
27日から、高知県のkochi黒潮カントリークラブでカシオワールドオープンが開催される。
注目は賞金王レースをリードしている金子駆大。先週のダンロップフェニックスでは44位タイに終わったものの、賞金ランキング1位をキープし、12月に開催される米ツアー最終予選会の出場資格を獲得した。
そして、今季をこのまま賞金ランキング1位をキープしたまま終え賞金王になれば、欧州ツアーの出場資格を獲得することができる。(※)
欧州ツアーの出場資格がある上で米ツアー最終予選会に挑んだ方が、本来のプレーができるはず。
◆骨格に逆らわないバックスイングの金子駆大 米ツアー挑戦を見据えたクラブセッティングとは
今季残り2戦。賞金ランキング2位の生源寺龍憲との差は約1800万円。昨年大会7位タイのカシオワールドで優勝すれば、賞金王が確定する。
※賞金ランキング3位までであれば、欧州ツアー出場権が与えられるが、賞金ランキング2位、3位の選手が出場できる試合は少なくなる可能性がある。

国内男子ツアー賞金ランキング上位5名
■際立つ安定感
今季の男子ツアーは、開幕戦で優勝した生源寺が賞金王レースをリードし続けていたが、金子は今月13日から開催された三井住友VISA太平洋マスターズで今季2勝目をあげ、獲得賞金が1億円を突破。生源寺を逆転した。
その太平洋マスターズでは2位に6打差をつける圧勝劇。パーオン率が3位、パーキープ率が1位、バーディ率が2位だった。3日目に同じ組だった堀川未来夢が「圧巻。別のコースを回っているのかというぐらいうまかった」と言うぐらい、際立つ安定感を見せた。
今季はシーズンを通して見ても安定感が高く、昨季7位だった平均ストロークは今季現時点2位で、昨季7位タイだったトップテン10回数は2位タイである。
■パーキープ率1位
金子の平均ストロークやトップ10率が高まったのは、ボギーを打たないから。16位だったパーキープ率は1位である。
パーオン率は9位とまずまずと言える順位だが、昨季が11位と、今季と同程度のショット精度を見せていた。
そして、昨季は33位だったリカバリー率は1位。昨季16位だったパーオンホールの平均パット数は10位。昨季38位だった1ラウンドあたりの平均パット数は9位。
ということは、金子が日本ツアーで最もパーを拾えているのは、ショットの精度以上にパットを含めたショートゲームのスキルが向上したからといえる。
カシオワールドオープンでも、パットを含めたショートゲームが冴えを見せるか注目である。
■米下部ツアーよりも欧州ツアー
米ツアー最終予選会で5位以内に入り米ツアー出場資格を獲得すれば、来季は米ツアーを主戦場にするだろう。
5位以内に入ることができなかった場合、賞金王になり欧州ツアー出場資格を獲得していれば、主戦場を米下部ツアーにするか欧州ツアーにするかを選択する必要がある。
金子はその場合、欧州ツアーを選択する意思を示している。
久常涼は2023年シーズンは欧州ツアーを主戦場にし、そこで好成績を収めたことで昨季から米ツアーを主戦場にしている。中島啓太は24年から欧州ツアーを主戦場にしており、来季からは米ツアーが主戦場だ。
金子は、米ツアー最終予選会で来季米ツアーの出場資格を獲得できなかった場合、久常や中島と同じルートで、最短で27年からの米ツアー出場資格獲得を目指すことになる。
■“23歳で載冠”となれば中島啓太と同じ
金子は2002年生まれの23歳。高校卒業後、大学には進まずに2020年にプロデビューした。
23歳での賞金王となれば、それは大卒1年目の23歳で賞金王になった中島と同じである。
中島は賞金王になったことで得た権利を行使し、昨季から欧州ツアーに挑戦。今季安定した成績を残したことで、来季の主戦場を米ツアーに移せることが決まった。
また、昨季賞金王の金谷拓実は、米ツアー最終予選会を見事突破して今季は米ツアーを主戦場にした。そしてシード権を獲得。来季も引き続き米ツアーが主戦場となる。
2年連続で日本ツアー賞金王が米ツアーメンバーになった。金子が賞金王になり二人に続くのか。高額賞金大会のカシオワールドオープンは大一番となりそうだ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。


