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「Beat LA!」の大声援を背に年間最高勝率のドジャースに挑み、第5戦までもつれ込むものの惜しくもリーグチャンピオンシップ進出を逃したパドレス。西海岸のライバルチーム同士の戦いとなったナ・リーグの地区シリーズは両チームに日本人選手2名ずつを擁したことから、日本でも過去最高レベルで盛り上がったといえるだろう。
試合前までの下馬評では「投手陣が充実しているパドレスが有利」との声も多かったが、実際にはどうだったのか? 今季のパドレスの戦績を振り返りながら考察していきたい。
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■トレード強化が大成功、来季のカギは勝ち頭2投手との再契約か
まずは先発陣。サイ・ヤング賞を受賞したブレイク・スネル投手が移籍したものの、シーズン前にトレードで獲得したディラン・シース投手、マイケル・キング投手がチームの勝ち頭として活躍したことがチーム躍進の大きな鍵だったと言えるのではないだろうか。また、ジョー・マスグローブ投手、ダルビッシュ有投手は共に離脱したものの復帰した後半戦は好調をキープ。8月以降のチーム成績が30球団でナンバーワンだったことを考えると、この4本柱が全員期待通りの活躍をすれば最強のローテーションとなる。
【動画】ダルビッシュの好投ハイライト
マスグローブがトミー・ジョン手術となり来季全休の見込みとなっていることに加え、シース、キングの両投手はFAとなることでこのローテーションもひとまず解体となる。まずは、チームの勝ち頭となったシース、キングの両投手と再契約を目指すことになるだろう。
■夏トレードで加入の2投手が大車輪の活躍、来季のキーマンは松井裕樹?
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パドレスの松井裕樹(C)ロイター/USA TODAY Sports
64試合の登板でルーキーイヤーとしては上々のデビューとなった松井裕樹投手、ウェーバーでの獲得ながら大活躍し5月には13者連続奪三振のMLB記録を達成したジェレミア・エストラーダ投手、生え抜き左腕として今季は中継ぎとして覚醒の兆しをみせたエイドリアン・モレホン投手、絶対的守護神として9回を任されたロベルト・スアレス投手など戦力が揃っていた救援陣。そこに、夏のトレードで獲得したジェイソン・アダム投手、タナー・スコット投手が加入したことで、文字通り最強のブルペンとなったこともポストシーズンでの下馬評を高めることに繋がった。
ポストシーズンにおいても、スコットが大谷翔平投手を完全に封じるなどブルペン陣は一定の頑張りをみせたといえる。しかしながら、スコットがオフにFAとなってしまうため再契約の行方は不透明な状況。そこで、来シーズンの鍵になってくるのが松井の活躍だ。
各種指標は悪くなかったのに対して、9月以降登板がほとんどなかった松井は現状ブルペン陣の中では序列が低いと言える。貴重な左腕としてスコット級の活躍ができれば、来季もパドレスのブルペン陣は盤石になるだろう。
■新加入の安打製造機とルーキーの躍進が象徴的!さらにスーパースター獲得なるか
球界を代表するスター選手フェルナンド・タティスJr.外野手、チームリーダーのマニー・マチャド内野手など役者揃いの野手陣ではあるが、フアン・ソト外野手の放出により大きな戦力低下になるかと思われた。しかしながら、“三振しない男“として3年連続の首位打者獲得となったルイス・アラエズ内野手のトレード獲得に加え、30代でのブレイクとなり周囲を驚かせたジュリクソン・プロファー外野手、今季デビューのルーキーながら大活躍したジャクソン・メリル外野手など、新戦力の台頭も目立ちスターティングメンバーラインナップはほぼ固定できた形となった。
【動画】新人離れした勝負強さ…メリルのホームラン集
誤算だったのは、ザンダー・ボガーツ内野手の不振と、キム・ハソン内野手の怪我での離脱だろう。2022年に11年の大型契約を結んでいるボガーツではあるが、今季は期待外れの成績と言わざるを得ない。
来シーズンの補強として注目したいのは、やはりソト。プロファーの活躍とメリルの上々なデビューで今季を乗り切ったものの、来シーズン機能するかは不透明。「大谷超えの契約か」とも囁かれる若きスーパースターを古巣が獲得すれば、やはり大きなインパクトを与えるだろう。
■カギは第4戦。マスグローブの不在とブルペン陣を打ち崩せなかった打撃陣
このように、戦力としては申し分なかったパドレスではあるが、ドジャースに負けてしまったポストシーズン。勝敗を分けたのは第4戦の結果ではないだろうか。
【動画】ドジャースとの地区シリーズ第4戦ハイライト
王手をかけながらも敗北した第4戦で先発したのは、中4日のシース。早々にホームランを浴びるなど結果を出せなかったことを考えると、やはりマスグローブ不在が響いてしまったと言わざるを得ない。
また、この試合はドジャースが計8投手の継投によるブルペンゲームだったがまさかの完封負け。第2戦で相手先発のウォーカー・ビューラー投手から6点をあげて以降、33イニング連続で点数を取れなかった打撃陣が一番の敗因と言えるだろう。
第4戦でブルペン陣から少しでも点を奪えていれば…。このシリーズの勝敗の行方は変わっていたかもしれない。
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