
ヤンキースは10日(日本時間11日)、ゲリット・コール投手が11日(同12日)に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けると発表。今季の登板は絶望的となり、復帰は最短でも来季の開幕前後と見られている。
大エースが離脱したことで、チーム評価も下落。「もはや優勝候補ではない」という声も出始めている。
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■インスタ更新「チームを支える」と決意
6日のツインズ戦に登板後、違和感を訴えていたコール。結局、トミー・ジョン手術を受けることになり、今季は全休が決定した。
コールは10日(同11日)、自身のインスタグラムを更新。「まだ自分にはたくさんの力が残っており、これからの課題に全力で取り組むつもりです。毎日リハビリに励み、2025年のヤンキースを全力で支えていきます。私はこのゲームを愛し、戦うことが大好きです。そして、これまで以上に強くなってマウンドに戻るのが待ち切れません。またすぐに会いましょう」と決意を記した。
ただ、エース右腕の離脱により、ヤンキースの現状は一層厳しくなった。すでに昨季新人王ルイス・ヒル投手が広背筋のケガにより出遅れが確定。大砲ジャンカルロ・スタントン外野手も両肘の痛みで、春季キャンプではバットを握っていない。さらに、正三塁手の有力候補だったDJ・ルメイヒュー内野手もふくらはぎの負傷で離脱している。
■キャッシュマンGMは緊急補強を否定
野戦病院と化したチーム状況を受けて、米スポーツメディア『The Athletic』は「PECOTA(成績予想システム)は、ヤンキースをもはやア・リーグの優勝候補として見ていない。予想成績は85勝77敗で、ア・リーグ全体では中位、東地区では3位に終わるとしている。一方、FanGraphs(米データサイト)は依然としてヤンキースが東地区を制すると予想しているが、そのリードは3ゲーム差から1ゲーム差に縮まった」と紹介した。
そして、「コールがマウンドに立てなくなった今、ヤンキースは優位性を失った。ア・リーグ東地区は混戦模様だ」と指摘し、オリオールズ、レッドソックス、ブルージェイズ、レイズにも優勝のチャンスがあると言及した。
ブライアン・キャッシュマンGMは11日(同12日)、キャンプ地で取材に応じたが、緊急補強については否定的な考えを示した。「獲得可能な先発投手を調査しているが、この時期になると選択肢がほとんどない。(夏の)トレード・デッドラインあたりまでは、補強のチャンスは訪れないだろう。今はチームにいる選手たちに期待するしかない」などとコメント。
現在もまだFA市場にはカイル・ギブソン、パトリック・コービン、ランス・リンら有力投手が未契約のまま残っているが、獲得に動く気配はなし。優勝候補が一転、苦難のシーズンを迎えることになりそうだ。
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