
今週は京都競馬場で、第86回菊花賞(GI、芝3000m)が行われる。今年はGI馬不在で混戦ムードが漂う三冠最終戦だ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬18頭の全頭診断を行う。
◆【菊花賞2025予想/枠順傾向】人気サイドは内枠理想「3頭で明暗」 伏兵なら外枠で“馬券内率55.6%”該当馬は
■菊花賞2025 出走予定馬全頭診断
・1枠1番 コーチェラバレー
現級で馬券外が続いていた馬が2.3着に入った前走。レースレベルとして強調できるものではなく、上位との差は大きい印象を受ける。
・1枠2番 アマキヒ
ペースや開催時期の違いこそあれ、2勝クラスの前走勝ち時計はゲルチュタールとの比較で見劣りするもの。青葉賞で先着を許した馬が複数出走するメンバー構成でもあり、上位進出は至難の業と言えそうだ。
・2枠3番 ライトトラック
前走神戸新聞杯は5着とまずまずの結果。未知数の瞬発力勝負で上がり3F33秒0は及第点と言えるが、それ以上に切れる馬がいたということだろう。京都芝外回りは【2-0-0-0】と負け知らず。淀の長距離GIで何度も穴をあけてきた騎手×調教師のタッグの内枠は不気味だ。
・2枠4番 ヤマニンブークリエ
前走セントライト記念は見事な立ち回りで2着。スッと好位をとれるレースセンスと馬群を苦にしないメンタルの強さを最大限に活かした好騎乗だった。ある意味再現性の難しい騎乗にも思えたが、今回は2枠4番かつ自身より内に絶対的な逃げ先行馬不在のシチュエーション。秋競馬は【1-2-0-0】、京都芝外回りは1戦1勝と申し分なく、スタート五分ならインのポケットを終始通れる可能性が高い。目が離せない穴馬候補だ。
・3枠5番 ジョバンニ
前走神戸新聞杯は3着。上位馬とは瞬発力の差が出たが、ギリギリのところで折り合いつつ3着を確保した。母系をみると距離延長への不安がやや残るが、コンディションは皐月賞以上との談。枠順も良く、戦ってきた相手を考えるとノーマークにはできない。
・3枠6番 ミラージュナイト
条件戦を連勝中の馬。とはいえ前走勝ち時計は同日の3歳未勝利戦より0秒4速い程度で、スタートに不安を抱える点も含め強調材料は乏しい。
・4枠7番 ショウヘイ
日本ダービー3着がフロックではないことを証明した前走神戸新聞杯。王道競馬で連対を確保と、秋初戦としては上々の内容だった。ロードカナロアの系統にあたるサートゥルナーリア産駒だが、菊花賞を制した母父オルフェーヴルに加えて近親にはミッキークイーン、ブレイディヴェーグと芝2200m以上のGI馬がズラリ。京都芝外回りは【2-1-0-1】と経験豊富で、現状不安材料がもっとも少ない1頭か。
・4枠8番 レクスノヴァス
デビューから馬券外のない安定株。芝2000mを使われていたときは後方待機がデフォルトだったが、芝2600mの近2走は4角3番手以内から上がり3F上位の脚を使って勝利とステイヤー適性を発揮している。2025年の横山和生×上村師は【3-2-0-4】と好走多数。ヒモ穴候補として警戒したい。
・5枠9番 エネルジコ
青葉賞勝利後にダービーを回避し、古馬混合の新潟記念へ。その後菊花賞に挑むという異例のローテで臨む馬。右回りも関西圏も初めてと不安要素しかない1頭なのだが、すべてを打ち消すC.ルメール騎乗という切り札あり。後方待機策を示唆している点も含め全幅の信頼は置きづらいが、施行条件変更に伴いレベルが格段に上がった新潟記念2着馬。ピンかパーかの立ち位置として捉えたい。
・5枠10番 ジーティーアダマン
近走はフタ桁着順が続く馬。一変を望むのは酷に映る。
・6枠11番 マイユニバース
前走九十九里特別は逃げて7馬身差圧勝。その脚質と鞍上から秋華賞のエリカエクスプレスを思わせるが、当時の勝ち時計2分32秒0は前週の1勝クラスより0秒3遅かった。2走前の京都芝外回りではライトトラックに先着を許しており、GI即通用へのハードルは高いと言わざるを得ない。
・6枠12番 ゲルチュタール
ドゥレッツァ、ヘデントールと馬券内馬が続く日本海S組。そのローテーションで注目を集める1頭だが、前述2頭の日本海Sラスト5Fがすべて11秒台だったのに対し、本馬は12秒台を挟みつつラスト2F→1Fにかけて大きな減速が見られた。未経験の京都芝外回りでもあり、ここはバッサリ消すことも考えたい。
・7枠13番 アロンディ
テンにいけないタイプで、近2走は外国人騎手が剛腕をうならせて勝たせた感あり。たとえ消耗戦になったとしても、このメンバー相手での馬券内突入は難しそうだ。
・7枠14番 エキサイトバイオ
ラジオNIKKEI賞は枠順と斤量の恩恵が大きかった印象。GIのメンバー相かつ7枠14番では荷が重い印象を受ける。
・7枠15番 エリキング
宝塚記念、スプリンターズS、秋華賞に続いてまたしても川田将雅騎手騎乗馬が外枠に。よりによって菊花賞の舞台でこの枠となると、評価を考えなければならないだろう。テンのダッシュ力が鈍く、勝負所での反応も速くないのが本馬の特徴。それでて無尽蔵のスタミナタイプかと言われればそうではなく、少頭数の決め手比べが合う性質あり。トライアル好走→本番でパフォーマンスを落とす傾向にある厩舎も含め、押さえ程度が精いっぱいか。
・8枠16番 ラーシャローム
1勝クラスの前走は2着馬とタイム差なしの勝利。ローカルの好走歴しかなく京都芝GIでは荷が重い印象だ。
・8枠17番 レイヤードレッド
前走は3歳牝馬にタイム差なしの辛勝。GIのメンバー相手では厳しい。
・8枠18番 レッドバンデ
前走セントライト記念は3着。何とか菊花賞への出走権を獲得したわけだが、当時は3着以内に入らないことには本番への出走がほぼ不可能のシチュエーション。メイチ仕上げからの関西圏輸送、平坦コースも未経験となる今回は不安のほうが先走ってしまう。
Winsightより一部編集・転載(2025年10月23日 18:00公開の記事)
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著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在は競馬メディア『Winsigh』で予想コラム執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。