今週はサマーマイルシリーズの第3戦、第59回関屋記念（GIII、芝1600m）が新潟競馬場で行われる。
今年は、ダービー卿CT覇者のパラレルヴィジョン、前走・東京新聞杯を制したサクラトゥジュール、今年の京都金杯を制したコレペティトールなど、マイル重賞ウイナーが集結。加えて、ジュンブロッサム、プレサージュリフトといった上がり馬や、3歳のディスペランツァ、ロジリオン、米子Sの1、2着トゥードジボン、ディオらが、サマーマイル覇者を目指し集結した。
そんな中、アーリントンC覇者のディスペランツァが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■血統背景から新潟マイル戦は合わない
デビュー2戦目で初勝利を挙げ、京都2歳Sでは後のダービー馬ダノンデサイルと0秒1差の接戦を演じていたディスペランツァ。3歳を迎えてマイル戦に矛先を転じると、1勝クラス、アーリントンCと連勝。前走NHKマイルCでは、直線で前をカットされる不利もあって7着に敗れた。世代ではトップクラスのマイラーが、初めての古馬との対戦で、どのような戦いを見せるか注目を集める。
過去10年、関屋記念における3歳馬の成績は【1.0.2.5】と、出走数こそ少ないものの、複勝率は世代別でトップの37.5％と、優秀な結果を残している。そのほとんどが、前走NHKマイルCからの転戦だが、馬券圏内に絡んだ3頭は、いずれも勝ち馬から0秒4差以内に好走していた馬たち。加えて、斤量も最大で53キロと、重量面での恩恵もあった。
ディスペランツァは、直線での不利があったとはいえ、勝ち馬からは0秒9差の7着と大きく敗れている。さらに、重賞勝ちの実績もあり、今回は55キロを背負うこととなり、NHKマイルC3着のロジリオンが54キロで戦えることを考えると、斤量面でのアドバンテージは少なく、この点はマイナス材料と言える。
また、直線が長く、瞬発力の高さが求められるコースとあって、血統面ではディープインパクトの3勝を筆頭に、サンデーサイレンス系の種牡馬が5勝、またロベルト系が2勝と、過去10年で半数がヘイルトゥリーズン系の種牡馬が勝ち星を挙げている。
一方、キングカメハメハ系は【1.3.1.12】と、やや苦戦を強いられており、4番人気以下からの人気薄時に好走する傾向が高い。さらに、ルーラーシップ産駒の新潟芝1600mでの成績は、産駒デビュー以来【7.5.8.78】の結果を残しているが、オープン以上はおろか、2勝クラス以上で勝ったことがない。
新潟芝コースでは、重賞勝ちは2019年新潟大賞典メールドグラース、21年福島牝馬Sディアンドルと、2勝をマークしているが、1800m以上のレースで挙げたもの。新潟芝マイル戦は、クラスが上がるにつれて、血統面では決して相性の良くない舞台といえるだろう。
ややスタートに難があったり、アーリントンCでは鞍上の好騎乗に助けられての勝利など、まだまだ若さを覗かせるディスペランツァ。左回りコースも、前走の東京を一度経験しただけで、対応力は未知の部分も残されている。決め手は魅力的だが、そこが過剰に評価されて、人気を集めるようであれば、妙味はないと判断し、今回は思い切って「消し」でいってみたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100％超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。
