
プロボクシング4団体統一世界スーパー・バンタム級王者の井上尚弥(大橋)は14日、名古屋市・IGアリーナにてWBA同級暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と激突する。
世界ボクシング評議会(WBC)は「井上vs.アフマダリエフ」のプレビューを公開。井上自身が「過去最強の敵」と評する30歳サウスポーとの対戦を占った。
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■番狂わせの鍵は、試合序盤の“左フック”にあり
井上は2023年7月に行われたスティーブン・フルトン(米国)とのタイトル戦でスーパーバンタム級デビュー初戦を迎え、今回が転向後7戦目。同階級5度目の4団体防衛戦に臨む。
WBCは「これは魅力的で、見応えのある対決だ」とし、30戦30勝(27KO)無敗でKO率90%を誇る井上と、15戦14勝(11KO)1敗のアフマダリエフの一戦を予想。井上の「逆境を乗り越える強さ」を発揮した試合を振り返りつつ、「彼を倒すには一発のパンチやダウンでは到底足りない」と指摘した。
10日にトレーニングを終えた井上尚弥
大橋ジムでのトレーニングは終了!
仕上がったぜい!!! pic.twitter.com/c71jmNOlpl— 井上尚弥 Naoya Inoue (@naoyainoue_410) September 10, 2025
まず、WBCは、アフマダリエフが“番狂わせ”を起こすための鍵として、明確な目的意識を持ち、迅速かつ的確なタイミングで繰り出される、パワーの乗った「左フック」を提唱。
「ナオヤは、このパンチ(カウンターの左フック)に弱く、かつ脆いことが証明されている」と“明確な弱点”であることを記し、「どうやらモンスターを仕留める唯一の方法は、地下の溶鉱炉で炎が十分に燃え上がる前の、非常に早い段階でしかないようだ」と、試合序盤で起きる可能性を説いた。
■「一発が試合を変える」発言は「明らかに間違い」
しかし、井上はノニト・ドネアとの第1戦で、2Rで左フックを被弾して鼻と右眼窩底を骨折し右眉を大きくカット、視界不良の中でも勝利を掴み取った。これについては「大きな痛ましい逆境を乗り越え、果敢に戦い抜き、最終ラウンド前に元世界4冠の王者に左ボディを叩き込みダウンを奪った」と井上の真の強さを絶賛。
「ナオヤはMJとの次の試合が自身にとって『最も厳しい試合になるかもしれない』と語っているが、私はそうは思わない。彼の鉄の意志を極限まで試し、見事に打ち破った真の試練は、「フィリピンの閃光」との名勝負だった」とし、井上がルイス・ネリ戦、ラモン・カルデナス戦でダウンを奪われた直後の冷静な対処と、切り替えの早さも高評価した。
アフマダリエフが先日インタビューで語った「たった一発のパンチで試合が変わることもある」との発言に対しては、「彼のこの考えは明らかに間違いだ」とバッサリ否定。「イノウエはたった一発のパンチで倒れたが、屈服したり、もがいたり、弱気になったことはない。むしろ立ち上がり、反撃し、そして勝利した」とした上で、「彼を倒すにはたった一発のパンチやダウンでは到底足りない」と結論付けた。
井上に勝つには一度のパンチやダウンでは足りないと分析したWBC。激闘必至の一戦に注目だ。
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