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20日からワシントン州のサハリーカントリークラブで、全米女子プロゴルフ選手権が開催される。
今季女子メジャー3戦目は、パリ五輪日本代表入りをかけた最後の戦いとなり、その2枠は大会終了後の世界ランキング(以下WR)をもとにしたオリンピックランキングで決まる。
現時点(6月17日時点)のWRが6位の笹生優花は当確で、残りの1枠を争う形になっている。
注目は現時点のWR20位で日本勢2番手につけ、代表入り圏内の古江彩佳。
3年前の東京五輪では稲見萌寧に逆転され、代表入りを逃した。東京五輪イヤー翌年から主戦場にしてきた米ツアーでは「パリこそは」という気持ちで戦ってきただろう。
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一つの区切りを迎える全米女子プロは、いつもの大会、これまでのメジャーとは少し違ったものになるかもしれない。
「緊張したことがない」古江でも、プレッシャーがかかる場面があるかもしれないが、古江はプレシャーに負けずに得意のドライバーショットを放つ術を持っている。
■高いフェアウェイキープ率のポイント
古江のドライバーショットの精度は抜群に高い。2021-22シーズンのフェアウェイキープ率が76.9780%で5位と、日本ツアー時代から高かったが、主戦場を米ツアーに移してから磨きがかかっている。
2022年のフェアウェイキープ率が84.04%で8位、2023年が84.76%で2位、今季現時点が85.37%で4位となっている。
パーセンテージの上昇は日米でコースの傾向が異なるため、比較できない部分があるが、選手のレベルが上がった中での順位の上昇は、精度が高まっているとみることができる。
自身の最大の特徴について「安定性。ティーショットでフェアウェイをキープしてパーオンさせてチャンスをつくることが私のスタイル」と語る古江が、スイングで大切しているのはリズム。
スイングの形などよりも、リズミカルにスイングをすることを心がけており、それが再現性が高いショットにつながっているようだ。
一般のゴルファーが、古江のようにリズミカルなスイングをするために必要なこととしては、‟プリショットルーティーンの確立”が挙げられる。
‟アドレスに入る前からスイングは始まっている”と考えたい。
左右がOBで狭いホールなど、プレッシャーがかかる場面であっても、慎重になり過ぎてはいけない。素振りが多くなったり、アドレスに入ってからの時間が長くなったりして、通常とは違う流れで始動すると、リズミカルにスイングしにくくなる。
素振りをする、飛球線後方から打つ方向を定める、アドレスに入る、足踏みやワッグルをしながらアドレスを決める、打つ方向を確認する、始動する、といった動き(所作)の流れを定着させ、どんな場面でも同じように実行することが、再現性高くリズミカルにスイングすることにつながる。
ルーティーンが確立されていない人は、どのようなものでも良いから、何か一つルーティーンの流れを決めるべき。
まずは、お気に入りのツアー選手の真似でも良いだろう。そこから、より自分にフィットするルーティーンに調整していけば良い。
■好調キープして大一番へ
WR21位に畑岡奈紗、22位に山下美夢有がつけており、古江との差は僅差。
さらに、メジャーはWRに反映されるポイントが高いため、他の日本人選手にも2番手に食い込むチャンスが残っている。
2019年の全英女子オープンで優勝した渋野日向子は、WRを46位から14位に上げ、笹生が2021年の全米女子オープンを制した時は、40位から9位に上げた。
現時点36位の岩井明愛、同42位の竹田麗央、同47位の岩井千怜にも大逆転での代表入りの可能性は残っているのだ。
だが、古江は最近米ツアー4戦連続でトップ10に入っており、好調をキープしている。
その4戦のフェアウェイキープ率が、80.36%、75.0%、85.71%、71.15%で、4戦の合計は、77.67%。古江にしては、少し物足りない数字ではあるが、ドライバーショットの調子が悪くない状態で大一番に臨むことができると見て良いだろう。
日本勢のライバルをかわし切り、古江が代表入りする可能性は高い。
ちなみに、オリンピックランキングで15位以内に入れば各国(地域)最大4人まで五輪代表入りの権利を獲得できる。5月30日から開催された全米女子オープンのように、日本勢が1位と2位独占、などとなれば、日本代表の枠が増枠になるかもしれない。
今回の全米女子プロは、上位の動きからも下位の動きからも目が離せそうにない。
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世界ランキング50位以内の日本人選手
◆メジャー第3戦は日本勢12人出場 渋野日向子は現地時間午後0時55分、代表争い2番手古江彩佳は午前8時22分にティオフ
◆女子メジャー第3戦の賞金総額は16億円超え 優勝賞金も国内年間女王以上の額
◆「せっかくメジャーに来ている」 畑岡奈紗はパリ五輪切符争いより悲願に集中
著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。