
26日から、栃木県の西那須野カントリー倶楽部で、選手会主催の第5回JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIPが開催される。
昨年大会は石川遼が優勝。大会実行委員長を務めた石川は、ピンマイクをつけてプレーするなどの企画を自ら実行。普通は耳にすることができない、ショット前のキャディとのやりとりや、ショット後の反応などをゴルフファンに届け、プレー以外の面でも大会を盛り上げた。
得意なコースでは滅法強い石川。西那須野も“得意”と言えるコースになりそう。3週前の日本ゴルフツアー選手権では16位タイに終わったが、今後に向けての手ごたえを感じさせるコメントが聞かれ、表情は明るい。大会連覇に期待して良いのではないだろうか。
■素振り時の極端な動きが減った
石川はこれまで、スタックアンドチルトやパッシブトルク、GGスイングなど、その時その時に注目を集めたスイングメソッドに手を出してきていた。
試合では「スイング中のどの局面で何を意識しているかが一目瞭然」と言えるぐらい、その時に取り入れたい動きを極端に表した素振り(シャドースイング)を、プリショットルーティーンに取り入れていた。
コースと戦うというよりも自分のスイングと戦っていた。「形にこだわらず自分の感覚を信じてスイングした方が良い」という声が多く聞かれたが、改造に改造を重ね続けた。
ただ、最近は「ショットが想定している幅の中におさまるようになってきた」とのことで、スイングとの戦いはひと段落した様子。極端な素振りはあまり見なくなった。
■“大叩き”減
石川自身がスイング作りに納得しているようだが、パーオン率やフェアウェイキープ率からは、ショットの精度向上が見られない。
2023年が10位、24年が12位だったパーオン率が今季現時点(6月15日時点)では8位。23年が72位、24年が69位だったフェアウェイキープ率が今季現時点では91位だ。
しかし、ダブルボギー以上になるホールの数を見ると大幅に減っている。ティーショットがとんでもなく大きく曲がることや、グリーンを狙うショットで外してはいけないエリアへ外すことが、減っているのではないだろうか。
23年は74ラウンドで、ダブルボギーが19個、トリプルボギー以上が4個だった。24年は74ラウンドで、ダブルボギーが17個、トリプルボギー以上が1個だった。
そして今季現時点では、21ラウンドで、ダブルボギーが1個、トリプルボギー以上は0、となっている。
今の石川はこれまでとは違い、大叩きの心配が不要。ショットがブレたとしても、許容できる想定内のブレでおさまる状態であることが、本人のコメントだけでなく、ダブルボギー以上の数を見てもわかる。
■5つ目の複数回優勝大会になるか
石川の得意なコースといえば太平洋クラブ御殿場コース。同コースが会場となる三井住友VISA太平洋マスターズは4度制している。
そして、東京よみうりカントリークラブ開催の日本シリーズJTカップ、富士桜カントリー倶楽部開催のフジサンケイクラシック、ザ・ノースカントリークラブ開催のセガサミーカップをそれぞれ2度制している。これらのコースも得意と言えるだろう。
西那須野カントリー倶楽部も石川の得意コースに仲間入りするかもしれない。
好相性を感じさせたのは昨年大会だけではない。21年の第1回大会では、3日目終了時に首位と3打差の4位タイにつけ、優勝争いに加わっていた。
前の試合(ツアー選手権)終了後の期待感を持たせる石川本人のコメント、今季ダボ以上が激減、好相性のコース。今週、永久シード(※)へのカウントダウンが進むかもしれない。
※永久シードとは、ツアー通算25勝以上をあげたものに生涯を通じて与えられるツアー出場権のこと。石川は現在通算20勝。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。