“流行と逆” 五輪連覇を狙うザンダー・シャウフェレが取り組んできた「バックスイングの改善」とは…… | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

“流行と逆” 五輪連覇を狙うザンダー・シャウフェレが取り組んできた「バックスイングの改善」とは……

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“流行と逆” 五輪連覇を狙うザンダー・シャウフェレが取り組んできた「バックスイングの改善」とは……
“流行と逆” 五輪連覇を狙うザンダー・シャウフェレが取り組んできた「バックスイングの改善」とは…… 全 1 枚 拡大写真

18日から開催された全英オープンは、今季の全米プロでメジャー初優勝を飾ったザンダー・シャウフェレが制した。

世界ランキングはローリー・マキロイを抜き2位。30歳を過ぎ、強さが本格化しようとしている。

今季はこれまで18戦して12回トップ10に入っている。全米プロ前週のウェルスファーゴ選手権から全英オープンの7戦では、トップ10が5回、その内優勝が2回(2勝ともメジャー)という、安定感と強さだ。

シャウフェレは昨秋から、タイガー・ウッズや、ブライソン・デシャンボーらを指導してきた、クリス・コモ氏に師事している。コモ氏とともに取り組んできたことは今季早速、結果に表れている。

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■オールラウンドプレーヤー

シャウフェレのスタッツを見てみると、オールラウンダーっぷりに磨きがかかっていることがわかる。

2021年、41位だったSG:オフザティーは、今季現時点(7月21日時点)で12位。2021年、14位だったSG:アプローチザグリーンは、今季現時点で5位となっている。

結果、2021年は17位だった、ティーショットからグリーンに乗るまでのスコア貢献度を示す、SG:ティートゥグリーンが今季現時点では3位となっており、ショットが過去最高の状態であることを感じさせている。

今季16戦して6勝、トップ10が14回と、圧倒的な強さを誇っているスコッティー・シェフラーに次ぐ、高いパフォーマンスを発揮している。

X.シャウフェレ、2020-2021年以降のスタッツ

X.シャウフェレ、2020-2021年以降のスタッツ

■脱レイドオフ

シャウフェレがコモ氏とともに取り組んだのは、バックスイングのチェンジ。「レイドオフの度合い減」と「肩の縦回転(体幹の側屈)」だ。

レイドオフとは、飛球線後方から見た場合に、トップオブスイングでクラブが飛球線よりも左を向くこと。レイドオフの度合いが強くなった時に球筋が乱れている、という見解を持ち、その問題に着手することにしたようだ。

トップオブスイングのクラブポジションを、よりスクエアに近づける、つまり、クラブが飛球線より右を向くシャフトクロスの要素を少し加えた。

ポイントは、このクラブポジションと両肩のラインの傾き度合いをつなげて考えたこと。

バックスイングで左肩が高くなり、両肩のラインがフラットになると、レイドオフになりやすい。シャウフェレは、バックスイングでのクラブの勢いに持っていかれて左肩が浮き、レイドオフの度合いが強まることを課題とした。

シャフトクロスは、左肩が下がり両肩のラインがアップライトになる体の動きと相性が良い。シャウフェレは、肩の縦回転を強めて、感覚的にはシャフトクロス(結果はスクエア)になっていると感じる動きを取り入れることで、レイドオフの要素を抑えることに成功したようだ。

■近年の流行とは逆か

数年前は「パッシブトルク」というワードが流行った。最近は「シャローイング」というワードがゴルフメディアを賑わせている。どちらも、ダウンスイング初期の局面でクラブを寝かせる方に力を働かせる、ということを主にしたメソッドである。

また、レイドオフのトップオブスイングは、あまり悪とはされず、どちらかといえば歓迎される傾向。ダウンスイング初期にクラブを寝かせやすいからだ。

たしかに、クラブの慣性(寝る力)を活かす流れは必要なもの。ただし、それに体が持っていかれて両肩のラインの傾き(前傾角度)が崩れるのは考えものだ。シャウフェレにとって、クラブの慣性を活かしながらも、両肩のラインの傾きを保つために必要なのが、肩の縦回転×シャフトクロス要素、だったのだろう。

クラブの動きだけを見ても、体の動きだけを見ても、そのスイングの良し悪しや問題点はわからない。クラブと体の動きを関連付けることで、課題や取り組むべきことが見えてくることを、シャウフェレとコモ氏が教えてくれているような気がする。

■東京五輪連覇へ

シャウフェレは東京五輪の金メダリスト。8月1日から開催されるパリ五輪も米国代表で出場する。

最近の調子は良い。各国の代表人数に制限があるため、フィールド上の手強いライバルの数が減る。連覇の確率は低くない。

東京五輪は無観客だった。今度は観客とともに、表彰台の一番上で国歌「星条旗」を聴くことができるのだろうか。

パリ五輪では、日本代表の松山英樹と中島啓太だけでなく、スイング改造に成功し、東京五輪が開催された2021年より進化しているシャウフェレにも注目だ。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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