
今週は秋の中距離王決定戦、第172回天皇賞・秋(GI、芝2000m)が東京競馬場で行われる。
今年は、春の宝塚記念覇者メイショウタバルをはじめ、香港のクイーンエリザベス2世Cを制した2年前の日本ダービー馬タスティエーラや、今年の皐月賞馬ミュージアムマイルなどGI馬7頭がエントリー。頂上決戦にふさわしい豪華メンバーが集結した。
そんな中、GI馬に上り詰めたメイショウタバルが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■逃げ馬は勝てない秋の盾
前走の宝塚記念では、圧巻の逃走劇を見せ、後続に3馬身差をつける完勝で、待望のGI初制覇を果たしたメイショウタバル。馬主の松本好雄氏に久々のGIをプレゼントすることとなり、感動も生んだ一戦となった。今回は古馬の筆頭格として、3歳勢や古馬のライバルを迎え撃つ立場となるが、強い勝ち方を見せる時もあれば、2桁着順にあっさり沈むこともあり、買い時の難しい1頭ではある。
【動画】宝塚記念2025 メイショウタバル×武豊騎手
天皇賞・秋は東京芝2000mのレースでありながら、東京芝2400mでの実績が大きくモノをいう舞台。実際、2017年以降の勝ち馬は、すべて芝2400mでのGIで連対歴があった馬が勝っており、親和性が高い。メイショウタバルはダービーが出走取消で距離は未経験、加えて、東京コースも初経験となり、コースへの適性という点も未知数で、この点は決してプラス材料ではないだろう。
また、天皇賞・秋は逃げ切り勝ちが極端に少ない点も特徴的。1984年のグレード制導入以降、逃げ馬が勝ったのは87年ニッポーテイオー、91年プレクラスニーの2勝のみで、プレクラスニーはメジロマックイーンの降着による繰り上げ優勝。事実上、逃げ切ったのはニッポーテイオーのみだ。
過去10年では逃げ馬は【0.1.3.6】の成績で、馬券圏内の4頭は、いずれも着順より人気のない伏兵によるもの。メイショウタバルは、宝塚をはじめ毎日杯や神戸新聞杯と、勝ったレースはいずれも逃げ切り勝ちと、逃げてこそ結果を残せるタイプだけに、よほど展開に恵まれないと厳しい戦いが予想される。
ちなみに、武豊騎手が天皇賞・秋で逃げたケースといえば、悲運に終わった1998年サイレンススズカをはじめ、2013年トウケイヘイロー、16年エイシンヒカリと、これまでに3つのケースがあり、いずれも芳しくない結果に終わっている。
血統面でも祖父ステイゴールドから連なる系統は、天皇賞・秋とは相性が良くない。これまでに【0.1.1.11】の成績で、勝ち馬は輩出しておらず、2012年2着フェノーメノが最高着順。父ゴールドシップも、東京芝での牡・セン馬は重賞で未勝利。それどころかオープンも勝っておらず、芝2000mに限ると、条件クラスでさえ勝っていない。この点も、メイショウタバルにとってはマイナス材料だろう。
これらのことを踏まえ、逃げ馬にとって厳しい天皇賞・秋というレースで、初体験となるコースや血統面での相性の悪さなど、手を出しにくい要素が揃っている。それでも「メイショウ×武豊の逃げ」にドラマを抱く競馬ファンは多いはずであり、オッズ妙味もない。少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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