンのためにモータースポーツがスポーツであると忘れるな | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーGT】第3戦 大クラッシュ赤旗終了も不可解な裁定 ファンのためにモータースポーツがスポーツであると忘れるな

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【スーパーGT】第3戦 大クラッシュ赤旗終了も不可解な裁定 ファンのためにモータースポーツがスポーツであると忘れるな
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鈴鹿サーキットで行われたスーパーGT第3戦は、77周の予定周回のうち19周を残した時点で赤旗終了となった。原因は高速区間130R先での大クラッシュ。バリアの修復及びデブリの回収が最大延長時間内には難しいという判断だった。

◆【実際の映像】鈴鹿サーキットの130Rコーナーで発生した大クラッシュ  赤旗終了に

■正々堂々と戦った結果のはずが…

物議を醸したのがGT500クラスの暫定結果だ。赤旗が出たのは59周目。この場合58周終了時点の順位が最終結果となるのだが、問題なのはトップに立っていた3号車ニスモZ(千代勝正/高星明誠)が、今回の450kmレースのルールである2度のピットインをまだ遂行していなかったことだ。「ルールを遂行していないのだから優勝はないのでは」「かといってペナルティというのもどうか」。そんな話を周りの記者たちとしていた中、出てきた暫定結果は3号車の優勝。表彰台も記者会見もその順位に従い行われた。

ルールを遂行できなかったのは不可抗力であり3号車に確かに非はない。セーフティカーが入る時など、ピットインのタイミングによって恩恵を受けるケースもその逆のケースも、レースではよくあることだ。よりその幅が広がる450kmレースで極端な戦略をとった3号車が、たまたま大きな恩恵を受けたのだと考えるのは決して間違いではない。

3号車は、60周目あたりに2度目のピットインを行うつもりだったという。アクシデントがなければその後は、実質トップの19号車ウェッズスポーツスープラ(国本雄資/阪口晴南)が2016年以来7年ぶりの優勝に向かい、実質2位の36号車トムススープラ(坪井翔/宮田莉朋)とラストバトルを展開することになっていたはずだった。

最も知りたかったのは、そのチャンスをなくしてしまった19号車の二人のレース後の感情だった。この判定(この時点では2位)をどう思うか、レース後に聞いてみた。国本の答えは「36号車と最後まで勝負したかったというのはありますが、この判定に対して意見はまったくないです。僕たちは本当にベストを尽くしたし、ミスなく最高の戦いができたと思っているので一切悔いはありません」。戸惑うことなくまっすぐに私の目を見てこう答えたのは、本心だからだろう。これには正直、心を打たれた。

そうだ。モータースポーツはスポーツであり、彼らはプロスポーツの選手なのだ。彼らにとっては目標に向かいチームとともに正々堂々全力で戦った結果、満足できたのかどうか、ファンに頑張ったと胸を張れるのかどうかの方が重要。その感情はリザルトによって変わるものではない。改めてスポーツは素晴らしい、そう感じた。

ところがこれでは収まらず、多くのチームがその後、抗議し協議が重ねられ、夜9時頃になって出た改訂版では、3号車はペナルティとして60秒が加算され4位に降格。優勝は2回のピットインを行った上で2位にいた19号車に変わった。これにニスモ側がさらに抗議。結局この日は決着がつかず正式結果は翌日以降に持ち越され、今もその状態にある。なぜそうなったのかというと、この場合に該当する明確なルールが定められていないからだという。数時間前の感動はどこかに行ってしまった。

サーキットに訪れたファンはレースを観て表彰台でトップ3の順位を知り、シャンパンファイトに歓声を上げ、勝利者インタビューを聞いて、それぞれの感動を胸に帰路につく。今回結果が覆ったことを知ったのは、時間的に見て家に着いた後だろうか。その際の心境はさぞ複雑だったことだろう。判断に間違いがあって結果が変わるのであればまだ良い。今回の場合はどちらに転んでも間違いではないという、その曖昧さが問題だ。450kmレースは今季あと3回。再びありえることだけに、これを機に早急にルールを立て直すべきだろう。そうでなければせっかくの感動も無駄になってしまう。

◆【実際の映像】当初、暫定優勝し複雑な心境ながら勝利者インタビューを受けた千代勝正/高星明誠

◆第2戦 国内レースでダントツ、8万人の動員数を誇るその魅力とは…

◆2023開幕戦 クラッシュ、トラブル続出のレインレース、ニスモZワンツーフィニッシュの奇跡

著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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