河本結の復活を支えたパッティングに学ぶ、距離感を安定させパット数を減らすポイント | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

河本結の復活を支えたパッティングに学ぶ、距離感を安定させパット数を減らすポイント

新着 ビジネス
河本結の復活を支えたパッティングに学ぶ、距離感を安定させパット数を減らすポイント
河本結の復活を支えたパッティングに学ぶ、距離感を安定させパット数を減らすポイント 全 1 枚 拡大写真

黄金世代の河本結にとって、2024年は復活の年になった。19年の初優勝以来となる通算2勝目を手にしただけでなく、34試合の出場でトップ10が16回と、抜群の安定感を誇った。

結果、22年が52位、23年が85位だったメルセデスランキング(以下MR)は、7位に上昇した。

昨季のこの成績は、パッティングの向上によるもの。その河本のパッティングのポイントを探ってみたい。

◆【最新】河本結はいったい何位に…ロレックス・ランキング

■河本のスタッツ

パーオンホールの平均パット数と1ラウンドあたりの平均パット数は、22年が18位と23位、23年が60位と65位だった。そして、昨季が5位と7位。劇的にスタッツが向上した。

飛躍の年となった19年と比較してもパットの成長がうかがえる。パーセーブ率が19年は24位だったが、昨季は4位だった。リカバリー率が19年は56位だったが、昨季は2位だった。

いずれも、パット以外の項目の影響も受けるが、パッティングの状態がこれまでのシーズンで一番良かったことを感じさせている。

河本結_2022年以降のパッティングスタッツ

河本結_2022年以降のパッティングスタッツ

■左右対称の振り幅とは

河本のストロークを見るとテークバックよりもフォロースルーの方が小さく見える。インパクトしてすぐにピタッとヘッドが止まっている。

これがパッティングストロークの基準となる左右対称の振り幅。フェースの動きが左右対称のストロークは左、つまりフォロースルーの方が小さく見える。ヘッド全体の動きが左右対称に見える場合、フェースの動きはフォロースルーの方が大きくなっている、ということになる。

また、一定のテンポでストロークし、左右対称の振り幅になれば、テークバックの時間とダウンストローク+フォロースルーの時間が同じになる。2(テークバック):1(ダウンストローク):1(フォロースルー)になるのだ。

おそらく河本はこの基準に限りなく近い状態でストロークしている。

フィニッシュ時の体勢に目を向けると、河本は長めのパットでもパットの結果が分かるまではアドレス時の前傾姿勢が崩れない。顔の向きだけを変えてボールを目で追っている。

ボールがカップインするまで、カップを通過するまで、止まるまで、完全にラインから外れたことが確定するまでは、姿勢を崩さない。

■一般ゴルファーの傾向

多くの一般ゴルファーの振り幅は左右対称ではない。ツアー選手の中にも左右対称ではない選手がいるが、傾向としてはツアー選手よりも一般ゴルファーの方が、フォロースルーの方がテークバックよりも大きくなっている。

だから、テークバックの時間とダウンストローク+フォロースルーの時間が同じにならず、ダウンストローク+フォロースルーの時間の方が長くなる。そして、ダウンストロークとフォロースルーを比較するとフォロースルーの方が長くなりやすい。

さらに、ストローク全体を見ても、テークバックだけを見ても、一般ゴルファーはツアー選手に比べて時間がかかりやすい。

河本のようなパッティングをするためにはどのようなことを心がけると良いか。

ストローク中ヘッドの動きを目で追わないことと、ヘッドとボールの衝突で転がるイメージを持つこと。

ヘッドを目で追いながら、ボールを押し転がすようにインパクトすると、基準から遠いストロークになってしまい、河本のようなパッティングはできないだろう。

結果がわかるまでアドレス時の姿勢を崩さないことも忘れてはいけない。

■メルセデスランキング“3番手”

昨季のMRで河本より上位の竹田麗央、山下美夢有、岩井明愛、千怜の4名は今季から米ツアーを主戦場にする。

ということは、河本は、同じ黄金世代の小祝さくら、桑木志帆に次ぐ、日本ツアー主戦場選手の中では‟3番手”の位置づけで今季スタートすることになる。

日本ツアーをリードしていく存在となることを期待されるわけだが、河本自身もその気でいるようだ。

JLPGA公式女子プロゴルフ選手名鑑2025のインタビューでは、「目標は年間女王」「ロス五輪にも出たいので、最低でもそこまでは24時間365日、ゴルフのために休みなしです」と語った。

河本の昨季のパーオン率は31位だった。19年MR1位の渋野日向子は同24位、20-21年MR1位の古江彩佳は同20位だったことを考えると、もう少しショットの精度を高めてパーオン率を上げられれば、年間女王の可能性が出てくる。

パットの安定感は続くのか、ショットの向上が見られるのか、今季の河本に注目したい。

◆‟つかまえつつ逃がす” 小祝さくらの安定感を支える進化したスイングのポイントとは……

◆政田夢乃のBEST PLAY OF 2024に選ばれたショットに学ぶ“前傾角度キープ”に必要なこと

◆桑木志帆の「飛んで曲がらない」ドライバーショットの秘訣 切り返しやインパクトなど4つの特徴とは……

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

《SPREAD》

≪関連記事≫
≫貴重な水着ショットも披露!「もはや高校生には見えない」大人っぽい池江璃花子、沖縄・石垣島の海を満喫

≫ケンブリッジ飛鳥と滝沢カレンが似てる?リオ五輪時から密かに話題だった

≫レアル所属・中井卓大ってどんな選手?…「リアルキャプテン翼」と呼ばれた少年時代