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今週は京都競馬場で、第65回宝塚記念(GI、芝2200m)が行われる。春のグランプリに集結した豪華メンバー。上半期の締めくくりにふさわしい戦いとなりそうだ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬13頭の全頭診断を行う。
◆【宝塚記念2024予想/追い切り診断】最高評価「S」はジャスティンパレスかドウデュースか 目覚ましい充実ぶりで「抜群の攻め気配」
■宝塚記念2024 出走予定馬全頭診断
・1枠1番 シュトルーヴェ
重賞を含む3連勝中と勢いに乗る上がり馬。D.レーン騎手を鞍上に迎える今回は一定の勝負気配を見出せるのかもしれないが、前走、2走前はお世辞にもGI級の馬が出走したハイレベルレースとは言い難い。GIでは【0.0.1.14】と連対がない父キングカメハメハ×母父ディープインパクトの配合馬。自身初の関西圏かつ4走前に7着に敗れた距離替わりでもあり、ここは様子見が妥当か。
・2枠2番 ジャスティンパレス
3歳時は不安定な印象もあったが、古馬になって以降はどんどんウィークポイントがなくなってきた馬。4着続きの近走は相性の良くない中山で施行された有馬記念、超スローの上がり勝負を強いられたドバイシーマクラシックと敗因は明らかだ。京都芝外回りは天皇賞・春で2着に0秒4差の得意舞台。当時が稍重での楽勝だった点に加えて、この馬とのコンビで【4.0.0.0】のC.ルメール騎乗、国内における馬番4番以内の成績【4.0.0.0】で臨むここで大崩れは考えにくい。
・3枠3番 べラジオオペラ
前走大阪杯でGIウイナーの仲間入り。スプリングSやチャレンジCで示した小回り適性の高さを存分に活かし切った一戦で、例年の阪神開催なら上位評価も考えたが……今年は開催最終週の京都芝外回りが舞台となる。京都記念は斤量で1キロのアドバンテージがあったにもかかわらずプラダリアにねじ伏せられており、GIのメンバーと互角に戦うなら小回りコースでファイナルアンサー。ここでは評価を落としたい。
・4枠4番 ドウデュース
朝日杯FS、日本ダービー、有馬記念と異なる条件のGIを制したオールラウンダー。その実績と潜在的な人気からレースの中心の担う存在であることは間違いないだろう。海外の道悪は日本の馬場とは次元が違うので道悪はダメと一概に言えず、フランスの2戦で適性を判断するのはナンセンス。それを理解したうえで伝えたいのは、2023年以降における直線の長いコースの成績が【0.0.0.3】である事実だ。京都記念、有馬記念のマクリで思い出したのはドリームジャーニーという歴代屈指の小回り巧者。キャリアを経て馬のステータスが書き換わった可能性は否定できず、直線の長い京都芝外回りで凡走の危険性もはらんだ1頭として捉えたい。
・4枠5番 ディープボンド
天皇賞・春で4年連続馬券内の実績が示すとおりのステイヤー。ただ、裏を返せばその条件以外のGIでは厳しいという見方ができ、芝2400m以下のGIでは【0.0.0.7】と精彩を欠いてしまっている。馬券内突入は至難の業か。
・5枠6番 ヒートオンビート
GIIでも掲示板外が続いている現状。7歳を迎えてピークアウトしてしまった感は否めず、厳しい戦いが予想される。
・5枠7番 プラダリア
京都大賞典、京都記念と京都芝外回りは2戦2勝。京都競馬場のリニューアル工事さえなければもっと白星を積み上げていたのでは……そう思える舞台巧者ぶりを発揮している馬だ。GI成績【0-0-0-5】を見ると心もとない印象も受けるが、関西圏の芝2200m以下に該当した2戦はいずれも勝ち馬と0秒4差。展開ひとつで馬券内突入も可能な差だったこともまた事実と言えるだろう。過去10年の宝塚記念において、同年の京都記念を4角2番手以下から制した馬は【3.0.0.0】。稍重-重【2.0.1.0】馬券外なしも含め、馬場が渋るようならさらに評価を上げたい1頭だ。
・6枠8番 カラテ
昨年の新潟大賞典は極悪馬場+斤量59キロを苦にせず快勝。まともじゃないグチャグチャ馬場なら……と思わせる走りだったが、GIでは【0.0.0.6】掲示板内なし。メンバーレベルを踏まえると厳しい印象は否めない。
・6枠9番 ソールオリエンス
関西圏への輸送でマイナス10キロと馬体重を減らした前走。デビュー時からほとんど変わらない馬体重は成長力への一抹の不安を覗かせるものだ。芝2200m以上で上がり3F最速をマークしたことがない点から、距離延長も歓迎とは言えないだろう。
・7枠10番 ローシャムパーク
【13.12.2.2】の道中通過順が示すように、強引なレース運びにも思えた前走大阪杯。それでも勝ち馬とはタイム差なし、自身初の関西圏でも馬体重を減らさなかったのは大きな収穫だ。稍重の山藤賞、函館記念のパフォーマンスを見るより馬場が渋れば間違いなくプラスと言えるし、逃げ馬不在のここは勝負どころで一気にマクリつつ先頭→そのまま引き離す山藤賞の再現を期待したくなるシチュエーション。GI3勝のタイトルホルダーをねじ伏せた芝2200m替わりかつ、距離延長時の成績【3.0.1.0】を踏まえると評価を上げたくなる1頭と言える。
・7枠11番 ヤマニンサンパ
GIIIでの馬券内すら叶わない現状。変わり身は望み薄か。
・8枠12番 ブローザホーン
京都芝外回りは【2.1.0.1】、唯一の馬券外は競走中止の京都大賞典に限定。この戦績だけで同馬が京都芝外回り巧者であることがうかがい知れるだろう。コース適性もさることながら、昨年は烏丸S、札幌日経オープンとそれぞれ道悪での圧勝歴あり。秋のGI戦線を見据えたとき、上がりの速い東京での上位進出は現実的とは言えず、週末の雨予報も含めてこの舞台で警戒すべき1頭だ。
・8枠13番 ルージュエヴァイユ
本レースと好相性の牝馬に該当する唯一の馬。エリザベス女王杯2着を見るより舞台適性も申し分ないが、当時も前走大阪杯も直線イン突きと、ロスなく運べた恩恵が否定できないレースだった。太目残りだったとはいえ、外々の進路を選択した当舞台の京都記念は見せ場なく敗戦。叩き2戦目でパフォーマンスを上げるタイプでもあり、間隔があいた一戦で激走の再現を望むのは酷に映る。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年6月20日 18:00公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。