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米LPGA公式戦「アニカ・ドリブン by ゲインブリッジ at ペリカン」(旧ペリカン女子選手権。フロリダ州ペリカンGC/6268ヤード、パー70)が9日、開幕する。
米ツアー年間ポイントランク81位の渋野日向子にとっては、ラストチャンスの一戦で来季フルシード(ポイントランキング80位以内)獲得なるか、正念場を迎えている。
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■安全圏となるトップ20入り期待
ポイントランク79位で迎えたアジアシリーズ4連戦。いずれも予選落ちのない4日間大会で、渋野としては当然順位を上げておきたいところだった。
だが、終わってみれば81位と圏外に後退してしまった。最新の米ツアー年間ポイントランキング(78~82位)は、以下の通りとなっている。
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シード権獲得のため、渋野が今大会でクリアしなければいけないハードルがいくつかある。
まずは、予選を突破すること。アジアシリーズと違い、通常大会なので予選カットがある。決勝ラウンドに進出しなければ、ポイントはゼロ。昨季は70位タイまでが決勝ラウンドに進出しているので、まずはそれが最低条件になる。
その上で何ポイント獲得しなければならないかが、次のハードルになる。昨季、シードぎりぎりの80位だったエミリー・ペダーセン(デンマーク)の獲得ポイント数が379.840pt、現時点での渋野の獲得ポイント数が349.827pt。その差、約30pt。通常大会で単独27位に入れば31ptが得られるので、それが目安にはなるだろう。
ただ、他選手の順位状況によって誤差が出てくる。そう考えると、単独20位で45pt獲得できれば、安全圏とみていいだろう。とにかく渋野には1つでも上の順位を狙ってほしいし、あわよくば、トップ3でフィニッシュして翌週の「CMEグループ・ツアー選手権」に出場してもらいたい。
とはいえ、一番気になるは渋野の状態だ。そこで、直近4試合の成績を一覧にするとともに、2023年と22年の主要スタッツを比較してみた。
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直近4試合の成績を見ると、順位はなかなか厳しいものがある。ただ、赤字で示した通り、アンダーで回れたラウンド数は徐々に増えてきている。渋野本人も「TOTOジャパンクラシック」終了後のインタビューで、「最近の自分のショットの内容、ゴルフの感じ、感覚を考えると、4日間をアンダーで回り切れたことは大きい」と振り返っている。
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一方のスタッツ比較を見ると、昨季と比べてパットは悪くなっていない。顕著なのはドライバーの飛距離とFWキープ率が落ち、結果、パーオン率も下がっている点だ。ただ、直近の「TOTO」では、ドライビングディスタンスの4日間平均が256.13ヤードと回復してきており、それに連れてパーオン率も72.2222%と改善傾向にある。
さらに、後半戦に入って厳しい表情の多かった渋野だが、「TOTO」のラウンド中、終了後のインタビューも含め、笑顔が戻ってきた感がある。今大会に向けても「いま自分ができることをすべて出し切れるように頑張りたい」と力強く語っており、腹をくくった渋野がラストチャンスとなる一戦でどんなプレーを見せてくれるのか、今は楽しみの方が大きい。
その渋野だが、初日はマティルダ・カストレン(フィンランド)、「全米女子アマ」史上最年少出場記録を持つルーシー・リー(米国)との組み合わせで、10日1時35分、10番スタートとなる。崖っぷちから這い上がれるか、渋野の今季最後の大一番に注目したい。
■日本人選手のペアリング
なお、日本人選手の主なペアリングは以下の通り。
1番スタート/21時54分/古江彩佳、ジョージア・ホール(イングランド)、イン・ルオニン(中国)1番スタート/22時16分/西村優菜、メーガン・カン(米国)、ポーラ・レト(南アフリカ)1番スタート/10日2時52分/勝みなみ、アン・ナリン(韓国)、ニコール・ブロッホ・エストラップ(デンマーク)10番スタート/10日1時35分/渋野日向子、マティルダ・カストレン(フィンランド)、ルーシー・リー(米国)
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文●河野道久