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MLBオールスターゲームが11日(日本時間12日)、シアトル・マリナーズの本拠地Tモバイルパークで行われ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平が「2番DH」で先発出場。1打席目は空振り三振、2打席目は四球で、6回の第3打席で代打を送られベンチに下がった。米地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』は、去就が注目される大谷について球宴出場選手10人以上に取材。「大谷を自チームに勧誘するとしたらセールスポイントは?」と聞くと、チーム力や治安の良さ、税制面から食事関連まで回答は多岐に渡った。
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■金銭面以外の決め手は何か
夏のトレードかオフのフリーエージェントか、いずれにせよ新契約に近づく大谷を巡り、「ロサンゼルス・タイムズ」は球宴出場選手に取材。「大谷を自分たちのチームに勧誘するとしたらアピールポイントは何か」という問いを10人以上に聞いた。
同紙は「大谷はどのチームへ行こうとも多額の年俸を得るだろうから、各球団は単に現金を浴びせるだけでは彼を誘うことはできない」と指摘し、金銭面以外の決め手をスター選手たちに尋ねたという。
まず、アトランタ・ブレーブスのオースティン・ライリーは「我々は毎年プレーオフに出場するチャンスがある。それが戦う理由であり、つまりワールドシリーズ(WS)に勝つために試合をしている。そして、我々はWS制覇を実現できるだけの若いグループを持っているし、そこに大谷の力が加われば、よりWSで勝つ可能性が高まる」とコメントし、大谷が望む“勝てるチーム”であることを強調した。
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MLBオールスター2023に出場した大谷翔平 (C) Getty Images
■本拠地の生活環境に太鼓判
環境面を挙げたのはニューヨーク・メッツのピート・アロンソ。「正直言って住むには素晴らしい街だ。本拠地のシティ・フィールドもプレーするのにとても楽しい場所。最高のファンがいて、プレーするには最適な場所だ。それが1番の魅力」とし、西海岸好きと言われる大谷に対して東海岸も再考するよう求めた。
同じく住環境について熱弁をふるったのが、サンディエゴ・パドレスのジョシュ・ヘイダー。この守護神はチームのアピールポイントについて「サンディエゴそのものだ。それ以上必要なものがあるだろうか」と語り、「一度でもサンディエゴを訪れた人なら、その美しさが分かるだろう。楽しいチームだし、長期的に見ても素晴らしい選手がたくさんいる。どこかで(大谷獲得のための)10億ドルさえ見つかればいいんだけどね」と笑った。
トロント・ブルージェイズのジョーダン・ロマノも「トロントという街にはすべてがある」と本拠地推し。「多様な人種が住んでいるが、超安全だ。家族で住むには良い」と治安の良さに言及した。
■オーナーの投資意欲を紹介
テキサス州に本拠地を置くヒューストン・アストロズのカイル・タッカーは、意外な視点を提示した。「食事もおいしいし、所得税もない」と同州では個人所得税が課せられない点をプッシュ。次期契約の年俸総額が最低でも5億ドルと見込まれる大谷に対して、税制面の重要性に触れた。
ピッツバーグ・パイレーツのデビッド・ベッドナーも「僕たちは何にでもフライドポテトをつける。それが唯一のウリだと思う」と想定外の返答。声をかけたところで獲得できるわけがないと認識しているのか、自虐的とも言えるアピールポイントを持ち出した。
そのほか、大谷の元同僚アレックス・コブ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)とマイケル・ローレンゼン(デトロイト・タイガース)は、そろって球団オーナーの投資意欲が高いことを打ち明け、今後のチーム作りに期待が持てると発言した。
もちろん、ニック・カステヤノス(フィラデルフィア・フィリーズ)のように「勧誘などしないよ。私が唯一言いたいのは、行きたいところに行きなさいということ」と話し、大谷の決断を見守るしかないという選手たちもいた。
確かに年俸だけでは差別化できない可能性もある。もし、各チームから提示された契約内容が似たり寄ったりとなった場合、大谷が決断する際に重視するのは何か…。この点にも興味が集まっている。
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文●SPREAD編集部