
今週はサマースプリントシリーズ最終戦で、スプリンターズSへ向けた前哨戦、第39回セントウルS(GII、芝1200m)が阪神競馬場で行われる。
今年は、一昨年のスプリンターズS覇者ママコチャと、レース連覇を狙うトウシンマカオが抜けた存在か。これを追うのは葵Sを制した3歳馬アブキールベイや、阪急杯覇者のカンチェンジュンガ、北九州記念2着ヨシノイースター、一昨年の当レース覇者テイエムスパーダに、カルチャーデイ、ショウナンザナドゥといった重賞ウイナーも虎視眈々。秋競馬開幕にふさわしい好メンバーが揃った。
そんな中、唯一のGI馬ママコチャが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■前哨戦なら「トウシンマカオ > ママコチャ」
今年のセントウルSは、実績、実力を考慮すると、トウシンマカオとママコチャの2強ムード。過去10年のセントウルSで人気別成績を見てみると、1番人気は【7.1.0.2】、2番人気は【1.4.1.4】の成績で、連対馬20頭中13頭は、1・2番人気が占めており、人気の中心となりそうな両馬を軽く扱うことはできないだろう。
一方で、過去10年の年齢別成績を見ると、勝ち馬は3~5歳に限られており、年齢を重ねるごとに成績は芳しくない。6歳馬も【0.2.4.34】と信頼度はいまひとつで、6歳秋を迎える同期のトウシンマカオとママコチャにとっては、歓迎できない材料だ。
両馬は、ともにスプリント戦線を歩んでいるだけに、これまでに5回対戦し、トウシンマカオの4勝1敗。そのうち、昨年のセントウルSや前走の京王杯SCでは1着トウシンマカオ、2着ママコチャのワンツー決着と、GIIなら前者に分があるように感じる。
これまでに重賞5勝をマークも、GIには手が届いていないトウシンマカオ。裏を返せば、いわゆるトライアルホースという見方もでき、同馬の狙い目は前哨戦のココ。逆に、初重賞がGIスプリンターズSで、前哨戦での着順にこだわりがなくポカもあるのがママコチャ。ならば、今回はママコチャを軽く扱いたいシーンだ。
■クロフネ産駒に対する懸念
阪神芝1200mの経験値でも、トウシンマカオは2022年京阪杯など2勝をマークしているのに対し、ママコチャは芝1400mでは勝っているが、芝1200mへの出走歴はない。オープン入り後は、2023年阪神牝馬S(3人気9着)や阪神C(1人気5着)など、人気に支持されて敗れている。
加えて、ママコチャの父クロフネの産駒は、これまでに芝1200mの重賞は12勝を挙げているが、唯一勝っていないのが阪神コースだ。過去には本レースでカレンチャンが3番人気4着、スリープレスナイトが1番人気2着と、スプリントGI勝ちの実績がありながら敗れている。クロフネ産駒のラストクロップとしてこの舞台を制することができるか見ものではあるが、舞台適性でもトウシンマカオのほうを上位に考えたい。
今回のママコチャは、乗り慣れた川田騎手から、2022年2月以来、約3年半ぶりに岩田望騎手とコンビを組むこともプラスとは言い難い。ここは同期のライバルが前哨戦での強さを発揮し、ママコチャの狙い目は次、という意味も込めて、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。