
今週は、函館開催の締めくくり、サマー2000シリーズ第2戦、第60回函館記念(GIII、芝2000m)が函館競馬場で行われる。
今年は、前哨戦の巴賞を制したホウオウビスケッツ、2着デビットバローズなど、8頭が巴賞から転戦予定。加えて、AJCC覇者チャックネイト、中山金杯を制したリカンカブール、一昨年の当レース覇者ハヤヤッコといった重賞ウイナーや、サヴォーナ、トップナイフなどの重賞常連組が集い、一筋縄ではいかない一戦となりそうだ。
そんな中、巴賞を制して勢いに乗るホウオウビスケッツが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■巴賞勝ち馬の前に立ちはだかるジンクス
3歳時は皐月賞、ダービーと駒を進め、クラシック戦線を賑わせたホウオウビスケッツ。今年に入って東京新聞杯3着、東風S3着と勝ち切れないまでも安定した成績を残し、ひと息入れて迎えた前走の巴賞で、鮮やかな逃げ切り勝ちを収め、勇躍函館記念に臨む。
しかし、巴賞で好結果を残した馬が函館記念で結果を残せていない点は、競馬ファンなら周知の事実。巴賞→函館記念を連勝したのは1990年ラッキーゲランと2005年エリモハリアーのみ。エリモハリアー以後、巴賞の勝ち馬は【0.1.0.15】で16連敗と、惨憺たる成績だ。
加えて過去20年で、巴賞を勝っても函館記念で斤量が減ったケースは3例、増減なしのケースは11例で、それなりに斤量の恩恵はあったにも関わらず、結果を残せていない。今回のホウオウビスケッツは巴賞からさらに0.5キロ増となるため、厳しい戦いが予想される。
また、過去10年で前走逃げた馬の成績は【1.0.1.10】と、決して相性は良くない。1986年以降、巴賞で逃げた馬で見ても【0.0.2.13】連対率0%の成績。巴賞を逃げ切りVで飾ったトーラスジェミニやマイネルミラノも馬券圏内が叶わなかった。最終週を迎えた荒れた馬場状態の中では、逃げ馬のワンパン不足は否めず、よほど恵まれないと好走する確率は低いと言えよう。
ちなみに、今年に入って4歳以上の芝重賞で、牡・セン馬の成績は【3.7.4.48】と、5、6歳に比べると極端に勝率が悪く、年明け当初から言われていた4歳世代のレベルの低さは、いまだに改善されていない。このあたりもホウオウビスケッツにとっては歓迎できない材料だ。
前走から中1週の距離延長への対応など、超えるべきハードルは低くないホウオウビスケッツ。巴賞勝ち馬は勝てないというジンクスが嫌われ、人気を落とすようなら狙っても面白そうだが、素直に高い支持を集めるようなら、馬券的に妙味はないと考え、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。