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MLB選手会は2日(日本時間3日)、選手間投票で選ぶ「Players Choice Awards」を発表。大谷翔平はア・リーグ最優秀野手に名前が挙がるも、両リーグの年間最優秀選手にはアトランタ・ブレーブスのロナルド・アクーニャJr.が選ばれ、2年ぶりの受賞とはならなかった。
大谷は先月、米老舗メディア『Sporting News』選出のMVPでもアクーニャJr.に大差をつけられるなど、最強ライバルに“受賞ラッシュ”を阻まれている。アクーニャJr.に、世界最高峰の舞台で二刀流を続ける大谷以上の価値があるのか。ファンの間では度々論争が巻き起こっている。
◆今季のトップ100選手を発表 大谷翔平はアクーニャJr.に一歩届かず2位「フルシーズン出場していたら間違いなく1位」と米メディア
■「どちらも凄い」でいいじゃないかとの声も……
アクーニャJr.は今季、1番打者として159試合に出場。打率.337、41本塁打、106打点、73盗塁、OPS1.012。「40本塁打40盗塁」でさえ過去4人しかいない中で、前人未到の大記録「40本塁打70盗塁」を達成した。
一方の大谷は135試合に出場し、打率.304、44本塁打、95打点、20盗塁、OPS1.066。投手としては23試合に先発し10勝5敗、防御率3.14。132イニングを投げ、167奪三振を記録した。
ブレーブスはナ・リーグ、ロサンゼルス・エンゼルスがア・リーグのため、公式がリーグ別に選出する「年間最優秀選手」は両者の受賞で間違いないだろう。しかし、前述のような“ひとりを選ぶ”ケースでアクーニャJr.に軍配が挙がっており、大谷ファンのフラストレーションが溜まっている事実も見逃せない。
アクーニャJr.の盗塁数に関しては、今季から導入された新ルールも後押しとなっている。ベースサイズ拡大と牽制球回数の制限により、メジャー全体の盗塁数が昨季の2486個から3503個へ大幅に増加。捕手の盗塁阻止率も史上最低の19.8%まで低下している。
米データサイト『Baseball Reference』が算出した、チームに“何勝分の上積みをもたらしたか”を示す指標「WAR(Wins Above Replacement)」でも、大谷は投打合計「10.0」でメジャートップをマーク。アクーニャJr.は3位の「8.1」に留まっており、両者の貢献度を比較して異論を唱える者も多い。二刀流という唯一無二の存在に対する、周囲の“慣れ”を嘆くような声も散見された。
公式データを紐解くと、今季の平均打球速度は、アクーニャJr.が94.7マイル(約152.4キロ)大谷が94.4マイル(約151.9キロ)で、わずかにアクーニャJr.が上回る。最速打球部門でもアクーニャJr.が唯一の120マイル超え、121.2マイル(約195キロ)と突出したパフォーマンスを見せており、25歳が持つ圧倒的なポテンシャルを高く評価したとも考えられる。大谷が9月後半を欠場したことで、ますます両者の“比較”は混迷を極めてしまった。
「前人未到」と「唯一無二」……ジャンルが違う名作映画に優劣をつけるようなものだが、この論争はしばらく決着がつきそうもない。今後の両者の活躍次第とは言え、万が一、大谷がロサンゼルス・ドジャースへ移籍しようものなら、来季以降いよいよもって避けられない話題となるだろう。
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(H.Ariga/SPREAD編集部)