
22日から岐阜県の三甲ゴルフクラブ・谷汲コースで今季国内メジャー第1戦、日本プロゴルフ選手権が開催される。注目は昨年大会覇者の杉浦悠太。
杉浦は日本大学4年生の時にアマチュアとして出場した23年のダンロップフェニックスでツアー初優勝をあげ、昨季がルーキーイヤー。プロ初優勝がメジャーとなった。
杉浦は身長が172センチと体格に恵まれているわけではない。そして、強い力感があるスイングをしているわけでもない。
しかし、飛距離が出る。今季現時点のドライビングディスタンスは308.18ヤードで12位だ。
クラブの重みや遠心力の使い方が秀でているということだが、それらの物理的な力はどのようにすれば生かすことができるのだろうか。杉浦の腕の使い方に着目したい。
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■インターナショナルシリーズ ジャパン2位タイ
まずは、最近の杉浦の成績を振り返りたい。8日から千葉県のカレドニアンゴルフクラブで開催されたアジアンツアー、インターナショナルシリーズ ジャパンでは、最終日最終組で優勝を争い2位タイに入った。
ショットに手ごたえを感じて臨んだ先週の関西オープンでは13位タイ。そして、その関西オープン最終日翌日の19日に、来年の日本オープンの舞台でもある滋賀県のタラオカントリークラブで開催された、1日2ラウンドの全米オープン最終予選会に出場した。
結果、トップ通過で初の海外メジャー出場権を獲得。
日本ツアー開幕戦は予選落ちだったが、そこから徐々に本来の調子を取り戻し、成績を上げながら日本プロを迎える。

■杉浦悠太のスイング
杉浦のスイングを見ると、腕とクラブの一体感、腕と体の同調感がある。
腕をリラックスさせてアドレスし、両腕と両肩のラインで作られる三角形を保ってテークバック。その時手首はあまり使わずノーコックだ。
ダウンスイングでも腕とクラブの一体感を保ち、タメは深くない。インパクトからフォロースルーでも手首の動きを抑えている。だから、クラブが体に巻きつくタイミングが遅めだ。
“手は何もしない”という意識を感じさせるスイングではあるが、テークバックでは左手をアドレス時よりも掌屈させている。シャフトが地面と平行になった時に、フェースが下を向くようにフェースを閉じている。
ゴルフクラブというものはスイング中、開きやすいつくりをしている。テークバックの早い段階でその開きを抑えることで、ダウンスイングからインパクトで、手に余計な動き(開くフェースを閉じる動き)をさせずに済む。
腕は比較的おとなしい動きをするが、脚は積極的に使っていることがわかる。腕にある程度制限をかけている中で、飛距離を出すわけだから、下半身の力を使うしかない。
ダウンスイングでは、一度しゃがむような動作が入り、そこから左脚が伸び、左足が地面から離れるぐらい(ジャンプするぐらい)床反力を使っている。
■2018年の日本ジュニアチャンピオン
杉浦は2018年、高校2年生で日本ジュニアを制したが、この時の上位陣が錚々たる面々。2位が高校1年生の久常涼で、3位が高校3年生の中島啓太。2人とも今はすでに海外ツアーを舞台に活躍している。
また、アマチュアとして日本ツアーで優勝したのは、倉本昌弘、石川遼、松山英樹、金谷拓実、中島啓太、蟬川泰果、そして杉浦の7名。石川は米ツアー経験者で、松山、金谷は米ツアーを、中島は欧州ツアーを主戦場としている。
杉浦の視界にあるのも海外。目標は米ツアーだ。全米オープン最終予選会後も「米ツアーを目指したい」と語っていたようだ。
昨季のオールアラウンドランキング(※)は7位タイ。日本ツアートップレベルのオールラウンドプレーヤーが、初の海外メジャーに向けて弾みをつけるように、国内メジャー2勝目を飾るか注目だ。
(※)平均ストローク、平均パット、パーキープ率、パーオン率、バーディ率、イーグル率、ドライビングディスタンス、フェアウェイキープ率、サンドセーブ率の9部門の順位をそのままポイント換算したもの。