
今週は秋の中距離戦線を占う前哨戦、第76回毎日王冠(GII、芝1800m)が東京競馬場で行われる。
今年は、しらさぎS2着チェルヴィニア、レース連覇を狙うシックスペンス、同2着馬ホウオウビスケッツ、一昨年の覇者エルトンバローズといったリピーターに加え、重賞3勝のレーベンスティール、3歳からはダービー4着のサトノシャイニングなど好メンバーが揃い、東京開幕週から激しい戦いが繰り広げられそうだ。
そんな中、復調ムード漂うチェルヴィニアが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■サマーシリーズからの臨戦に懸念
オークス、秋華賞と連勝し、ジャパンCでは4着と、昨年はハイレベルの走りを見せていたチェルヴィニア。今年に入って京都記念で9着、ドバイシーマCでは6着と、やや不満の残る成績を示していたが、前走のしらさぎSでは鋭い決め手を見せて2着に好走し、復権ムードを見せつつある。
しかし、ハイレベルの古馬、3歳馬が激突する秋の“スーパーGII”では、その臨戦過程が仇となる可能性が浮上。過去10年の毎日王冠で、前走のクラス別成績を見ると、GI組が【6.6.4.32】で、GII組【1.1.1.11】とGIII組【3.3.5.31】に比べると、勝率、連対率、複勝率すべてにおいて、前走GI組に分がある。
前走GIII組は3頭が勝ち名乗りをあげているが、すべて前走で勝利していた馬であり、2着以下に敗れていた馬は【0.1.5.22】と、勝ち負けに至らない。前走がマイル戦だった馬も、好走歴が多いのは安田記念からの臨戦がほとんど。夏のサマーマイルシリーズや2000シリーズを経て臨戦してきた馬は苦戦傾向にあり、しらさぎS2着からの参戦という点においては、決してプラス材料ではない。
また、馬体重にも注目しておきたいところ。過去10年の毎日王冠で、当日馬体重500キロ以上の馬が【7.4.4.24】と、大型馬の活躍が目立つ。チェルヴィニアは、デビュー時の470キロと比べれば順調に成長を遂げているものの、まだ480~490キロ台で出走するケースが多く、GII戦の古馬牡馬相手だと分が悪くなる可能性は否めない。
また今回は、凱旋門賞に参戦するため、主戦のルメール騎手から乗り替わり。過去10年、前走ルメール騎手から乗り替わりとなった馬は【0.0.0.3】と結果が出ておらず、プラスとは言えなさそうだ。ハービンジャー産駒も、過去10年で【0.0.0.5】と結果を残せていない点も不安材料。状況的に好転とは言い切れず、人気ほどの妙味はないと考え、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。