
2025年のメジャーリーグは、ナ・リーグ西地区のドジャースが球団史上初の世界一連覇を果たして幕を閉じた。今季全30球団で記録された5650本塁打は、1871年のプロリーグ発足以来、史上6番目の高水準となった。打率を犠牲にしてでも一発を狙う、近年のトレンドが色濃く反映されたかたちだ。
一方で、二塁打と三塁打の数が大幅に減少しているという。米メディア『ジ・アスレチック』は、近代野球がもたらした新たな弊害に警鐘を鳴らした。
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■外野手の平均守備位置が「史上最深」
『ジ・アスレチック』は3日(日本時間4日)、「ギャッパーは死んだ:二塁打と三塁打を殺したのは誰か?MLBは何ができるのか?」と題した記事を掲載。データが導き出した守備位置の最適解により、本塁打を除く長打が大幅に減少している現状を取り上げた。今季の1試合当たりの二塁打数1.59本は1992年以降で最少。三塁打数に至っては、2022年に並ぶ史上最少記録になったという。
同記事では、外野手の平均守備位置を分析。中堅手の立ち位置が、2015年は平均312フィートだったのに対し、今季は323フィートに変化。11フィート(約3.4メートル)も後退しており、走力も上昇。外野手全体の守備力までレベルアップしているとのこと。
MLB公式のデータ解析システム「スタットキャスト」の算出では、中堅方向への95マイル以上の打球による打撃成績が低下。直近10年間で打率が「.541→.403」、長打率は「1.091→.791」まで悪化。長打の減少が一目瞭然となっている。
■「真剣に検討すべき時期」
また、2023年に球団記録の年間59二塁打を放ったフレディ・フリーマン内野手(ドジャース)は、直近2年間に限ると平均37本まで減少。「二塁打を打つのは、今が一番難しい。安打を打つこと自体が簡単ではない」と語ったそうで、多くの選手が違いを実感しているという。
同記事によると、一時は「外野手の守備位置に規制を設ける案」が議論され、マイナー選手による非公開の練習試合などで実験的に試みたケースもあったようだ。「レーザーで位置を示す」「外野に複数のゾーンを描く」などいくつかの構想も生まれたが、現在のところ本格導入には至っていない。
『ジ・アスレチック』は、「戦略として正しい守備位置が、必ずしも『娯楽としての良い野球』を作るわけではない。真剣に検討すべき時期かもしれない」と記し、新ルールの導入を訴えかけた。
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