
開幕から折り返しを迎える7月に差し掛かろうとしているMLB。今季、ブルージェイズの看板打者ヴラディミール・ゲレーロJr.内野手のバットが息を潜めている印象はないだろうか?
今年4月6日に14年5億ドル(約728億円)という、フアン・ソト外野手、大谷翔平投手に次ぐ歴代3位となる金額で契約延長を果たしたゲレーロ。今季はここまで78試合に出場し打率.282、本塁打11、打点40、OPS.837という数値を残している。数字だけをみると、そこまで悪くはないものの、大型契約の選手としては物足りない印象を受けるだろう。
特に本塁打数はこのままのペースでいけば、短縮シーズンを除きデビューイヤーの15本につぐ少なさになってしまうのだ。
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■本塁打はスローペースも打席での対応力はピカ一
そんなゲレーロだが、スタットキャストのデータを確認してみると面白い彼の現状がわかってきた。
まずはゲレーロの代名詞である驚異的な打球速度は、昨年の平均93.8mphから93,5mphに下落。95mph以上の打球の確率を示すHard Hit%も54.9%から54.5%に下落しているものの、両数値ともにそこまで大きな変化はない。さらに、バレル率に関しては昨季13.7%に対して、14.9%と微増しているのだ。またLaunch Angle(平均打球角度)も、7.5と昨シーズンの7.4と大きく変わらない。
そう、実は昨シーズン比較してみても、データ上はそこまで大きな差異は生まれていない。それどころか、BB%やK%といった打席内での対応力を示す数値は、キャリアハイに迫る好数値を残しており、十分チームに貢献しているといえるのだ。
ただし、本塁打に関してはゲレーロの選手としての性質も関係している。25~35度程度が本塁打が生まれる理想的な打球角度と言われている中、ゲレーロは本塁打王を獲得した2023年シーズンでさえも10.5度と低め。アーロン・ジャッジ外野手が17.7度、大谷が13.3度と他のホームランバッターと比較しても極端に打球角度が低くなっているのだ。
つまり、元々ハードなライナー性のあたりが持ち味の打者であるため、今シーズンのゲレーロを不調という言葉で片付けるのは、正しくはないだろう。
その一方で、XWOBA.413、XBA.324と実際の打率と比較しても打球の質はずば抜けて良く、打球角度が少々上がるだけで、本塁打量産モードにはいっても決しておかしくない。
現時点でもリーグ最高峰の数値を残し続けている点をみれば、大型契約にもふさわしいと言えるだろう。激戦区ア・リーグ東地区で42勝37敗の3位につけており、優勝もまだまだ手に届くブルージェイズ。14年728億円の超大型契約を果たしたゲレーロの活躍は、チームの今後に直接影響してくるだろう。
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