
今週は東京競馬場で、第172回天皇賞・秋(GI、芝2000m)が行われる。フルゲート割れとなったものの、GI馬7頭と質の高いメンバーが揃った印象だ。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬14頭の全頭診断を行う。
◆【天皇賞秋2025予想/枠順傾向】タスティエーラは5勝の4枠も「0.0.1.11」該当の可能性浮上 外枠から積極的な競馬をした“穴馬に残り目”
■天皇賞秋2025 出走予定馬全頭診断
・1枠1番 コスモキュランダ
得意の中山でも掲示板外に敗れてしまう現状。厳しい。
・2枠2番 アーバンシック
菊花賞を制したのち、有馬記念以降は精彩を欠く馬。早熟を疑う声も挙がっているが、もともと器用さに欠けるタイプゆえ、直線が短くコーナーが多い中山芝2500mと阪神芝2000mが合わなかった影響は大きそう。直線の長いコースは【2.0.0.1】と好走多数。フィエールマンやジャスティンパレス、キセキとステイヤータイプの長距離GI勝ち馬の好走が目立つ点も見逃せない。
・3枠3番 ジャスティンパレス
前走宝塚記念は3着と復活ののろしを上げる好走。ただ昨年以降休み明け成績は【0.0.0.4】と精彩を欠いており、ここは次走への叩き台が濃厚と判断する。
・3枠4番 ソールオリエンス
古馬になってからの馬券内は極悪馬場の宝塚記念に限定。良馬場が想定される日曜東京での強調材料は乏しい。
・4枠5番 タスティエーラ
昨年の本レース2着馬。当時は約半年ぶりの実戦をものともせず一変をはたしたが、今回も同じようなレース間隔での参戦となった。この中間は陣営から弱気な声が聞かれているが、休み明けローテで何度も好走がある馬。冬競馬と関西圏以外では【4.2.0.0】と抜群の安定感を誇っており、自身より内に逃げ先行馬不在の並びも良好。侮れない。
・4枠6番 ブレイディヴェーグ
今年に入り、馬券内がない馬。ピークアウトを疑う声もあるが、年明け以降の内訳をみると不得手なマイル戦に海外競馬、酷暑の新潟と敗因らしい敗因を見出すことができそうだ。ウッドの最終追い切りは6F80秒8と美浦での自己ベストをマーク。この馬に何度も本命を打ってきた歴史も含め、まだあきらめたくない1頭だ。
・5枠7番 マスカレードボール
大外枠から臨んだ前走日本ダービーは勝ち馬と0秒1差の2着。僅差のレースだったことを考えるともう少し内だったら……と思わざるを得ない一戦だろう。過去10年の天皇賞・秋において、前走日本ダービー4着内馬は【2.0.1.1】。秋のGIで無双状態のC.ルメール騎乗も含め、大きく評価を下げる理由は見当たらないか。
・5枠8番 ホウオウビスケッツ
昨年の本レース3着馬。当時は逃げる競馬での切れ負けだったが、メイショウタバルがいる今回は単騎2番手から実質ハナを狙う位置取りか。左回りの芝1600-2000mは【1-3-2-1】と安定。斤量58キロでの勝利実績がない点は気がかりも、穴妙味ある1頭として要警戒。
・6枠9番 ミュージアムマイル
前走セントライト記念は貫禄勝ち。そこから菊花賞に向かうことなく古馬混合の大舞台にターゲットを合わせる形となった。皐月賞勝利が示すように2000m適性は申し分ないが、左回りは【0.0.1.1】と少ない母数ながら連対がないのは気がかり。左回り適性という意味では同じ3歳のマスカレードボールよりは見劣りしてしまう。
・6枠10番 エコロヴァルツ
3歳以降のGIでは【0.0.0.5】と厚い壁に阻まれている印象。メンバー落ちのGIIIだった前走も馬券外に敗れてしまう現状から、一変を望むのは酷に映る。
・7枠11番 シランケド
前走新潟記念は上がり3F最速の脚で快勝。当時負かしたエネルジコが菊花賞を、ディープモンスターが京都大賞典を制した点も評価を上げる材料となりそうだ。牡馬のGI馬との対戦経験がない点は懸念材料と言えるが、何らかの印は必要か。
・7枠12番 セイウンハーデス
前走エプソムCは圧巻のレコード勝ち。ハイペースを苦にしなかった内容は立派だが、GI・GIIでは【0.0.0.4】と馬券内に届かず。ここでは敷居が高い印象を受ける。
・8枠13番 メイショウタバル
7番人気に甘んじた前走宝塚記念。終わってみれば3馬身差の快勝とその力を見せつける形となった。とはいえ当時は稍重馬場が味方した可能性が高く、良馬場のオープンクラス成績は【0.0.0.4】。土曜の早い時間から晴れ予想の東京は良馬場が濃厚で、ゴールドシップ産駒の芝2000mGI成績【0.0.0.12】も重くのしかかる。
・8枠14番 クイーンズウォーク
新潟記念は放馬による影響で出走取り消し。立て直されての一戦となるが、中間の調教を見る限りその影響はさほどないと捉えてよさそうだ。とはいえ牡馬混合GIの経験がない点、何より大外枠は懸念材料。芝2000mの持ち時計も乏しく、3着のゾーンが精いっぱいか。
Winsightより一部編集・転載(2025年10月30日 18:00公開の記事)
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著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在は競馬メディア『Winsigh』で予想コラム執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。


