
ヤンキースのアーロン・ブーン監督がラジオ番組に出演し、大型補強を続けるドジャースについて私見を述べた。
選手獲得のために巨費を投じ続けるチームに対して、「大型補強は問題ないが、我々が恐れているのは、それがストライキにつながること」とし、近い将来MLBが辿る道に不安をのぞかせた。
◆DeNA復帰のバウアー、ドジャース大谷翔平に言及「彼は世界的なスーパースター」 でも……「米国では誰も理解していない」と指摘
■指揮官「次回労使協定に影響ある」
昨年のワールドシリーズでドジャースと対戦し、1勝4敗で涙を飲んだヤンキース。今季リベンジを期すブーン監督が28日(日本時間29日)、ニューヨークを拠点とするラジオ局『WFAN Sports Radio』の番組に出演。自身の采配や選手とのやり取りなど、多岐に渡るテーマで話をした。
トークが弾む中、大型補強を続けるドジャースについても言及。「彼らが大金を使うこと自体には問題を感じていない。ドジャースを恐れてはいないが、その行為がワークストップ(活動停止)につながることを恐れている」と明かした。
「野球界のシステムが破綻しているというのは少し大げさだと思う。確かにこういう(ドジャースみたいな)チームがあると『うわ、また契約したのか』って感じになってしまうけどね。彼らの支出額は、もはや理解しがたいレベルにまで達している。そして、それが次回の労使協定交渉に影響を及ぼすのではないかと心配している。合意をまとめる際には、MLBやオーナー陣と選手サイドが対立するだけでなく、オーナー同士の対立もあるからね」と懸念を示した。
■米メディア「悪の帝国は西海岸へ」
現在の労使協定は2026年のシーズン終了後に失効する。従って翌27年の開幕までにMLBと選手会の間で新しい労使協定を結ぶ必要がある。その際、オーナー陣はサラリーキャップ制(チームの年俸総額に上限を設ける)の導入を求めると予想され、年俸抑制につながる同制度の導入に反対する選手側と激しく対立。交渉は決裂必至で、その場合はストライキ(選手側によるボイコット) や ロックアウト(オーナー側による業務停止)に突入すると言われている。
ブーン監督は今回、ドジャースと他球団の間で格差が広がっているため、業を煮やした多くのオーナーがサラリーキャップ制の導入を譲らない可能性を指摘。妥結は難しく、開幕日を迎えても試合が行われないという事態を危惧した形だ。
また、同日に地元テレビ局『YESネットワーク』の番組に出演したヤンキースのハル・スタインブレナー・オーナーも「ドジャースがやっているようなことを、我々ほとんどのオーナーが実行するのは難しい」と発言。同監督と同様にドジャースの独走ぶりに懸念を示した。
かつて圧倒的な資金力を武器に選手を集めていたヤンキースは「悪の帝国」と呼ばれていた。現在、その異名はドジャースが取って代わったようで、米スポーツメディア『The Athletic』は「悪の帝国は本当に西海岸へ移ってしまったのかもしれない」と記した。
ヤンキースのオーナーでさえお手上げ状態となっているドジャースの補強策。今後“1強”へのアレルギー反応がどう出るか。オーナー陣の動向からも目が離せない。
◆大谷翔平、ジャッジ、ソトらと並び記録の高スタッツとは? 公式記者が注目、史上初の「50-50」引き寄せた数字に脚光
◆「ないとは言えない」ドジャースGM、さらなる大型補強を示唆 米メディア「彼らは世論を気にしない、今後も資金を投下」と予想