
今週は京都競馬場で、第50回エリザベス女王杯(GI、芝2200m)が行われる。淀の外回りで行われる牝馬GIに実績豊富な3歳馬と古馬が集結した。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。
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■エリザベス女王杯2025 出走予定馬全頭診断
・ヴェルミセル
前走京都大賞典は15番人気3着と激走。馬場の内めを通った馬が上位独占のレースで経済コースを立ち回った鞍上の好騎乗が光ったレースだった。引き続き京都外回りで臨むのはプラス材料も、芝2400m以下での馬券内2戦はいずれも稍重。良馬場の芝2400m以下は【0.0.0.5】と好走歴がなく、前走の再現を望むのは酷に映る。
・エリカエクスプレス
前走秋華賞は2着と健闘。逃げのスタイルに戻したことでリズムよく走れていた感があり、ここも逃げ戦法が濃厚だ。そうなると問題なのは、200mの距離延長と直線の長い京都芝外回りへの対応。開催が進み馬場が荒れてきた点を踏まえると、前走のように上手くはいかないだろうとのジャッジが妥当。ここはバッサリ消すことも検討したい。
・オーロラエックス
3勝クラス→リステッド競走と連勝中の馬。そこから一気にGIへのジャンプアップは厳しいとの見方が大勢を占めるが、同馬で強調したいのはコース適性にある。京都芝外回りは【3.0.0.0】と負け知らず。そのなかには11月の京都芝2200m勝利実績も含まれており、ノーマークは禁物だ。
・カナテープ
条件戦脱出までは時間を要したが、オープン入りしてからは大崩れなく好走。自身が得意とする左回りにこだわったローテーションが功を奏している印象だ。翻って、今回は右回りかつ未経験の距離。2200mはおろか2000mすら使ったことがない馬だけに、ここでは割引が必要か。
・ケリフレッドアスク
2度使われたGIレースはいずれも勝ち馬と1秒差。さらなる相手強化となるここは厳しい戦いが予想される。
・ココナッツブラウン
この馬で強調したいのはローテーション。中2カ月以上の休み明け成績【3.1.1.1】馬券内率83%が示すように間隔があいた臨戦過程でこそ力を発揮するタイプで、陣営が馬の特徴を理解したうえでレース選択をしている感がうかがえる。札幌記念→本レースのローテは過去にファレノプシス、ラッキーライラックが勝利。大一番での戴冠があっても驚けない。
・サフィラ
前走アイルランドトロフィーは見せ場なく惨敗。厳しい。
・シンリョクカ
昨年の本レース4着馬。馬券内まであと一歩の好内容だったが、当時はレガレイラがスムーズさを欠いたことで着順がひとつ上がったような印象を受けた。当時以上の結果を望むのは酷に映る。
・ステレンボッシュ
2-3歳時に使われたGIでオール馬券内を成し遂げた馬。その安定感は古馬になっても発揮されると思いきや、突如燃え尽きたかのように惨敗が続いてしまっている。今回は秋のGIシリーズで無双中のC.ルメールに復活を託すこととなったが、近走内容から強調材料を探すのは難しい。自身初の京都芝外回りである点もネックだ。
・セキトバイースト
3連勝を目指して参戦した前走アイルランドトロフィー。結果は10着と、苦手とする瞬発力勝負でまったく歯が立たなかった印象だ。とはいえ当時は切れ味勝負濃厚なメンバー構成に加えてプラス20キロの馬体重増。ひと叩きを目的としたレースだったことは明白で、参考外とも捉えられる。京都芝外回りは【1.2.0.0】と連対外がなく、一変を警戒すべき1頭だ。
・パラディレーヌ
前走秋華賞は3着とひと叩きで一変。4角2番手の2頭がワンツーフィニッシュの展開で終始後方から外々を回る厳しい展開だったが、上がり3F最速の脚で勝ち馬と0秒2差なら上々の内容だ。京都芝外回りは【2.0.1.0】と安定。2勝はいずれも4角2番手と前めからレースを進めており、内枠を引き当てることができればチャンスは広がる。
・フェアエールング
昨秋から頭角を現してきた馬。前走オールカマーは牡馬相手に自分から動いて4着と見せ場たっぷりの内容だった。とはいえ今回は自身初の関西圏かつ直線の長い京都芝外回りコース。最高に上手く乗れたとしても3着までが精いっぱいか。
・ボンドガール
ダイワメジャー産駒は芝2200m重賞で【0.0.0.15】。今年に入り安定感を欠いている戦績も含め、変わり身は望み薄だろう。
・ライラック
2年以上にわたって馬券内から遠ざかる現状。ここも馬券内突入は難しい注文と言えそうだ。
・リンクスティップ
前走紫苑Sは8着と同世代の牝馬相手に完敗。春の実績を思えば不満が残るレースだったが、2走前のオークスも含めて関東圏への輸送が響いた影響は否定できない。関西圏は【1.2.1.0】馬券外なし。重賞では勝ち馬と0秒4差以上離されている内容から勝ち切るまではどうかも、何らかの印は必要か。
・レガレイラ
昨年のリベンジを期するグランプリホース。5着に敗れた当時は直線の進路取りなどスムーズさを欠く場面が多く、あの一戦だけでコース適性云々を判断するのは早計と言えそうだ。斤量57キロを背負い快勝のオールカマーは格の違いを感じさせるもの。牡馬相手に積み重ねた実績は断然で、スムーズなら好勝負は必至か。
Winsightより一部編集・転載(2025年11月13日 18:00公開の記事)
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著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在は競馬メディア『Winsigh』で予想コラム執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。


