圧倒的なアイアン精度 スコッティ・シェフラーの変則的なスイングに見るボールに力が伝わる動きとは | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

圧倒的なアイアン精度 スコッティ・シェフラーの変則的なスイングに見るボールに力が伝わる動きとは

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圧倒的なアイアン精度 スコッティ・シェフラーの変則的なスイングに見るボールに力が伝わる動きとは
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15日からメジャー、全米プロゴルフ選手権がノースカロライナ州のクエイルホロークラブで開催される。

注目はスコッティ・シェフラー。世界ランキングはタイガー・ウッズ以来2人目の快挙となる100週連続1位を今季の4月に記録。その記録は現時点で103週連続まで伸びている。

1日から開催されたCJカップバイロンネルソンでは8打差の圧勝。マスターズを制したローリー・マキロイに世界ランキングを決めるポイントで迫られていたが、この優勝で差を広げた。

今回の全米プロでも優勝候補にあがり、この先も世界ランキング1位に君臨し続けそうな気配が漂うシェフラーは、圧倒的なショット力を誇る。

シェフラーの変則的なスイングのどこに、狙い通りにショットを放ち続けるポイントがあるのだろうか。

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■SG:ティートゥーグリーン1位

まずは、シェフラーのスタッツ。パーオンを狙うショットの貢献度を示すSG:アプローチザグリーンは今季現時点で1位。さらに、22-23年、24年も1位で、3年連続1位になる可能性がある。

パーオンを狙うアイアンショットでシェフラーの右に出るものはいない、と言えるぐらいの精度をここ3年で見せている。

ドライバーショットの精度も高い。ティーショットの貢献度を示すSG:オフザティーは、22-23年が1位、24年が2位、今季現時点は4位だ。

だから、ティーショットからグリーンに乗るまでのショットの貢献度を示すSG:ティートゥーグリーン(※)も最高水準の記録を出している。SG:アプローチザグリーンと同様に22-23年、24年、今季現時点、どれも1位で、3年連続1位の可能性がある。

さらに、グリーン周りからのショットの貢献度を示すSG:アラウンドザグリーンが、22-23年は5位、24年は17位、今季現時点は92位であるにも関わらず、SG:ティートゥグリーンで1位が指定席となっていることも、シェフラーのショット力が圧倒的であることを示している。

(※)SG:ティートゥグリーンは、SG:オフザティー、SG:アプローチザグリーン、SG:アラウンドザグリーンの合算

■シェフラーのスイング

シェフラーのスイングを見ると足の動きが特徴的である。足がすべるように後方(アドレス時の背中方向)に動く。左足よりも右足の方が激しく動き、右つま先が左かかとに近づきながらフィニッシュを迎える。

右足がこう動く理由は2つ考えられる。

1つ目はボールをつかまえるため。シェフラーは、バックスイングでの体の動きは静かだが、ダウンスイングからは腰を左にスライドさせながら体重移動をしている。ダウンスイングで左方向へのアクションが大きくなるほど、クラブヘッドが遅れフェースが返らず開いたままインパクトを迎えやすくなる。

インパクト前に右足を後方(アドレス時の背中方向)に引くことで、体の回転やグリップにブレーキをかけられるため、フェースの返り遅れによる開きを抑えることができる。

また、体重移動によってグリップの加速が、右足の動きによってグリップの減速が促進されれば、ヘッドスピードがより速くなりボールに伝わる力が増大する。

右足が動く理由の2つ目は、右足への負荷が完全になくなるから。腰をスライドさせながら左足に全体重が乗るぐらい(右足圧が0になるぐらい)体重移動をすれば、右足が腰のスライドと回転に引っ張られるように地面から離れやすくなる。

ダウンスイング以降の右足の動きに制限をかけないことで、左足への体重移動がより積極的になれば、ボールに大きな力が伝わるポイントになり得る。

では、右つま先が左かかとに近づくのはなぜか。試しにシャドースイングで、手がインパクト前後のポジションにきた時、右足を少し上げてみて欲しい(右足への負荷がなくなった状態を極端に表現)。

右足は左かかと(左尻)方向に動く人が多いはず。この動きを実際のスイングイメージに落としこむと、シェフラーの右足の動きに納得がいくのではないだろうか。

足の動きは特徴的ではあるが、テークバックはオーソドックス。シャフトが地面と平行の位置では飛球線と平行に収まっている。トップオブスイングでのシャフトもスクエアポジションに収まっている。

■マスターズ以外のメジャー制覇へ

昨季は米ツアーでマスターズを含め7勝し、パリ五輪では金メダル。22年に初優勝を飾ってから通算14勝をあげ、強さを見せ続けているシェフラーではあるが、メジャータイトルは2度制したマスターズ以外ない。

マキロイはマスターズ優勝で生涯グランドスラムを達成した。28歳のシェフラーにも4大メジャーすべてのタイトルを手にするチャンスは十分にある。

米ツアー公式サイトが発表した全米プロ優勝予想ではシェフラーは2番手。1番手はマキロイ。2017年のクエイルホロークラブ開催の全米プロを制しており、最近2戦を優勝、2位タイと好調をキープしているジャスティン・トーマスが3番手につけている。

ライバルたちを、シェフラーが圧倒的なショット力でねじふせ、全米プロ初制覇となるのか注目だ。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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