
今週はサマー2000シリーズの最終戦、第61回新潟記念(GIII、芝2000m)が新潟競馬場で行われる。
今年からハンデ戦から別定戦に変更となり、豪華なメンバーが集結。唯一のGI馬ブレイディヴェーグをはじめ、ヴィクトリアマイル2着のクイーンズウォークや、同3着シランケド、レース連覇を狙うシンリョクカや、青葉賞勝ちのエネルジコなど、秋を見据える実力馬がエントリー。加えて、函館記念覇者ヴェローチェエラ、七夕賞覇者コスモフリーゲンなど、シリーズ優勝を狙う馬も意気軒昂で、ハイレベルな戦いが期待できる。
そんな中、重賞3勝のクイーンズウォークが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
◆【新潟記念2025予想/前走ローテ】ブレイディヴェーグかエネルジコか “4頭中3頭が1着”鉄板級の臨戦過程は
■マイルからの転戦が気がかり
昨年は3歳牝馬三冠路線に皆勤も、GIタイトルには届かなかったクイーンズウォーク。今年は牡馬相手の金鯱賞を快勝して臨んだ前走ヴィクトリアマイルで、アスコリピチェーノにクビ差及ばず2着に惜敗と、ビッグタイトルに手が届くところまで来ている。今回は秋へ向けた始動戦として、骨っぽいメンバーが揃ったが、無様なレースは見せられないだろう。
夏の重賞は牝馬優勢の傾向にあるが、新潟記念に関しては、昨年シンリョクカが24年ぶりの牝馬による勝利を飾ったものの、過去10年では【1.0.1.19】と、依然牝馬は苦戦傾向にある。新潟記念に限らず、新潟芝2000m戦は、相対的に牝馬よりも牡馬優勢の傾向にあり、牝馬は割り引いて考えたほうが良いだろう。
クイーンズウォークは、ローズSや金鯱賞を勝っているように、芝2000m戦での実績は十分だが、前走マイル戦を経たという点は気がかりなところ。前走ヴィクトリアマイル含む芝マイルGI組は【1.0.0.5】と微妙。さらにレースを問わず、前走芝1600mからの転戦組は【1.0.0.10】で、信頼度はいまひとつだ。同距離や芝1800m、2400mからの臨戦組が好走のボリュームゾーンにあり、臨戦過程も気がかりだ。
■産駒の舞台相性と斤量がカギ
今年もリーディングサイヤーのトップ争いをしているキズナ産駒であるが、新潟芝2000mは、やや不得手なコースと言える。過去10年の新潟記念では【0.0.1.5】、同距離の重賞、新潟大賞典でも【0.0.2.2】。新潟芝重賞成績で見ても【0.0.5.24】と、キズナ産駒はいまだ連対を果たしていない。条件を問わず、芝2000mの他場と比較しても、新潟の勝率は7.7%で最下位(1位は京都の17.2%)、連対率14.1%はワースト2位(1位は東京の29.2%)と、高い期待値は見込めない。
斤量面でも、同じ牝馬のGI馬ブレイディヴェーグが56キロ、ヴィクトリアマイルで同タイム3着のシランケドが55キロで出られるのに対し、今年、牡馬相手の金鯱賞を勝っているがために、クイーンズウォークは57キロを背負うこととなり、この点はディスアドバンテージと言わざるを得ない。
今年の小倉牝馬Sでは、1番人気で6着に敗れ、GIIIでポカを見せるなど、絶対的な安定感はないクイーンズウォーク。今回も秋を見据える上で全力投球で臨むとは言えず、あくまで叩き台。加えて、牡馬優勢のレース傾向や、マイルからの転戦、血統面の不安材料など、決して盤石の人気馬とは言えず、妙味を考慮すると、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。