
アーセナルの本拠地である「エミレーツスタジアム」でプレーできる――。実はこれ、プロ選手ではなく一般の人たちに向けた話。そんな夢のような企画が、5月に実施される。
今回は仕掛け人の高橋尚輔氏に話を聞き、プロジェクトの内容や実現に至った経緯などを前・後編に分けて紹介する。この前編ではプロジェクトの内容を中心にお届けする。
高橋尚輔(たかはし・なおすけ)
1975年7月23日生まれ。株式会社エクスクルーシボ代表取締役。三菱養和SC、国士舘大学サッカー部でプレーし、卒業後は株式会社ディスクガレージに入社。エンタメ関係で手腕を発揮する一方、バレンシアやバルセロナを招聘するなどスポーツ分野でも尽力。その後、Jリーグ・横浜FCの営業部長など要職を歴任した。独立後は当時スペイン2部所属CEサバテルの経営陣に入り、精力的に活動。日本で行われた「レアル・マドリード・ファンデーションキャンプ」に携わる中、“ピピ”ことMF中井卓大を発掘したことでも知られている。

「大人の遊び企画」発起人の高橋尚輔氏
■冨安健洋と同じピッチでプレー
「大人の遊び企画2025」と称された今回のプロジェクト。参加者は5月17日に日本からロンドンに向けて出発し、現地ではエミレーツスタジアムで実際に試合を行うという。
気になる対戦チームは、アーセナルOBを含めて下部組織のコーチらで構成される可能性が高く、“ガチンコ勝負”も予想される(メンバー詳細はアーセナルサイドで編成中)。つまり、参加者は日本代表DF冨安健洋らがプレーするスタジアムでボールを蹴ることになり、非日常的な感動を得られる機会となる。
インバウンド需要が高まっている日本でも、訪日客は「観光地を訪れ、名所旧跡を見る」から「日本ならではのイベントに参加する」という方向に大きくシフトしているが、今回の企画は体験型イベントの究極形と言えそうだ。
海外旅行としては唯一無二の存在感を放つが、仕掛け人の高橋尚輔氏(株式会社エクスクルーシボ代表)によると、「欧州のスタジアムに出向き、現地で試合を行ったのはこれまで4回あり、今回のエミレーツで5回目になる」という。
■カンプノウではサビオラ登場

元アルゼンチン代表・サビオラなどレジェンドOBがイベントに参加
1回~3回目までは、すべてカンプノウ(バルセロナのホーム)で実施し、4回目となる2024年はエティハド(マンチェスター・シティのホーム)で行っている。過去の一例を紹介すると、対戦チームの中にいたバルセロナOBとしては、日本でもおなじみのFWサビオラ(元アルゼンチン代表)やMFエジミウソン(元ブラジル代表)らレジェンド級がおり、試合後には参加者それぞれが、彼らと一緒に記念撮影に収まっていた。
会場によって変更点は出てくるものの、試合に関連して魅力的なオプションも準備されている。
①参加者がスタジアムへ向かう際の交通手段は、トップチームが普段利用しているクラブバス。ホテルに横付けされて、それに乗り込む。

クラブバスへ乗り込み、いざスタジアムへ
②スタジアムに着くと、トップ選手と同じロッカールームで着替えを行う。
③ロッカーには当日着用する各自のユニフォーム(ネーム&背番号入り)が用意されている。

トップ選手と同じロッカールームを使用
④ピッチに出る際には両チームが並び、審判を先頭に入場。同時にスタジアムにはアンセムが流れる。
つまり、参加者は公式戦当日の流れを体験できる仕組みとなっているのだ。また、多い時には6000人ほどの観客(スタジアムツアーの一行)がスタンドから試合を見つめ、好プレーには盛大な拍手が贈られるというから、その雰囲気は公式戦さながらだ。もちろん、合間にはスタジアムでリーグ戦を生観戦することもパッケージに含まれている。
■サッカー未経験者も参加

一生の思い出になる「大人の遊び企画」
高橋氏によると「1年に1回、この旅行に参加することが働く上でのモチベーションになっている」と話す参加者もいるそうで、5月の“エミレーツ決戦”に向けてトレーニングをスタートさせた申込者もいるという。
ただ、「参加者の中にはサッカー未経験者もたくさんいますよ。ピッチ脇で声援を送る家族の方もいますしね」と話すように、スキルやレベルに関係なく試合を楽しめるようになっている。
後編では、高橋氏がなぜこのような企画が実現できたのか。契機となった出来事などを紹介する。