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優勝した根附海龍 撮影:小嶋勝美
勝てば世界最高峰のスケーター達が集う「ストリートリーグ(Street League Skateboarding、以下SLS)」の予選に出場できる大会が、ついに日本で開催された。
ジャパンストリートリーグ(JAPAN STREET LEAGUE、以下JSL)2023年シーズン第2戦-SKATE COLLOSSEUM-が埼玉県所沢市にあるSKIP FACTORYにて開催され、19歳の根附海龍(ねつけかいり)が優勝。根附はこの結果を受けて次回のSLSセレクトシリーズ(SLSに出場する為の予選大会)への出場権を手にした。
準優勝は16歳の佐々木音憧(とあ)、3位が14歳の藪下桃平(ももへい)となった。
優勝者は次回のセレクトシリーズ出場権を得られるとあって、決勝はハイレベルなせめぎ合いとなり、結果的には各選手ベストトリックではミスが目立ち、決勝進出者でベストトリックを2本以上決めたのが8人中上位の4人のみ(※ルール上、優勝を狙うにはベストトリックで2本以上決めることがマストになる)。
しかし、それだけ参加者全員が優勝を狙いにきており、自身の持つ最高難度のトリックの応酬は間違いなく世界に通用するものであり、非常に見応えのある内容となった。決勝の模様はFODで無料視聴ができる。
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■JSLとSLS
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撮影:小嶋勝美
世界最高峰のスケートボードコンテスト「ストリートリーグ」の世界観を踏襲し、日本のスケートボードを海外へアピールすべく始まったJSLは、2022年3月の初開催前から長く、本家SLSとの交渉を続けてきたが、ついに今大会の勝者が次回のセレクトシリーズへの出場権を手にできることになった(日時、開催場所は未定)。
ストリートリーグとは、2010年にプロスケーターのロブ・ディアデックによって設立され、世界的に有名なプロスケーターであるアメリカのナイジャ・ヒューストンや、東京オリンピック金メダリストの堀米雄斗らを一躍スターにのし上げた大会。
他にも、同じく東京オリンピック金メダリストの西矢椛、銅メダリストの中山楓奈をはじめ、世界中のスター選手らがしのぎを削る大会で、出場するためには大会側から招待されることが一つの条件となっているが、昨年からは予選大会となるセレクトシリーズというものが設けられた。
しかし、このセレクトシリーズに出場するのも招待選手のみとなっている。それほどストリートリーグに出場するためには、世界最高峰の人気と実力が必要なのである。
それゆえに、スケートボードをするものにとってはオリンピックと同じか、それ以上に楽しみな大会でもあり、世界中のスケーター達の憧れの場所でもある。
ストリートリーグに出場するための方法を簡単に説明すると…
・まず大前提として、SLSにレギュラーで出場しているスケーターは実力、人気ともに世界トップのスケーター達のみ。
・SLSに出るための予選大会がセレクトシリーズ(優勝者のみがSLSへの出場権を獲得)
昨年は白井空良が優勝し、SLSへ出場。今年は先月にロサンゼルスで開催され、赤間凛音が優勝、8月12日の有明で開催されるSLS東京大会への出場権を獲得した。
先ほども伝えたが、セレクトシリーズに出るための予選は現在なく、日本からその出場権を獲得できたこと自体がとても大きな出来事。
SLSは8月12日にアジア初開催となるSLS Tokyo大会(有明で開催予定)が控えており、こちらも大きな話題となっている。
10月7日にはオーストラリアのシドニー大会が予定されており、その後に総合優勝を決めるスーパークラウンが開催される(日にちと開催は7月2日時点で未定)
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撮影:小嶋勝美
JSL第1戦は今年4月、今はもうなくなってしまった足立区のムラサキパーク東京で開催され、佐々木音憧が優勝。前シーズン総合優勝の根附海龍(ねつけ かいり)が2位、映像選考を勝ち上がっての参戦となった浦野建隼(けんと)が3位の成績を収めている。
日本屈指のスケーターたちによるコンテストJSLの今後の予定は…次回の第3戦は10月1日に愛知県蒲郡市にある「DELIC skatepark」、最終戦は12月3日に「SKIP FACTORY」で行われる予定で、いずれもフジテレビが運営する動画配信サービスFODにて配信される予定。
■-SKATE COLLOSSEUM-出場選手とルールについて
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撮影:小嶋勝美
SKATE COLLOSSEUM出場選手
根附海龍(19) / 齋藤丈太郎(17) / 山附明夢(18) / 玉野辰磨(38) / 佐々木音憧(16) / 澤田莉旺(17) / 安部来夢(16) / 齋藤吟平(14) /浦野晴(18) / 西山奏(15) / 高橋陽太(17) / 柿谷斗輝(21) / 張爾洙(イス ジャン12) / 望月大輔(35) / 石井太陽(17) / 藪下桃平(14) / 佐々木来夢(19) / 今村怜也(18) / 渡辺星那(16)()内は年齢
JSLのルールはWORLD SKATEが2024年パリオリンピックに向けて発表した、公式採点フォーマットと同様となる。
・コース内を自由に滑走するランを2本と1発技のベストトリックを5本行い、3つのトップスコアで順位を競う。・この内、ランのベストスコア1本とシングルトリックのベストスコア2本の合計が総得点となり、それぞれ100点満点で、小数点以下2点まで(最高得点は300.00点)同点選手がいた場合はランの最高得点で順位を決定し、それでも決着がつかない場合は、シングルトリックの最高得点をもって決着となる。・選手は、より完成度の高いトリックのメイクを目指したい場合は、メイクしたトリックを破棄する権利がある(ベストトリックで同じトリックを行うと必然と得点が下がる為)
高得点の目安として、90点以上が最高難度のトリックとなる。
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今大会のために作られた目玉セクション 通称「サムライヘッド」 撮影:小嶋勝美
侍のちょんまげに似ていることから名付けられたセクション。ここをいかに攻略するかが高得点の鍵となる。
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今大会のために作られたセクションで通称「サムライソード」 撮影:小嶋勝美
こちらも今大会のために作られたセクションで通称「サムライソード」。まるで侍の持つ刀のように長いレールのためにその名が付けられた。
◆後編 【JAPAN STREET LEAGUE】2023第2戦 根附海龍が世界最高峰への挑戦権を獲得、繋がったSLSへの道
◆【X Games】自分に勝ち続けるスケーター小野寺吟雲が史上最年少優勝 トニー・ホークも絶賛の別次元トリック
◆【X Games】女子パークは開心那・藤井雪凛が表彰台へ バートベストトリックは大怪我を乗り越えた55歳トニー・ホークが魅せた
■著者プロフィール
小嶋勝美●スケートボードライター
スケートボードライター兼放送作家で元芸人のスケーター。スケートボード歴は一応25年くらい。