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国内男子ゴルフツアーは前半戦が終了し、いよいよ今週から後半戦へ突入する。
今年は、中島啓太、蟬川泰果、平田憲聖の同学年トリオや、2020-21年シーズンの賞金王・金谷拓実ら若手選手が国内大会を賑わせており、毎回話題に事欠かない。一方で35歳のベテラン・永野竜太郎が全米オープンで輝かしい成績を残し、賞金ランキング5位につけるなど、若手に負けない活躍を見せている。
ここ数年では一番と言って良いほど面白い試合が続いている男子ツアー。特に賞金ランキング首位の中島は、シーズン中の獲得賞金1億円達成まで残り1193万9981円となっており、早ければ今週の「SansanKBCオーガスタ」で到達する見込みとなっている。
今季圧倒的な結果を残し続ける中島は、後半戦で獲得賞金額をどこまで伸ばせるのか。歴代賞金王と比較してその可能性を探っていく。
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■異例のスピードで賞金を積み上げる中島
中島はここまで13大会中12大会に出場し、すでに2勝、トップ10入り9回、予選落ちなし。獲得賞金は8806万19円と着実に積み重ね、早くも1億円に到達する勢いだ。
歴代賞金王たちの獲得賞金額を見てみると、1990年以降で最多賞金額を記録しているのは、94年の“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司。当時の尾崎は19大会に出場し7勝、トップ10入り15回と圧倒的な力を見せ、1シーズンで2億1546万8000円に到達。90年以降、国内ツアーだけで2億円を超えたのは尾崎ただ一人となっている。
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国内ツアー賞金獲得額歴代トップ10
94年の尾崎を振り返ると、賞金総額の高い大会が連続する終盤戦に集中して出場、勝利しており、前半戦は出場を控える大会もあった。
尾崎の13大会終了時点の記録を見ると、7大会に出場し賞金獲得額は4186万8000円。優勝1回、トップ10入り4回、予選落ち1回と、前半戦は様子見といった傾向だったようだ。
他の賞金王たちも同様に、前半戦は様子見、賞金総額の高い後半戦に集中させることが多い。これらを考慮すると、中島の13大会終了時点で8806万19円というのは異例のスピード。さらに欠場が1回のみと連続して大会に出場し、結果を出し続けることも中島の強さの一つと言えるだろう。
■27年ぶりの国内2億超えへ
中島は96年の尾崎を上回るスピードで賞金を積み上げているが、歴代賞金王のなかには、中島を超える早さで賞金を積み上げた選手が2人もいる。それが、2009年の石川遼と13年の松山英樹だ。
09年の石川は、13大会経過時点で3勝を挙げ、9297万1766円の賞金を獲得。13年の松山は13大会終了時点で9大会に出場し、1億673万1000円という歴代最速の1億円超えを達成した。
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13大会終了時点での獲得賞金額トップ5
現時点の中島は、今週行われる「SansanKBCオーガスタ」で優勝すれば賞金2000万円を上乗せでき、シーズン開幕から14試合目で1億円の大台に到達。もしそうなれば、13年の松山に迫る歴代2位の早さで1億超えとなる。
さらに後半戦は優勝賞金4000万を超える大会が4つもあり、ここで1勝以上できれば27年ぶりの国内ツアーのみでの獲得賞金2億超えも夢ではない。
男子ゴルフ界の新星として、どこまで賞金額を伸ばせるのか。後半戦も中島の活躍に注目したい。
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文●SPREAD編集部